第18話 Fランクの洗礼
ギルドの扉を
出た瞬間、
空気が
少し
違って
感じられた。
王都の朝は
変わらない。
人の声。
馬車の音。
屋台から
漂う
焼きパンの
匂い。
それでも、
アレンの
胸の奥では、
何かが
確かに
変わっていた。
「……Fランク」
呟いた
その言葉は、
まだ
少し
重い。
ギルド証を
確認する。
刻印は、
間違いなく
F。
「……実感、
ないな」
だが、
実感は
すぐに
やってきた。
掲示板の
前。
依頼内容が、
明らかに
違う。
討伐数が
多い。
活動範囲が
広い。
失敗時の
被害想定が、
はっきりと
書かれている。
「……これが、
洗礼か」
軽く
息を
吐いた。
その時、
背後から
声が
かかる。
「おい」
振り返ると、
三人組の
冒険者。
年上。
装備は
使い込まれている。
「……何ですか?」
警戒を
隠さず、
答える。
「お前、
昨日まで
Gだったよな?」
「はい」
「もう
Fか」
視線が、
値踏みする
ように
動く。
「……早いな」
嫌な
空気。
だが、
慣れている。
「ヒーラー?」
「はい」
「しかも、
一人?」
「基本は」
短い
やり取り。
沈黙。
そして、
一人が
笑った。
「……気をつけろよ」
「Fは、
甘くない」
忠告か、
牽制か。
判断は、
しない。
「ありがとうございます」
それだけ
答え、
距離を
取る。
依頼を
選ぶ。
単独可。
回復役必須。
難易度は
中。
「……これだ」
内容は、
街道沿いの
遺構調査。
魔物は、
中型一体。
同行者、
二名。
アレンは、
その場で
受付を
済ませた。
現地集合。
待っていたのは、
剣士と、
斥候。
「……子ども?」
率直な
反応。
「ヒーラーです」
「……まあ、
いい」
軽く
流される。
それが、
Fランク。
信用は、
最初から
与えられない。
遺構は、
地下に
続いていた。
湿った
空気。
狭い
通路。
「……来るぞ」
斥候が
囁く。
中型魔物。
動きは
速い。
剣士が
前に
出る。
アレンは、
距離を
保ち、
回復の
準備。
戦闘は、
想像以上に
激しかった。
剣士が
傷を
負う。
「ヒール!」
即座に
回復。
だが、
追いつかない。
「……強化」
自分に
ステータス強化。
視界が
澄む。
動きが
見える。
「左!」
声を
出す。
剣士が
反応し、
致命傷を
避けた。
戦闘は、
なんとか
終わった。
魔物は、
倒れた。
剣士は、
肩で
息を
している。
「……助かった」
短い
一言。
それで
十分だった。
帰路、
二人の
態度は
明らかに
変わっていた。
「……次も、
一緒に
やらないか?」
誘い。
だが、
アレンは
首を
振る。
「……今は、
ソロで
経験を
積みたいです」
正直な
答え。
ギルドに
戻ると、
報告は
問題なく
受理された。
マールが、
静かに
言う。
「……Fランクの
洗礼、
でしたね」
「はい」
それは、
厳しい
ものだった。
だが、
同時に
確信も
得た。
自分は、
通用する。
回復だけ
ではない。
判断と、
位置取りと、
声。
ヒーラーは、
戦場を
見る役だ。
夜、
宿の部屋。
アレンは、
天井を
見つめる。
「……まだ、
足りない」
最強には、
遠い。
だが、
一歩ずつ、
近づいている。
Fランク。
それは、
試練の
始まりだった。
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