第3話

 目頭越しでも刺激を感じる、コレが太陽の光か。


しかし暑いな。肌が焼かれそうだ。




 リフトが停止し、第一歩はじりじりに焼かれたコンクリートの上だったが幸運な事に誰も居なかった為そのまま外の世界を闊歩出来た。




 上着を脱ぎ汗を拭う。湿度もまあまああるので拭っても一滴二滴と伝っている。




 強い光が濃い影を生み出す。自分の身体がシルエットとして動いてるのがなんだか面白く感じた。




 しかし想像と違って随分暑い世界だ。このまま長い事当てられていたら脱水になるだろう。




 外観の為に植えられた木の下をなるべく進み、城下町のような造りの街へ続く魔導車に乗る。




 パスポートでクレジット決済を行い迷いなく都市の中央を目指す。




 「最近は一層にも増して暑いな」


 「まぁ当たり前だろ今夏なんだ、此処で過ごせるなら地下世界に居る奴等に失礼じゃないか」


 「幾ら近いからって言っちゃダメだろ奴等のお陰で燃料が補えてるんだからさ だが確かにこうして便利に過ごせるなら降りるのはごめんだな」 


 「てかさ、今度のなんだけどあの娘来るらしいぜ?」 


 「は?あの糞ビッチとうとうそこまで侵食してきたのウケるw もう飽きたってその話題は」


 「きっちぃ〜な」




 学生らしいシャレた服装の三人組がモテようと必死で努力した姿だが、考志にはどうでも良かった。人権を買えば良いのだから。どのみち今の姿ではゲート職員と思われる程度だ。




 早起きだったので少し眠る頃にはバスに居た人々もお硬い服装以外は居なくなっていた。




 俺は途中で下車し、軒並みの宝石店に向かう。




 店内の冷気が肌に感じる。そしてカウンターに現れた女の子が頭を下げた。




 メイカ・タナカとプリントされた名札にピンクの髪に肉付きが大分付いた容姿でマナと比べると彼女には及ばないが今の俺にはそんな物どうでも良かった。




 「お買取でございますか?是非休憩なさるのであればお茶とお菓子お出しますよ?」




 生真面目な印象を感じさせる悪くない女だ。早速カウンターにリュックから現場で今まで少しづつくすねていた件の2番ゲートで加工してもらった宝石を袋一杯に置いた。




 「お預かり致しますね!少々お待ち下さい」 




 洗剤と汗の香りを漂わせ鑑定を済ませに奥に入った。




 数分して戻って来ると更に興奮したように汗ばんだ顔で現れた。




 「どれも希少なゴールドやルビーにレアメタルでこんな質が良い物は初めて見ました!凄いです!一体何処で仕入れたのか聞いても?」




 「言わないのがルールなんじゃ無いのか?」




 「ソレはそうですね!失礼しました」




 「助かるよ」




 全部で凡そ855万6千ほどか、手に入れた大金は市民権を買う為に使うだろう。




 そしたら次は職探しか衣食住をどうやって確保するか、職業案内所にでも行ってみるか。




 地下の男に地上階の事は聞いて大凡の土地勘は把握している。




 手元に残った金で自動販売機から電解質の人口甘味が付いたペットボトル飲料を購入。結構美味しかったので二口で飲み干してしまった。




 一息つき空を捨てると汗で濡れた服の生地を摘んで空気を通し件の建物に向かった。




 時間帯や立地条件的に車の移動が推奨されていた為遠回りにはなったが難なく着いた。




 AIに取られない仕事と言えばダンジョン探索だろうか、ポータルゲートで各地のモンスターを倒し宝や魔石を持ち帰るという仕事だが常に死と隣り合わせだからやりたがる人間はあまり居ない。




 それに今では新型武装が開発され、数は絞られるがソレに適応した人間が強力な戦力を個人で有する為に興味が向うに行ったのも仕方無いかもしれない。




 事務員から貰った資料によれば今度の大規模レイドの泊まり込みが約半年〜2年程と書いている。先導はその装着者が率いて異世界を攻略するようだ。




 自分自身が頑張って何かが評価されのし上がる可能性があるならやらない訳には行かないだろう。どの道他の宛なんて技能も持たない俺が入れる筈無いのだから。




 「畏まりました。受注致しましたのでお渡しした資料に日時集合場所等記載されておりますのでお忘れの場合そちらをご確認頂きますようお願いします」




 使い捨てのような物だ。移住権云々は後で報酬を貰うときに必要になる程度で今から取得するなら問題は無い。




 案内所をでて再び公共を使用して中央役場にて手続き諸々を済ませ晴れてこの地上人となった俺は来たる一週間後に向けて肩慣らしの為にギルドへ向かうのだった。

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