ENTJ上司 ISFP部下
会議室の空気は、朝一番にしては妙に張りつめていた。
ENTJ8w7の上司――黒崎は、腕を組み、椅子に深く腰掛けている。数字とスピードを信仰する男だ。
一方、ISFP2w1の部下――春野は、資料を胸に抱えたまま立ち尽くしていた。人の役に立ちたいが、怒鳴り声には弱い。
ENTJ「で? この企画、なんでまだ形になってない?」
ISFP「え、あ、その……クライアントの気持ちをもう少し――」
ENTJ「気持ち? 仕事に必要なのは成果だ。感情は後回しにしろ」
黒崎の声は大きく、遠慮がなかった。
春野の肩がびくりと揺れる。
ISFP春野「ヤダー😭」
これが一回目のヤダー😭
─その翌週。
デスクに山積みになった修正指示を前に、ISFP春野は目を泳がせていた。
ENTJ「全部やり直し。判断が遅い」
ISFP「でも、現場の人が無理だって――」
ENTJ「だから? 無理を通すのが管理だろ」
黒崎は悪びれない。むしろ、鍛えてやっているという顔だ。
春野は唇を噛み、目に涙を溜める。
ISFP春野「ヤダー😭」
これが二回目のヤダー😭だった。
─さらに次の週はエスカレートしていた。
フロア全体に響く声。
ENTJ「春野くん、君さ、自分が向いてないって自覚ある?」
ISFP「……あります、けど……」
ENTJ「じゃあ努力しろ。できない理由を探すな」
正論の形をした圧力。
春野は反論できない。優しさは武器にならなかった。
ISFP春野「ヤダー😭」
三回目のヤダー😭。しかし彼女は懲りない。
─その3日後
静かだった。
面談室で、二人きり。
ENTJ「結果が出ない以上、期待は下げる」
ISFP「……はい」
ENTJ「君のためだ」
その言葉が、決定打だった。
春野は理解した。ここでは、自分の価値観は生きない。
ISFP「…ヤダー…😭」
四回目のヤダー😭は、虚しく間をおいて響いた。
そして、これが最後だった。
─三週間後。
春野は退職届を出した。理由欄は空白。
黒崎は引き留めもしなかった。むしろ、人員整理が進んだと満足げだった。
数ヶ月後。
黒崎は昇進した。数字は上がり、スピード感も評価された。
――五ヶ月後。
ニュースに、小さく会社名が流れた。
急拡大による資金繰り悪化。倒産。
「調べによると、従業員のENTJ黒崎さんが、ひそかに金庫から資金を持ち出していた模様。その後、警察に逮捕されたようです」
カフェでスマホを見ていたISFP2w1春野は、画面を二度見した。
「ええ……😰」
カップの中のコーヒーは、もう冷めていた。
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