第40話 評価と現実




王都

ガルド。




石畳の

朝は、

いつも

少し

冷たい。




アレンは、

ギルドの

扉を

押し開けた。




長距離護衛

任務を

終えた

翌日。




身体の

疲れは

残っているが、

気分は

不思議と

軽い。




「……おはよう

 ございます」




受付に

立つ

マールが、

柔らかく

微笑んだ。




「お帰り

 なさい、

 アレンさん」




その

一言で、

ようやく

実感が

湧く。




無事、

帰って

きた。




「ギルド長が、

 お呼びです」




「分かりました」




執務室。




重厚な

扉の

向こう。




シャールは、

書類から

目を

上げた。




「……座れ」




短い

言葉。




机の

上には、

今回の

任務報告書。




「評価は、

 高い」




唐突に、

そう

告げられた。




「被害ゼロ」




「護衛対象

 全員の

 満足度も

 高い」




アレンは、

黙って

聞く。




「だがな」




声が

少し

低く

なる。




「これは、

 実力だけの

 評価では

 ない」




「判断力、

 状況把握、

 精神の

 安定」




「……それらを

 含めての

 評価だ」




アレンは、

小さく

頷いた。




「はい」




「驕るな」




シャールの

目が、

鋭く

光る。




「今は

 まだ、

 中位への

 入り口だ」




「敵も、

 依頼も、

 ここから

 変わる」




「……分かって

 います」




その

言葉に、

嘘は

なかった。




回復が

できる。




強化も

できる。




だが、

万能では

ない。




「それと」




シャールは、

一枚の

紙を

差し出した。




新しい

依頼。




内容は、

調査。




場所は、

王都

南方の

辺境。




「魔物の

 動きが

 不穏だ」




「討伐では

 ない」




「原因を

 探れ」




アレンは、

紙を

見つめる。




地名は、

聞いたことが

ある。




「……一人で、

 ですか」




「基本は

 な」




シャールは、

即答した。




「必要なら

 臨時で

 増援を

 出す」




「だが、

 まずは

 一人で

 行け」




理由は、

明白。




ソロ適性の

確認。




アレンは、

深く

息を

吸った。




「受けます」




即答。




「……いい

 目だ」




執務室を

出ると、

廊下で

リナと

鉢合わせた。




「聞いた?」




「はい」




「ついに

 一人?」




「ええ」




少しだけ

不安。




だが、

恐怖は

ない。




「大丈夫」




アレンは

微笑んだ。




「僕は

 ヒーラー

 ですから」




準備は

入念に

行った。




回復薬。




簡易食料。




最低限の

装備。




そして、

自分自身への

強化。




※自己強化

→ 身体能力を

 一時的に

 底上げする

 特殊補助。




出発前、

門の

前で

マールが

声を

かける。




「……無理は

 しないで

 くださいね」




「はい」




「帰って

 くるのが

 お仕事です」




その

言葉に、

アレンは

笑った。




「必ず」




王都を

離れる。




一人。




だが、

孤独では

ない。




積み重ねた

経験。




信頼。




そして、

自分の

選択。




中位ランクの

世界は、

もう

目の前だ。




アレンは、

前を

見据え、

歩き出す。




ヒーラーとして。




冒険者として。




最強への

道を、

確かに

踏みしめながら。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る