第24話 即席パーティの限界
ギルドの
朝は、
いつも
慌ただしい。
依頼書が
貼り替えられ、
冒険者たちの
声が
交差する。
アレンは、
掲示板の
前で
立ち止まっていた。
「……中位向け、
増えてきたな」
討伐数が
多い。
地形指定。
連携必須。
どれも、
一人では
完結しない
内容だった。
「……まだ、
ソロは
厳しい」
自己強化と
回復で
戦える。
だが、
長時間や
複数戦では
負荷が
大きい。
昨日の
反省が、
まだ
身体に
残っている。
「……パーティ、
組むしか
ないか」
声を
かけられるのを
待つ。
だが、
誰も
来ない。
ヒーラーは
貴重だ。
だが、
十三歳という
年齢が、
壁になる。
「……アレン?」
振り向くと、
マールが
立っていた。
「即席で
組める
話、
ありますよ」
「本当ですか」
「ええ。
ただし……」
少し、
言いにくそうに
続ける。
「経験は
浅い
人たちです」
「大丈夫です」
選べる
立場では
ない。
集まった
メンバーは
三人。
剣士。
槍使い。
弓使い。
全員、
Gから
Fに
上がった
ばかり。
「……よろしく」
簡単な
挨拶。
視線が、
微妙に
泳ぐ。
「……若いな」
誰かが
呟いた。
聞こえたが、
言わない。
依頼は、
旧鉱道の
魔物掃討。
一本道だが、
分岐が
多い。
「……前衛は
二人。
後衛は
弓」
「私は
中央で
支援します」
指示を
出す。
一瞬、
間が
空いた。
「……指示、
出すんだ」
剣士が
言う。
「はい」
それ以上、
説明は
しない。
鉱道に
入ると、
空気が
変わる。
音が
反響し、
距離感が
掴みにくい。
最初の
戦闘は、
問題なかった。
ヒール。
位置調整。
最低限の
連携。
だが、
次第に
ズレが
出る。
「……突っ込み
すぎ!」
声を
上げるが、
剣士は
止まらない。
槍使いが
追い、
弓が
遅れる。
「……ヒール、
まだか!」
間に
合わない
わけでは
ない。
だが、
余裕が
消える。
判断が、
後手に
回る。
分岐点で、
問題が
起きた。
魔物が、
同時に
二方向から
出現。
「……分かれるな!」
叫ぶ。
だが、
弓使いが
反射的に
後退した。
一瞬の
混乱。
前衛が
孤立。
「……くっ!」
アレンは、
即座に
自己強化を
使いかけ、
止めた。
――使いどころを
選べ。
昨日の
言葉が
よぎる。
「ヒール、
優先!」
回復を
絞る。
前衛を
立て直し、
位置を
戻す。
だが、
戦闘後。
空気が
重い。
「……なんで
下がるんだよ」
剣士が
弓使いを
睨む。
「だって、
急に……」
「指示、
聞いてたか?」
言い争いが
始まりそうに
なる。
「……止めて
ください」
アレンが
間に
入る。
全員が
こちらを
見る。
「即席だから、
ズレるのは
当然です」
「でも、
勝手に
動くと
誰かが
死にます」
言葉は、
柔らかく。
だが、
内容は
重く。
沈黙。
「……すまない」
剣士が
視線を
逸らす。
依頼は、
最後まで
終えた。
だが、
達成感は
薄い。
ギルドへの
帰路。
誰も
喋らない。
解散時、
形式的な
礼だけが
交わされた。
アレンは、
一人
残り、
考える。
即席パーティ。
便利だが、
脆い。
信頼。
役割理解。
判断基準。
それらが
揃わなければ、
力は
活きない。
「……ヒーラーが
どれだけ
優秀でも、
限界が
ある」
自分一人では
ない。
仲間も
含めて、
強くなる
必要がある。
ギルドで、
シャールに
報告する。
「……即席の
限界を
知ったな」
「はい」
「次は、
どうする」
アレンは、
少し
考えてから
答えた。
「……固定で
組める
仲間を
探したいです」
シャールは、
静かに
笑った。
「それが、
中位の
入口だ」
夜。
宿の灯りの
下で、
アレンは
日記を
閉じる。
強さは、
一人で
完成しない。
支え合い、
噛み合って、
初めて
形になる。
即席では
届かない
場所が
ある。
そこへ
進むための
準備が、
始まった。
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