フローラとレムル-2
フローラとレムル-2
フローラの屋敷に行商人がやって来た。屋敷は人里離れたところにあるので、フローラは、日用品などを行商人からまとめて仕入れている。フローラが、行商人に次に持ってくるものを指示していた。
「えーと、これと、あれと、あと、子供用の服とか靴とかも持ってきて」
行商人は耳を疑って、思わず聞き返した。
「子供用!?ですか?」
行商人とフローラの付き合いは、そこそこ長い。なので、フローラと子供が、全く繋がらなかった。何といっても、相手はフローラなのだ。
行商人が目を白黒させていると、フローラの後ろから、女の子が恥ずかしそうに顔を出した。フローラとは似ても似つかぬ黒髪の少女。行商人がフローラに尋ねる。
「その子の・・・服と靴、ですね?」
女の子は、恥ずかしそうに、フローラの後ろに隠れた。フローラが、女の子を叱る。
「名前くらい言っておきなさい。ずっと世話になるんだから」
女の子が、もう一度顔を出すと、一言だけ言った。
「レムル・・・です」
そして、すぐに顔を引っ込めた。
行商人は内心で思った。
(凄い。全然似てないな・・・)
・・・・
フローラの計画は、困難を極めた。
レムルは貧困の出身なので、立ち振る舞いがどうしても、それになる。それはフローラの好みではないので、逐一修正していった。テーブルマナー、姿勢、歩き方、言葉遣いなどなど。レムルは素直な性格だったので、そう言った面に関しては、徐々に慣れていった。
だが、フローラは悩んでいる。
(高貴さ、高慢さはどうやって植え付けるべきか・・・)
フローラは高慢さに関しては、余り心配していない。フローラは、自分が高慢であることを自覚している。そんな自分が育てるのであれば、高慢に育つだろう、と見込んでいる。
フローラは、ミオリアを思い出しながら、考えた。あの女の高貴さは、どこから来ていたのだろうか・・・
・・・・
ある日、レムルが何かを拾って、屋敷に戻ってきた。フローラが、レムルが抱きかかえているものを覗く。どうやら、森の中で傷ついた子猫を拾ってきたようだ。フローラが、即座に言った。
「元居た場所に、捨ててきなさい!」
だが、レムルは食い下がった。
「・・・駄目!」
フローラは、少し意外だった。レムルが反抗することなど、殆どないからだ。それでも、フローラは反対する。
「自分の面倒だって見切れないのに、猫の面倒なんて見れるの?出来ないでしょうが!」
レムルは、何も言わない。言わないが、その目は真っすぐにフローラの目を見据えて、動かさない。その目を見て、フローラは気が付いた。
(この目、これだ!ミオリアからも感じた、この目!この目から、高貴さを感じる・・・。ミオリアは、仕方がない形とは言え、都市の運命を守るために、その身を費やしていた。それと同じような形を取れば、高貴さも身に付いていくのではないか・・・)
フローラは方針を変更することにして、レムルに言う。
「分かった。でも、怪我が治るまでだからね。そして、やるならちゃんと面倒見なさいよ。その猫も、自分も!」
レムルの顔が明るくなった。
「ありがとう、フローラ!ちゃんと、面倒見ます」
そう言うと、猫を抱えて、部屋に連れて行った。
それ以降も、レムルは怪我をした動物を時々拾ってきては介護していた。フローラは、最初は一応止めるのだが、それだけで済ませるようにしていた。
・・・流石に、熊を連れてこようとした時だけは、全力で止めたのだが・・・
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