第32話 判断の瞬間
森の
奥から、
重たい
足音が
響いてくる。
一定では
ない。
複数。
「……数、
最低でも
三」
アレンは、
声を
極限まで
落とした。
ダグが
前に
出かけ、
リナが
それを
制する。
「待って」
「まだ、
全容が
見えてない」
唸り声が、
近づく。
木々の
隙間から、
姿を
現したのは――
角を
持つ
獣型魔物。
筋肉が
異様に
発達し、
体表には
硬質な
皮膜。
「……
ブロンズ
ハウンド」
※ブロンズハウンド
→ 中位下層に
分類される
集団行動型魔物。
突進力が
高い。
「想定より
一段
上だな」
カイが
歯を
噛む。
アレンは、
即座に
判断を
下した。
「正面衝突は
避けます」
「左へ
誘導」
「狭い
地形で
一体ずつ
処理」
迷いは
ない。
全員が
動く。
ダグが
盾を
鳴らし、
注意を
引く。
獣たちが
反応し、
一斉に
向きを
変えた。
「来る!」
突進。
地面が
揺れる。
「今!」
リナの
合図。
狭い
岩場に
誘い込み、
先頭の
一体が
体勢を
崩す。
「ダグ!」
「任せろ!」
衝突音。
カイの
一撃が
側面を
抉る。
だが、
二体目が
迫る。
「……間に
合わない」
その
瞬間、
アレンは
自分へ
強化を
重ねた。
魔力が
軋む。
※多重強化
→ 同系統の
補助を
重ねる
高負荷行為。
失敗すれば
魔力障害を
起こす。
「ヒール……
展開」
回復を
起点に、
防御力を
底上げ。
衝撃が
直撃する。
身体が
吹き飛び、
背中を
打つ。
だが――
「……立てる」
即座に
回復。
自分を
支え、
仲間を
見る。
「今です!」
三人の
動きが
噛み合う。
最後の
一体が
倒れた
時、
森に
静寂が
戻った。
「……全員、
無事か」
ダグの
声。
「問題なし」
「軽傷も
なし」
アレンは、
その場に
座り込み、
大きく
息を
吐いた。
心臓が
速い。
だが、
恐怖では
ない。
「……判断、
正しかった」
自分に
そう
言い聞かせる。
討伐では
ない。
生存。
連携。
撤退を
視野に
入れた
選択。
中位試験は、
力を
誇る場では
ない。
生き方を
問う
場だ。
アレンは
立ち上がり、
仲間を見る。
「……進めます」
全員が
頷いた。
試験は、
まだ
半分も
終わっていない。
だが、
確信が
あった。
この
判断が
できる
限り、
自分は
ヒーラーとして、
前に
進める。
最強への
道は、
派手では
ない。
一つ
一つの
判断を
積み重ねる
だけだ。
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