『詩誰(しだれ)すずか』という推しと、謎のウサギと神域と私。
鳥居の前にはすずちゃん――いや、『
「へぁ?」
間の抜けた私の反応に『
「どうしてすずちゃんが、『すずか』の姿に!? こういうこともできるの、この機材は?」
私の問いには答えず、すずちゃんは周囲を指し示して言った。
「ここは『
「い、いくうかん? 冗談にしては……ううん、冗談じゃあ、ない?」
大きな鳥居の奥、参道には小さな鳥居がたくさん並んでいる。京都のほうにある神社を思い出した私だったが、歩き出したすずちゃんに導かれるように、足を動かした。
ひとつ鳥居をくぐるたび、何故か体を撫でられるような奇妙な感覚に襲われる。
「私たちは今、肉体を
「あんな感じって――」
意味が分からない。すずちゃんがごく普通にそう語るのが、とても怖い。
そう言えば――VRゴーグルを付けているはずなのに、私はごく普通の姿をしている。重さも装着感もない。物理的にも
そうして戸惑う私の横から、いい声が響く。
『来てしまったのか、お――さくら』
「あ、あんたは昨日の邪魔者乱入ウサギ馬鹿!」
思わず、通学中ぶつかった転校生と教室で再会したみたいなセリフが漏れてしまった。
目の前にいるのは、部屋に現れて神ASMR視聴を邪魔しやがってくれた、憎いウサギ野郎だった。怒る私がいるというのに、大して気にしていないように見える。
そうしてケモノは「おい、すずか」と、すずちゃんのことを呼んだ。
『さくらを誘うのは、『
「ん――でも、隠しておくのも限界だと思ったの」
神主? 隠しておく? ふたりは、私のことを、私の知らないかたちで語っている。例えそれが私を気遣ったものだと分かっても――なぜだか、とても悔しかった。
「知らないうちに危険が迫ったら、守り切れないもの」
『それは一理あるが――まぁ、いい』
私は勇気を出して、ふたりの間に割り込んだ。
「置いてけぼりは勘弁して欲しいんですけど」
話を聞く限り、私は当事者そのものだ。なのに事情も知らされずに蚊帳の外はひどい。そんな私の声に『すずか』が慌てる。
「ご、ごめんね、さくらちゃん」
「説明を求めます。このウサギとの繋がりを含めて、全部」
私の身体の安全に関わることらしいし、このウサギに至っては私を一方的に知っているみたいで――つまり私は、もうこのふたりの知るなにかに巻き込まれているのだから。
すずちゃんが、なぜか深呼吸をして私を見る。
「――うん。さくらちゃん、落ち着いて聞いてね」
正直、目の前で色々なことが起こって、それどころではない。だけど、黙って話を聞く準備はできた。私は真剣な顔で、すずちゃんの目を見た。
「ASMR風にお願いします」
「それじゃあ、こっちの耳から――って、ふざけないで、さくらちゃん。もう!」
どさくさに紛れて真面目にお願いしたらワンチャンと思ったけどダメだった。ちぇ。
ノったのに照れてるのか、咳ばらいをしたすずちゃんが、『
「私たちは『
「――はい」
いま出てきたキーワードだけで、もう脳のキャパシティをオーバーしている。だけれどいったん聞くしかなさそうだったので、私はただ頷くしかなかった。
「ここ『
「い、色々置いといて……なんでわざわざ
『鋭いな。俺たちは、ここで敵――悪しき神の力を借りた相手と戦うからだ』
「た、戦うって――」
いきなり飛び出した物騒な単語に、私は思わず後ずさった。Vライバーと配信、それにすずちゃんとは縁遠い言葉の並びに、戸惑うしかなかったのだ。
その時だった。――背中をぞわぞわと、なにかが伝う感覚。
「! さくらちゃん、伏せて!」
すずちゃんの言葉に、私は反射的に飛び退き、地面へと倒れ伏した。
直後、とんでもない音と共に私は吹き飛ばされる。なにかが、爆発した?
「う……げほ、ッ」
衝撃で立ち上がれない。咳き込む私を守るように、すずちゃんが立ち塞がる。
――そう、爆発で舞い上がった砂煙から現れた、漆黒の人物との間に。
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祓神(はいしん)戦隊サクライブ!! ~どうしていきなりライバーデビューさせられた上に、身バレを賭けて戦わなきゃいけないんですか!?~ 真田泉 @IzumiSanada
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