第5話:二人だけの時間

時間は11時、まだ少し早いけど、

ふわふわした気持ちで出発。


可愛いって言ってくれるかな?

プレゼントは喜んでくれるよね?


彼氏と彼女になって初めてのデート。心が踊っちゃう。


11時15分38秒に待ち合わせの時計前に着いちゃった。

30分くらいは待つのかな?

待ってる時間もポカポカするよ、思わず体が少し揺れちゃう。


11時24分15秒にあっくんが来た!

「あっくーん!」嬉しさが込み上げて手を振るよ。


あっくんが小走りに駆けてくる

はるか、早すぎるよ、寒いのに風邪引くじゃん、遅くなってごめん」

「えへへ、待ちきれなかったんだ、あっくん遅くないよ」


チラって見てから

「何か言い忘れてることがあるよね?」

「忘れてないよ、ちょっとくらい待ってよ、今きたばっかりなのに」


「可愛いよ、いつも可愛いけど今日はめっちゃ可愛い、そして綺麗だよ」

「あっくんもかっこいいよ、似合ってるよーそのコート大人っぽい」


お昼食べに行こうよ、そう言って歩き出すあっくんの裾を摘んで止める。


「どうしたの?はるか

「ん」って手を出す。


少し照れながらふんわり笑って手をつないでくれた。

もちろん恋人繋ぎで。


「やばい、可愛すぎる」

「気がつかない、あっくんが悪い……ばか」


子供の時みたいにふざけ合ってたら、あっという間に暗くなった。

イルミネーションがキラキラ光ってとっても綺麗……。


周りにもカップルがいっぱいいる、あ、高校生なのかな?

腕を組んで肩に頭を載せてるお姉さんがいる。


恥ずかしいけど、あれやりたい……。


「あっくん、ちょっとここでゆっくり見ててもいい?」

「いいよ、そのために来たんだし」


一旦手を離して両手で腕を抱きしめる。

あっくんは驚いてるけど嬉しそう。


コテンと頭を肩に載せようとしたけど……身長差がありすぎて肩に届かない、

腕に当たる。


「あっくん、大きくなりすぎ……ベンチに座って」

並んでベンチに座って今度こそ肩に頭を載せて目を瞑る。


「絶対に同じ高校に行こうね、私、勉強頑張るから」


あっくんが頭を抱くように優しく撫でてくれる、ニンマリ笑って頭をぐりぐりする。

「そうだね、高校生になったらバイトしようかな?」

「なんで?お小遣い足りないの?」「はるかといっぱいデートしたいじゃん」

「じゃあ、私もしないとだね?一緒のバイトにする?」


笑い合って、いっぱい話をして、ふと会話が途切れた時。


はるか、これクリスマスプレゼント」

握った手を開くとペアリングとチェーン。


「箱は小遣い足りなかった。高校の校則はOKだってさ」

「つけててくれる?はるかは俺の彼女なんだぞ!手を出すなよ!ってさ」


目が潤んで視界が滲む。

大好きって気持ちをこめて

「嬉しい…あっくん大好き……」

「ありがとう」


あっくんが少し悩んだあと、

ゆっくりと顔を近づけてきた。

私も上を向いて目を閉じる。


唇が触れると同時に思っちゃったの「時間が止まればいいのに」って



時間が止まって、

30分間また私は一人になる……


あっくんと一緒なのに、

今は止まらないでいいのに!



はるか?あれ?なんで動けてるの?」


え?あっくん?なんで声?え?


「あっくんの声が聞こえるよう、一人じゃないあっくんと二人だ」

泣いてるはずなのに涙は流れない。


時間が止まった世界では一人ぼっちだった、それが二人の時間になった。


はるか、15秒キスをしよう?」って

優しく頬を撫でる


唇が触れ合ってピッタリ15秒後、

二人とも顔は赤いけど見つめあって言葉が重なる


「あっくんも時間を止められたの?」

はるかも時間を止められたんだ!」


「あれ?でも変だな……どっちかが止めたら、止まって能力使えないのに」

「私、キスした時に時間が止まればいいのにって思っちゃって……」

「あ、それ俺もだ」


お互いニヤニヤして

「もう、あっくんたら」

はるかだってそうだろ」とか

時間の止まった世界で訳のわからないイチャイチャしてる。


まだ24分15秒ある


あっくんに抱き着こうとしたら……

先にぎゅって強く抱きしめられた。

そのまま抱き返してから


「二人でピッタリに止めると、二人っきりの30分になるんだね、嬉しいよ、あっくん、嬉しい」

「うん、やっぱりそれしかないよな、何にも言わずにピッタリなのが嬉しい、はるかも同じ気持ちだったってことがすごい嬉しい」


「うん、でも親戚でも話しちゃいけないんだよね?お母さん言ってた」

「時間が止まってる今ならいいだろ?こんなこと初めてだし」


抱き合ったまま上を見てるから首が疲れちゃう。

「あっくん、すごい大きくなったね子供の頃は私の方が大きかったのに」

すっぽりあっくんの腕の中に包まれて……あったかい


はるかはこのくらいがちょうどいいよ、ポカポカしてあったかい」


時間が動き出すまで残り12分40秒


「あっくんも正確に時間測れるの?」

「もちろんできるよ基本でしょ」


「あ、遥見て?あのカップルキスしたまま止まってる」

「も〜あっくん、彼女を抱きしめてるのに!!」


「周りを確認するもの基本でしょ?はるかだって見るくせに」

「今はあっくんしか見れないもん、残り5秒でキスして……」


お互い微笑んでそっと目を閉じる。

柔らかい感触が唇に触れてから5秒。


二人だけの時間がシンクロする。


音や冬の寒い空気も流れ出す。

でも、匂いだけはあっくん。


「はい、クリスマスプレゼント、30分も遅くなっちゃった」

「マフラーにしたの、色違いでお揃いなんだよ」


そう言って座ったままのあっくんの顔を抱くようにマフラーをつける。

可愛いリボン結びで。

同じように自分もつける。


「ありがとう、嬉しい。これで一緒に試験行こう、それとさ」

「胸大きくなったな、柔らかかった」


カーって顔に血液が昇ってきて、何にも言わずに頬を膨らませて涙目になりながら、あっくんの胸をポカポカ叩く。


隣に座って肩にもたれかかって……

耳に囁く


「えっち、でも……あっくんだけのものなんだよ?」


今度はあっくんの顔がまっかっか、耳まで真っ赤。

「そういうのヤバいって、まだだめだろ……でも高校生になったら…」

「うん……女子もね、そういう話するんだよ……」


二人で照れながら笑って、手を繋ぐ。

はるか、そろそろ行こう?」


「行こうじゃなくて帰ろうだよ?それでねお母さんに言われたんだけど、私ね、大晦日はあっくんのお家に泊まるんだよ、おばさんが誘ってくれるの。そのままおじいちゃんの家に一緒に行くんだって」


「初めて聞いたんだけど!それ!そっか……でもはるかがお泊まり……」

「だめだからね!おじさんもおばさんもいるし、あっくんのスケベ!」


でも念の為、下着は可愛いのをつけていこう。念の為だよ。


笑いながら冬のイルミネーションの下を二人で歩く。

腕を絡めて体をぶつけたりしてふざけ合って、お揃いのマフラーをして。


「また今度同時に止めようね」

「そうだね、30分キスと抱き合う、あ!揉めるのか!」


恥ずかしくなって、でも少し嬉しかったりして、俯いたまま微笑んで

「えっち……あっくんのばか……」


「冗談だよ!本気にするなよ!こっちが恥ずかしくなるから」


誰にも言えない二人だけの秘密が嬉しくなってあっくんに微笑む。

動いてる時間も止まっている時間も、いっぱい一緒にいてね。


これからもよろしくね、あっくん

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時間の使い方 空色 鈴 @azuki_turkey

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