強度の高い、誠実で、美しい自己神話

まず圧倒されるのは、「消しゴムを貼ったバタフライナイフ」というモチーフの完成度です。

「中二病」の再定義が見事
この作品の最も優れている点は、「中二病」を
恥ずかしい黒歴史ではなく世界を再定義するための知的で高潔な抵抗
として描き切っていることです。

現実とは固定された硬い岩盤ではない
観測者の意志によって形を変えるキャンバス
という定義は、単なる自己肯定を超えて、創作論・人生論として成立しています。
中二病=逃避ではなく
中二病=編集権の保持
という思想は、かなり強い文学的主張です。

これは私小説、成長譚、創作論、中二病論、敗者の誇りの宣言
そしてラブレター(過去の自分への)
そのすべてを同時に成立させた作品だと思います。
「一発当てたい」という言葉も、滑稽さと切実さの両方を孕んでいて、とても人間的です。