第35話 中位冒険者として
朝の
ギルドは、
いつもより
騒がしかった。
掲示板の
前には、
新しい
依頼書が
ずらりと
並ぶ。
その
一角。
依頼の
難度表示に、
はっきりと
「E以上可」と
書かれていた。
「……これが
現実か」
アレンは、
依頼書を
手に取り、
静かに
呟いた。
中位ランク。
昇格は
喜ばしい。
だが、
責任の
重さは、
すでに
感じている。
「依頼の
質が
違うな」
カイが
目を
細める。
「護衛、
調査、
小規模
殲滅……」
「どれも、
判断を
誤れば
死人が
出る」
ダグの
言葉は、
重かった。
「だからこそ、
慎重に
選びましょう」
アレンは、
一枚の
依頼書を
指差した。
「街道調査。
想定魔物、
中位下層」
「期限に
余裕あり。
撤退条件も
明記」
リナが
頷く。
「初仕事としては
妥当」
「背伸びは
していない」
依頼は、
即決だった。
受付の
マールは、
カードを
確認し、
目を
瞬かせる。
「……Eランク、
おめでとう
ございます」
「ありがとうございます」
その
言葉に、
照れは
なかった。
外へ
出ると、
数人の
冒険者が
こちらを
見ている。
「……あの
若い
ヒーラーだ」
「中位に
上がった
らしいぞ」
視線が
集まる。
だが、
前ほど
気にならない。
評価は、
慣れる
ものでは
ない。
受け入れる
ものだ。
街道は、
静かだった。
馬車の
轍。
風に
揺れる
草。
「……魔物の
痕跡は
薄い」
リナが
言う。
「だが、
油断は
しない」
アレンは、
後方から
全体を
見る。
魔力の
消費。
歩調。
集中力。
中位として
求められるのは、
派手な
成果では
ない。
継続的な
安全。
予測。
そして、
撤退。
小規模な
魔物との
遭遇が
あった。
だが、
戦闘は
短く、
危なげ
なく
終わる。
「……安定してる」
カイが
感心した
ように
言う。
「当たり前です」
アレンは、
自分に
回復を
かけながら
答えた。
「無理を
していませんから」
※安定行動
→ 成功率を
最優先し、
消耗を
抑える
行動選択。
調査は
予定通り
完了した。
街へ
戻る
途中、
アレンは
空を
見上げる。
雲は
高い。
視界は
広い。
「……まだ
上が
ありますね」
誰に
向けた
言葉でも
ない。
自分自身への
確認。
中位冒険者。
それは
通過点だ。
最強の
ヒーラーへ
至る
道の、
確かな
一段目。
焦らない。
驕らない。
支える。
判断する。
その
積み重ねが、
自分を
形作る。
ギルドの
門が
見えた。
今日も
生きて
戻れた。
それが、
何よりの
成果だった。
アレンは、
静かに
歩みを
進める。
中位冒険者として。
そして――
未来の
最強の
ヒーラーとして。
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