第34話 結果発表
ギルド本部の
大広間は、
朝から
ざわついていた。
中位試験を
終えた
冒険者たちが、
壁際や
柱のそばに
集まっている。
誰もが
平静を
装っているが、
空気は
張り詰めていた。
「……落ち着かないな」
カイが
小声で
言う。
「試験後は
いつも
こうだ」
ダグは
腕を
組んだまま、
前を
見据えていた。
リナは、
掲示板の
前から
視線を
動かさない。
アレンは、
少し
離れた
場所で、
静かに
立っていた。
胸の
奥が、
微かに
熱い。
不安。
期待。
どちらも、
否定できない。
「……来た」
誰かの
声。
扉が
開き、
シャールが
姿を
現す。
後ろには、
数名の
試験官と
記録官。
ざわめきが
一瞬で
静まった。
「中位冒険者
昇格試験」
「これより、
結果を
発表する」
名前が
一つずつ
呼ばれる。
合格。
保留。
不合格。
それぞれの
反応が、
広間に
落ちていく。
アレンは、
呼吸を
整えた。
そして――
「アレン」
自分の
名。
「前へ」
足が
自然と
動く。
周囲の
視線が
集まる。
十三歳。
ヒーラー。
最年少。
シャールは、
書類から
顔を
上げた。
「結果は――」
一拍。
「合格だ」
一瞬、
音が
消えた。
「……っ」
リナが
息を
呑む。
カイが
拳を
握る。
ダグは、
静かに
頷いた。
「理由を
述べる」
シャールの
声は、
淡々と
続く。
「戦闘数は
多くない」
「だが、
不要な
戦闘を
避けた」
「撤退判断、
休息判断、
支援の
配分」
「すべて、
中位以上の
基準を
満たしている」
アレンは、
まっすぐ
聞いていた。
「特筆すべきは
ヒーラーとしての
判断力だ」
「前に
出ない」
「だが、
全体を
見失わない」
「これは、
才能では
なく、
姿勢だ」
その
言葉に、
胸が
強く
打たれる。
「よって、
アレンは
本日付で
中位ランク――」
「Eランクへ
昇格とする」
拍手が、
広間に
広がった。
小さな
拍手。
だが、
確かな
承認の
音。
アレンは、
深く
頭を
下げた。
「……ありがとうございます」
声は、
震えて
いなかった。
ギルドカードが
手渡される。
新しい
刻印。
Eランク。
その
重みを、
指先で
確かめる。
「……重い」
無意識に
呟いた。
シャールは、
小さく
笑った。
「その
重みを
忘れるな」
「評価は
期待だ」
「期待は
責任だ」
「背負える
者だけが、
上へ
行ける」
「……はい」
返事は、
自然に
出た。
広間を
出ると、
仲間が
駆け寄る。
「やったな!」
カイが
声を
上げる。
「当然だ」
ダグが
短く
言う。
リナは、
一歩
近づき、
静かに
告げた。
「おめでとう」
「……ありがとう」
アレンは
そう
答えた。
喜びは、
確かに
ある。
だが、
浮かれては
いない。
ランクが
上がった
だけだ。
最強の
ヒーラーへの
道は、
まだ
遠い。
それでも――
「……次も、
同じ
やり方で
行こう」
その
言葉に、
仲間が
頷く。
中位ランク。
新しい
責任。
新しい
戦場。
アレンは、
ギルドの
外へ
踏み出した。
次の
一歩は、
もう
始まっている。
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