第7話 仲間
スペル王国での日々が少しづつ落ち着き、冒険者ランクもDランクになった。ククオとニナはギルドの掲示板で中級クエスト「シバの森の魔狼群れ討伐」を目にした。これまでとは規模が大きく、報酬も倍近くになる。しかし、二人の力だけでは少し不安があった。ククオがニナに相談した。「ニナ、これ……僕たちだけで大丈夫かな?魔狼の群れって、十匹以上いるって聞いたけど…」ニナは耳を少し立てて、短剣の柄を握りしめた。「……難しいかも。でも、報酬で新しい装備を買えるなら…」二人が掲示板の前で迷っていると、明るい声が後ろからかかった。「よっ、お前らそれ受けるの?俺も同じクエスト狙ってたんだけどさ、一緒にどうだ?」振り返ると、緑髪の明るい剣士が大剣を担いで立っていた。笑顔が爽やかで、自信がにじみ出ている。「俺、ロキっていうんだ。前衛やるから、後ろから援護頼むぜ!」ククオは少し驚きながらも、「え、いいんですか?僕たち、Dランクなんですけど…」ロキは豪快に笑った。「ランクなんて関係ないっしょ気持ちっしょ。お前らのコンビ、ギルドでちょっと噂になってるんだぜ。」さらに、静かな足音が近づいてきた。エルフの女性が本を抱えて立っていた。長い白髪に、鋭い緑の目。「私も、このクエスト受けようと思っていたの。メラノよ。主に回復系を使うわ。」ククオは目を丸くした。「え、えっと……メラノさんも?」メラノは小さく頷き、「単独では危ないクエストよ。四人でなら、死ぬリスクも減らせるわ。私の回復魔法でみんなを支えられるはず。」ニナは少し警戒した様子で耳を動かしたが、ククオが「いいんじゃない?」と微笑むと、「……うん。ククオがそう言うなら。」こうして、四人の仮パーティーが急遽結成された。
翌朝、シバの森へ向かう途中、四人は自然と会話を始めた。ロキが先頭を歩きながら、振り返って聞いた。「そういえば、お前らどこ出身なんだ?」ククオが答えようとしたその瞬間、森の茂みから小さな魔物ーーゴブリンが数十匹飛び出してきた。単体だと弱いが、数が多いと厄介な相手だ。ロキが大剣を構え、「おっと、さっそくお出迎えか!」と笑ったが、ククオは素早く杖を上げた。「みんな、ちょっと下がって!僕がまとめて…≪アクア・ランス≫!」杖の先から、水の槍が連続で射出された。一本一本が細く鋭く、ゴブリンたちを貫く。瞬く間に半数以上が倒れ、残りは逃げ惑った。ニナが短剣で最後の一匹を仕留め、戦闘はあっという間に終わった。ロキが目を丸くして、ククオに近づいた。「おいおい…めちゃめちゃ強いじゃん!」ククオは照れ臭そうに笑った。「師匠にたくさん鍛えてもらったからね。」
四人はまた歩き出した。「さっき言ってた師匠ってなんなんだ?」ロキが尋ねる。「……僕は、異世界から来たんだ。召喚されて、王宮で失敗して追放されて……そして師匠に拾われた。そして今は師匠のもとを離れて、ニナと一緒に冒険をしているんだ。」ロキが目を丸くした「異世界召喚!?マジかよ!それで追放されたって……ひでぇ話だな。でも、水魔法の精度が異常だぜ。俺の故郷のミグル王国じゃ、水魔法使いなんてゴロゴロいるけど、お前みたいに連射できるやつみたことねえよ。」
メラノが静かに頷いた。「水属性自体は一般的ね。でも、あなたの≪アクアランス≫は、流れの制御が異様に細かいわ。精霊との親和性が特別に高いのかしら……」ニナは少し黙っていたが、ククオが「ニナも話して」と促すと、小さな声で言った。「……私は獣族。師匠に拾われてそれからずっと一緒にいた。」
ロキが大剣を軽く回しながら、「俺はミグル王国出身だよ。王都から少し離れた田舎町で育ってさ。一年前に親と喧嘩して故郷を出てきた。そして、スペル王国でギルドに入って…今じゃスペル王国がホームみたいなもん。」続けて、メラノが言う。「私はエルフの森出身よ、回復魔法を学ぶために、森を出て旅をしているの。」ククオはみんなの話を聞きながら胸が暖かくなった。「みんないろんなところから来てるんだな…なんか、僕たち…仲間みたいで..........」ロキが肩をたたいた。「もうみんな仲間だろ?これからよろしくな!」ニナは少し耳を立て、「……うん。よろしく」メラノも穏やかに微笑み、「……よろしくね」
森の入り口につく頃には、四人の間に自然な信頼が生まれていた。魔狼の群れが待ち構える森へ、四人は足を踏み入れた。初めての仲間との戦いが、今、始まる。
偽物の大魔導士は、静かに世界を救う @Rsiteisunnna
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