フローラとレムル-3

フローラとレムル-3




フローラがレムルを拾ってから、数年が経った・・・


フローラが魔術の研究のために、研究室で実験をしている。以前よりは、研究に集中できるようになってきた。ミオリアとの光悦と背徳の日々を忘れたわけではないが、黒髪の美女漁りの頻度は、著しく減った。最近はレムルの面倒を見るのに忙しく、そんな時間もなければ、頭に浮かんでくる事もない。フローラとしては、思わぬ副産物であった。

フローラが一息つこうとして、背伸びをした瞬間に、ドアを叩く音がして、その後でレムルの声が聞こえた。

「お茶とお菓子を持ってきました」

タイミングが良い。レムルはフローラの行動パターンを、大体理解しているのだ。フローラが大声で言う。

「ありがとう。今なら開けても大丈夫」

実験中は危ないので、入るときにはちゃんと許可を取るように言ってある。レムルがお盆を持って、部屋に入ってきた。歩いてくる姿は、上品な立ち振る舞いだ。フローラの好みで、大変良い。

フローラがお茶を飲んでいる姿を、レムルが見つめている。フローラは気になった。これは多分、何か言いたいことがある時の目線だ。フローラが、ティーカップを置いて、尋ねる。

「レムル、どうかしたの?」

レムルが少しもじもじした後で、意を決してフローラに言う。

「・・・私にも、魔術を教えてもらえないでしょうか?」

「ほう!」

フローラは思わず反応した。そのことに関しては、以前から考えていたからだ。そのために事前に読み書きなどは教えてある。ただ、自分から言いだすとは思わなかった。レムルの目が、真っすぐにフローラの目を見つめている。フローラは、少し厳しめに言う。

「・・大丈夫?危ないし、厳しいわよ。私は甘くないからね!」

レムルは目線はそのままで、フローラに言う。

「はい!よろしくお願いします!」

フローラは少し嬉しくなった。が、表情には出さないようにした。




レムルは、フローラの言いつけを守りながら、魔術の勉強を始めた。ドラゴンであり、不死となったフローラと違い、人間であるレムルは、それほど魔力が高くない。それでも、魔術を用いた魔力操作には慣れてもらう必要があった。フローラが開発している魔術は、それほど魔力は必要ないが、魔力操作の技術が不可欠になるからだ。


フローラがレムルの目の前で、炎を出し入れしている。魔力操作のトレーニングだ。レムルは、魔力で作り出した、小さな土塊の操作を練習している。

魔力で何を生み出し、操作するのかは、個人の資質と興味によるところが大きい。ミオリアなどの人魚などであれば、水を使うことが多い。

フローラが、レムルに注意する。

「あんまり一つの操作に、時間を掛けちゃ駄目だからね。細かい操作を重ねて、一つの操作にするイメージで動かしなさい!」

レムルは真剣に土塊を動かしながら、返事をした。

「・・・はい!」


レムルは真面目だった。徐々に、魔術に精通し、フローラの研究を手伝えるようになってきた。

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