第27話 注目という重圧
固定パーティでの
依頼が、
三件
続いた。
どれも
安定した
成果。
負傷者
なし。
撤退判断
一回。
ギルド内で、
静かな
変化が
起き始める。
「……最近、
あの
四人、
外して
ないな」
「ヒーラーが
前に
出る
やつだろ」
「判断、
早いらしい」
言葉は、
悪意より
好奇心に
近い。
だが、
それが
集まると、
圧になる。
アレンは、
依頼を
選ぶたびに
視線を
感じていた。
期待。
興味。
値踏み。
「……見られてる」
自覚は
ある。
だが、
慣れない。
十三歳の
少年にとって、
それは
重すぎる
視線だ。
その日の
依頼は、
やや
難度が
高かった。
渓流沿いの
魔物掃討。
足場が
不安定。
連携必須。
「……受ける?」
カイが
皆を
見る。
リナは
黙って
頷き、
ダグも
同意する。
「……行きましょう」
アレンは
そう
言った。
理由は、
一つ。
避け続ける
わけには
いかない。
現地は、
思った以上に
人目が
あった。
他の
パーティも
複数
入っている。
「……見られるな」
ダグが
小声で
言う。
「気に
しないで
いきましょう」
そう
言った
アレン自身が、
一番
気にしていた。
戦闘開始。
流れは
悪くない。
だが、
少しずつ、
判断が
硬くなる。
「……右、
もう
一歩
引いて」
声が
遅れる。
「……ヒール!」
必要以上に
回復を
使う。
「……アレン、
少し
焦ってる」
リナが
短く
言う。
その言葉に、
胸が
締めつけられる。
焦っている。
失敗を
見られたく
ない。
期待を
裏切りたく
ない。
それが、
判断を
鈍らせる。
渓流を
渡る
場面で、
事故が
起きた。
別パーティの
冒険者が
足を
滑らせ、
流された。
「……!」
悲鳴。
一瞬の
混乱。
「ダグ、
前に
出るな!」
叫ぶ。
だが、
意識は
外に
向いている。
「……助けないと」
頭が
白く
なる。
「アレン!」
カイの
声。
「今は
自分たちを
優先だ!」
その言葉で、
我に
返る。
判断が
ぶれていた。
※第三者介入
→ 自分の
任務外の
救助。
善意だが、
失敗すれば
被害が
拡大する。
「……すみません」
声が
震える。
戦闘を
終え、
別パーティは
救助隊に
任せた。
帰路、
空気が
重い。
「……今日は、
らしく
なかったな」
ダグが
言う。
責める
調子では
ない。
それが、
余計に
刺さる。
ギルドに
戻ると、
噂は
もう
広がっていた。
「……判断、
迷ったらしい」
「年齢的に
無理
じゃないか」
その言葉を
聞いた
瞬間、
足が
止まる。
胸が
苦しい。
シャールに
呼ばれ、
個室へ。
「……重圧を
感じているな」
「はい」
即答だった。
「注目は、
力では
防げない」
「慣れるか、
受け流すか、
どちらかだ」
「……どうすれば」
シャールは、
少し
考えて
言った。
「見られている
自分を
意識するな」
「見るべきは、
仲間だけだ」
その言葉が、
胸に
落ちる。
夜。
宿の
机で、
アレンは
手を
握りしめる。
注目は、
誇りでは
ない。
責任だ。
だが、
一人で
背負う
必要は
ない。
仲間が
いる。
見るべき
顔は、
四つだけ。
それを
忘れなければ、
足は
止まらない。
十三歳の
ヒーラーは、
初めて
「期待される
怖さ」を
知った。
それでも、
前に
進むことを
選ぶ。
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