第36話 広がる依頼、深まる責任
ギルドの
掲示板は、
前回よりも
さらに
密度が
増していた。
紙の
数では
ない。
一枚
一枚に
書かれた
内容が、
明らかに
重い。
「……これが
中位の
世界か」
アレンは、
依頼書を
慎重に
読み進める。
護衛対象は
人だけでは
ない。
物資。
情報。
時には、
撤退そのものが
目的となる
案件も
あった。
「失敗したら
どうなる?」
カイが
問いかける。
「被害が
広がる」
アレンは、
即答した。
「だから、
選択が
重要です」
ダグは、
腕を
組みながら
言う。
「今までより
一段、
判断が
遅れれば
命に
直結する」
リナは、
静かに
補足する。
「依頼主の
命も」
沈黙。
中位とは、
責任を
分け合う
立場では
ない。
引き受けた
時点で、
背負う
立場だ。
「……これに
しましょう」
アレンが
選んだのは、
地方集落への
医療支援
依頼だった。
魔物討伐は
副次的。
主目的は、
負傷者の
生存率向上。
「ヒーラー向け
だな」
ダグが
頷く。
「でも、
危険度は
低くない」
カイが
指摘する。
「魔物の
活動域と
重なってる」
「ええ」
アレンは、
それを
承知の上で
選んでいた。
「だから、
行く意味が
あります」
移動は
二日。
途中、
小規模な
魔物との
遭遇が
数度。
すべて、
最小限で
対処。
集落は、
森に
囲まれた
小さな
場所だった。
到着した
瞬間、
人々の
視線が
集まる。
「……冒険者?」
「ヒーラーも
いる……」
期待と
不安が
混じった
表情。
アレンは、
一人
一人に
目を
向けた。
「治療を
始めます」
声は、
はっきりと
落ち着いて
いた。
軽傷。
重傷。
感染症の
兆候。
※感染症
→ 傷口から
菌が
入り、
体調を
崩す状態。
放置すると
致命的。
回復魔法だけでは
足りない。
休養。
水。
衛生。
アレンは、
簡単な
指示を
出す。
「傷は
触らない」
「水は
煮沸してから」
「痛みが
強ければ
すぐ
呼んでください」
それだけで、
混乱は
抑えられた。
「……子どもなのに」
誰かが
呟く。
「いや、
冒険者だ」
夜、
見張りの
交代中、
魔物が
現れた。
数は
少ない。
だが、
集落の
近くだ。
「……外で
止めます」
アレンの
判断に、
迷いは
ない。
戦闘は
短く、
確実。
負傷者は
出なかった。
翌朝、
集落の
長が
深く
頭を
下げた。
「助かりました」
アレンは、
同じように
頭を
下げ返す。
「仕事ですから」
その
言葉は、
嘘では
なかった。
中位冒険者とは、
名誉では
ない。
役割だ。
守る。
支える。
判断する。
広がる
依頼の
幅と
共に、
責任は
確実に
深くなって
いく。
アレンは、
それを
自覚しながら
歩く。
最強の
ヒーラーへ
至る
道は、
誰かを
救い続ける
道でも
あった。
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