第46話 消される証言




路地裏の

空気は、

ひどく

冷えて

感じられた。




短剣は、

確かに

アレンの

喉元を

狙って

いた。




「……伏せて」




低い

声で

男に

告げ、

同時に

身体を

ひねる。




刃は、

かすめる

だけで

壁に

突き刺さった。




金属音が

反響する。




「チッ……!」




黒衣の

襲撃者が、

舌打ち

する。




顔は

覆面で

見えない。




だが、

動きは

洗練

されて

いた。




「証言者を

 消しに

 来た……」




確信。




アレンは、

即座に

防御強化を

展開する。




※防御強化

→ 急所への

 ダメージを

 軽減する

 基本補助。




「下がって!」




証言を

申し出た

男は、

恐怖で

足が

動かない。




襲撃者が

距離を

詰める。




速い。




だが、

一直線。




「……見える」




アレンは、

半歩

ずらし、

短剣の

軌道を

外す。




その

瞬間、

手首を

掴む。




細いが、

鍛えられた

筋。




「くっ……!」




力では

劣る。




だが、

目的は

押さえ込む

ことでは

ない。




時間を

稼ぐ

こと。




回復魔法を、

証言者へ

投げる。




※精神安定

→ 動悸や

 恐慌を

 抑える

 軽度補助。




「……息を

 して」




男の

呼吸が

少し

落ち着く。




襲撃者は、

距離を

取り直し、

二本目の

刃を

抜いた。




「……面倒な

 ガキだ」




声は

低く、

冷たい。




「命令は、

 証言を

 止める

 だけだった

 んだがな」




「……誰の

 命令ですか」




問いに、

答えは

ない。




踏み込み。




二連撃。




アレンは、

後退しながら

自己回復を

維持する。




「……攻撃が

 できない

 のは、

 正直

 きつい」




だが、

ヒーラーの

戦いは、

耐える

ことだ。




刃が

腕を

裂く。




血が

滲む。




即座に

塞がる。




「なっ……

 回復が

 早すぎる」




襲撃者の

動揺。




その

隙。




「今です!」




アレンは、

声を

張り上げる。




路地の

入口。




「――止まれ!」




ギルドの

巡回員が

駆け込んで

きた。




剣を

抜く

音。




襲撃者は、

即座に

後退。




煙玉。




視界が

白に

染まる。




「……逃げた」




だが、

今度は

違う。




証言者は

無事。




アレンは、

男を

支えながら

息を

整える。




「……間に

 合って

 よかった」




巡回員が、

鋭い

目で

周囲を

確認する。




「事情を

 聞かせて

 もらおう」




その後、

ギルドへ。




執務室で、

シャールが

深く

ため息を

ついた。




「……予想

 以上に

 早いな」




「消しに

 来ました」




「証言者を

 恐れて

 いる」




シャールは、

机を

指で

叩く。




「つまり、

 核心に

 近い」




証言者の

男は、

震えながらも

語った。




実験施設。




魔物操作の

研究。




指示系統。




すべては

断片的。




だが、

十分だった。




「……守る」




シャールが

言い切る。




「証言者は、

 ギルドの

 管理下に

 置く」




「お前も、

 だ」




「……はい」




その

言葉の

意味を、

アレンは

理解して

いた。




もう、

一般の

冒険者

では

いられない。




関わって

しまった。




だが、

後悔は

ない。




マールが、

廊下で

心配そうに

待って

いた。




「……無事

 ですか」




「はい」




アレンは

微笑む。




「少し、

 騒がしく

 なりましたが」




その

裏で、

確実に

動き始めた

ものが

ある。




証言を

消そうと

する力。




真実を

明らかに

しようと

する力。




その

狭間に、

一人の

ヒーラーが

立っている。




アレンは、

拳を

握りしめた。




癒すために

得た力を、

守るために

使う。




それが、

自分の

選んだ

道だ。




中位ランクの

現実は、

甘くは

ない。




だが、

進む。




必ず。

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