第2話 「最弱の勇者と火の精霊」
黒の森進行度がわずかに上がった場所で、山下浩は息を整えていた。
フレイラが小さな火球を揺らし、森の闇を照らしている。
「……この森、ほんとに怖いな」浩はつぶやく。
枝が風で揺れるたび、影が動き、魔物の気配を感じる。
生き抜くためには、常に緊張していなければならなかった。
再び黒牙ウルフが現れた。
赤い瞳が光り、低く唸りながら茂みを駆け抜ける。
「やっぱり来たか……」浩は息を吸い込み、短剣を握り直す。
フレイラは炎の玉を作り、光を飛ばしてウルフの注意を引く。
「ここで攻撃のチャンスを作るぞ」浩は小声で指示する。
魔物は火に反応して動きを乱し、わずかな隙が生まれた。
「今だ!」浩は短剣を振り下ろす。
刃先がわずかに魔物の体に触れ、黒牙ウルフは驚き、唸り声を上げた。
逃げる隙を狙い、炎の精霊フレイラが火球を放つ。
赤い光と炎が交差し、魔物は混乱する。
浩は再度短剣を振り、わずかな切り傷をさらに深く入れた。
森の地面に落ち葉が舞い、戦闘の臨場感を増す。
ウルフは激しく跳ね、牙を剥く。
だが、フレイラの炎の軌道が動きを封じる。
浩は息を整え、集中力を高める。
「……これで最後だ!」短剣を高く掲げ、力を込めて斬りつける。
魔物は森の奥に倒れ込み、ついに動かなくなった。
浩は膝をつき、息を荒くしながらも喜びを噛み締める。
「やった……生き延びられた……!」初めての本格的な戦闘での勝利だった。
フレイラがくるくると舞い、炎をちらちらと揺らす。
「人間、思ったより……強い」小さな声でフレイラは囁いた。
浩は短剣を握り直し、成長の手応えを実感する。
森をさらに進むと、わずかな光が差し込む小さな空間に出た。
そこには苔むした岩の隙間に、小さな宝箱が置かれている。
「宝箱……?」浩は慎重に近づく。
開けると、中には青く輝く短剣とルミナスフラワーが入っていた。
短剣は火属性が付与され、戦闘に役立つことが分かる。
ルミナスフラワーは傷を癒す回復用アイテムだ。
――レベル:3
――スキル:火魔法(初級)
――体力:18
――魔力:10
浩は装備を変更し、新しい短剣を手にする。
「これで少しは戦いやすくなるな」森の闇に向かってつぶやく。
しかし、森の奥にはさらに強力な魔物たちが潜んでいる。
慎重に歩きながら、火の精霊フレイラとの連携を確認する。
炎の光と短剣の刃先が、森の闇で輝く。
踏みしめる落ち葉の音、遠くで枝が折れる音。
森の生き物の気配を察知しながら、浩は進む。
「油断は禁物……」心の中で自分に言い聞かせる。
森の中には小川や倒木、わずかな隙間に小さな洞窟もある。
フレイラが火球で照らし、森の危険を一つずつ排除する。
「連携が大事……」浩は自分の戦闘スタイルを少しずつ掴む。
森の空気が湿り、風が木々を揺らす。
遠くから低いうなり声が聞こえる。黒牙ウルフ以外の魔物が潜んでいる。
だが、フレイラと共に戦える自信が、浩の胸を落ち着かせた。
小さな岩を蹴り、魔物の注意を引く。
炎で視界を奪い、短剣で攻撃。
初めての本格的な連携戦闘で、黒の森で生き抜く方法を学んだ。
森の奥、木々の隙間から差し込む光。
宝箱の光、炎の揺らめき、魔物の赤い瞳。
すべてが初めての経験であり、浩の心に刻まれる。
黒の森進行度:5%。
――レベル:3
浩は深呼吸をし、短剣と炎を確認する。
「これから先も、森を抜けなければ……」決意を胸に、再び歩き出す。
森は深く、未知の魔物と危険が潜む。
しかし、火の精霊フレイラと共に、最弱の勇者は少しずつ成長していく。
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