ヴォルクスと雪の女王-6

ヴォルクスと雪の女王-6




ヴォルクスはルーカスを連れて、都市の宿屋に戻った。まだ宿屋に居たフローラが、二人を見て、少し驚いたように言う。

「へー、連れて帰って来れたんだ。何をやったの?」

ヴォルクスが、少し笑って言う。

「まあ、色々かな」

ルーカスも、それを聞いて、少し笑った。

フローラが、ルーカスを見て言う。

「その子はどうするの?貴方の冒険に連れまわす気?」

ヴォルクスが、考えながら言う。

「いや、来る途中でルーカスとも話したんだが、流石に私の旅に連れていくのは危険だ。なので、この子の面倒は、レギウスに頼めないかと考えている」

フローラがレギウスを思い出しながら言う。

「まあ、アイツは結構お人よしだからね。貴方が頼んだら、子供の一人くらいは面倒を見てくれるでしょうね」

そう言いながら、フローラはヴォルクスの持つ剣を見つめた。フローラが続ける。

「・・・で、それが例の剣なんだ。少し、見せてくれない?」

ヴォルクスが、少し警戒しながら剣を渡す。フローラそれを受け取って、眺める。そして剣を鞘から抜いて、その刀身、柄、握りなどを確認していく。フローラが言う。

「で、この剣をどうする気?使い方を調べてみるの?もしもそうなら、協力するけど?」

ヴォルクスが答える。

「いや、この剣は破壊しようと思う。復讐心を忘れたわけではないが、それを踏まえても、この剣は危険だ。これを完全にこの世から消してしまうことが、何よりも復讐になるのではないかと思う。ルーカスも同意した」

フローラが惜しむように、剣を鞘に戻しながら言う。

「ちょっと勿体ないけどね。でも、これって壊せるの?なんか凄い頑丈そうだけど」

ヴォルクスが、剣を返してもらいながら言う。

「それが少し問題だな。私もドラゴンになって壊そうと試みたのだが、ビクともしなかった。どうしたものか・・・」

それを聞いたフローラが提案する。

「だったら、火山にでも捨てちゃえばいいんじゃない。私の屋敷の近くに、ちょうど溶岩が出ている火山があるから、そことか良いんじゃないかしら?」

ヴォルクスもそれに同意する。

「・・・火山か。確かに、それが良いかもしれないな」


ヴォルクスとルーカスは、しばらく宿屋に滞在していた。ルーカスの元の家に関する手続きなどがあったからだ。フローラは、先に帰っていった。

書類を確認しているヴォルクスに、ルーカスが聞く。

「ねえ、フローラってヴォルクスの何なの?恋人?」

ヴォルクスが書類からルーカスに目を移して言う。

「いや、全然違うな。腐れ縁というやつかな?フローラは悪い人だから、君も気を付けなさい」

ルーカスは「ふーん」と言いながら、ヴォルクスの嫌そうな顔を見つめていた。




手続きを終えた二人は、レギウスの元へ行く前に、先に火山に向かった。ルーカスも、剣を捨てるところを見届けたいと言ったのだ。

二人は、硫黄の匂いが漂う火口への道を歩いていく。木々は無く、ごつごつとした大きな岩が立ち並んでいる。

その火山の火口に向かった先に、フローラが居た。ヴォルクスがフローラに言う。

「君も来たのか」

フローラが答える。

「私だって関わったんだから、別にいいでしょ?最後に少しだけその剣を見せてよ」

ヴォルクスが、怪しむような顔をしながら、剣を差し出した。

フローラが剣を鞘から抜いて、火口のマグマの明かりで照らしながら、惜しそうに、その剣を見つめる。フローラが目線を剣からヴォルクスに移して言う。

「そういえば、この鞘はどうするの?これも一緒に捨てる?」

ヴォルクスが、ルーカスを振り返って、聞く。

「私は鞘には用はない。君が、貰っていくか?」

ルーカスが頷いた。フローラがヴォルクスに鞘を渡した。ヴォルクス腰を下ろして、ルーカスを見つめて、その鞘を渡す。ルーカスも、ヴォルクスを見つめて、鞘を受け取る。

鞘の受領を終えたヴォルクスに、フローラが剣を返した。


ヴォルクスが剣を持って、火口に向かう。ルーカスとフローラがそれを見つめる。

ヴォルクスが剣の柄を持って、大きく振りかぶると、剣を火口に投げ入れた。剣は、赤いマグマの中に、刺さると、そのまま、沈んでいった。

ヴォルクスが呟いた。

「これで・・・終わったな・・・」




ヴォルクスとルーカスが火山を下りていく。この後で、レギウスの元へ向かうのだ。二人を見送ったフローラは、火口近くの大岩の方に向かって行った。

その大岩の影に、それはあった。朽ちぬ剣。

フローラは、最初にその剣を受け取った時に、その剣の造形を覚えた。そして先に帰ってから、その剣の模造品をザルツに作らせていたのだ。もちろん、細かい部分は異なるのだが、投げ入れる直前に騙せれば、それで問題ない。フローラは、二人が鞘の受領をしている隙に、その模造品と入れ替えたのだ。


フローラは、笑いながらその剣を見つめる。

この先に、まだ何かがあるはずだ。未知の何かが。魔道の先が!

フローラの飽くなき探索心が、その先を求める!


物語は、まだ、終わらない!

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