第5回 月からの来訪者
ー壊獣だ。
そこにいた全員がそう直感した。
壊獣が現れたとなれば我々も黙ってるわけにいかない。俺は対策本部へと向かう準備を進めた。
「星野、俺と次答弁するまでになぜ日本だけ壊獣が来るのか、なぜ壊獣を殺したのかまとめて、<カグヤとの因果関係教えろ」
黒田大臣が、星野にそう呟いていたのが聞こえた。黒田大臣としてもさっきの話を聞いては<カグヤ>は見逃せない存在になってしまったのであろう。
「秋山くん!テレビ!テレビつけて!」
小林総理大臣が俺にそう言う。近くにリモコンがあったのですぐにつけた
「[速報]壊獣と思われる生命体、奈々原都郊外の香田山周辺に発生。政府による声明なし」
「何故、今回も予測できなかった?」
俺も同じことを思った。今までの壊獣は月から飛来する特性上、上陸が予想できた。しかし前回の壊獣事案でのあの槍もとい、この壊獣も観測できず、急に上陸した。
「総理、とりあえず私含め特巨庁は臨時で対策本部を設立し、急遽現場で対応にあたります。総理はすぐに記者会見を開いてください。その後特巨庁から避難完了の連絡を待ち、それ以降は自衛隊にて対応をお願いします」
「わかった、秋山くん、気をつけてな。」
そういうと小林総理はすぐに総理官邸へと向かった。それを見届けたあと、俺は対策本部を設立するため、特巨庁の中から5人の人材を引っ張り出し、ヘリで現場へと向かった。
ー特巨庁ヘリ内にて
「秋山さん、臨時対策本部なのはわかりますが全員知らない人なんですが...」
特巨庁から引っ張り出してきた現場分析官桜井昭子がそう口を開いた。
「あぁ、申し訳ない。では現場に向かうまでの間俺が全員紹介しよう。俺の左隣のこいつは星野勇壊獣分析専門研究長官、君も知ってるはずだ。」
「星野長官は存じ上げてました。すみませんよろしくお願いします」
桜井は深々と頭を下げた。
「そして俺の右隣のは石井嵐汎用生物学者、君の左隣の方は射手正也災害時避難監督官、そして最後に君の右隣にいるのが岩本明彦災害避難指揮官だ。」
「みなさん、よろしくお願いします」
桜井が頭を下げると同時に皆が頭を下げた。
「では短い間ですが特巨庁臨時対策本部、このメンバーで行きますのでよろしくお願いします!」
「はい!」
全員が俺の挨拶に元気よく「はい」と応えてくれた。やはりこのメンバーを選んでよかった、この人たちなら責任を持ってやってくれそうだ。
そうこうしてるうちにヘリは間も無く現場の香田山に到着しようとしていた。
現場ではすでに現地の自衛隊が避難誘導を自主的に行っているらしい。
「間も無くヘリ、着陸します!」
パイロットの声で全員が開いていたノートパソコン、資料をしまい始める。こうして我々は現場に到着した。
「すみません、対応が遅れました特巨大臣の秋山と言います。我々で臨時対策本部を編成しましたので、自衛隊のみなさん、防衛省の指示があるまで我々の指示に従って下さい!」
現着と同時に現場で対応にあたっていた陸自に挨拶を投げかけた。
「お疲れ様です!お待ちしておりました!では指揮を臨時対策本部に引き継ぎます」
現場で指揮をとっていた自衛官から指揮権を受け取り、自衛隊の仮説テントにて全員各々の仕事をし始めた。俺は星野と共に壊獣の観測と自衛隊が撮ってくれていた映像と共に分析を始めた。
「この壊獣...何かに興奮してる?」
星野がそう口を開く
「何故そう思う?」
俺が尋ねると星野は一泊置いた後にこう言いはじめた。
「今までの壊獣は解剖でわかっていたようにもっと早く歩けるにも関わらず、時速30km程度の速度で進行していました。しかし今回の壊獣は平均時速60kmといつもと比べてやや速いんですよ」
「この壊獣が今までと違う生態をしてる可能性もあるだろう。そもそも上陸が予測できなかったやつだぞ」
俺は自分の考察を語った。すると星野がまた考察を始める
「レーダーに映らない...予測できなかった...速度が速い...まさか...!」
星野が急に焦り始める
「なんだ?何かわかったのか?」
「こいつここで何かと闘う準備を進めてる!見てくださいこのサーモグラフィー映像!」
興奮気味の星野がサーモグラフィーで壊獣をうつした画面を見せつける。
「ここ見て下さい!この胸の辺り、すごく高熱に発光してる!ここに今までの壊獣は有機的な核融合炉がついてた!こいつはそれを起動させて狩りに使うであろう爪に熱を溜めてる!」
興奮気味の星野に対して俺は諭すようにこう言った
「いや、戦うって何と戦うつもりなんだよこいつは...」
そんなことを言っていたら後ろにレーダーを監視していた自衛官がこう叫んだ
「上空から急激に接近する飛翔体観測、詳細不明です!」
星野はまさかと言う顔をしながら叫んだ!
「伏せて下さい!!おそらく人型の生命体がここに落ちてくる!!」
「うわああああああ!!」
テント内がパニックに巻き込まれる
そんなことをしてうちに全体にすごい衝撃波が走った。
ーズゥゥゥゥゥゥン
「なんだ....あれは....」
衝撃波で気絶していなかった俺を含んだ数名は300m先に壊獣の前に立つ80mはあろう黄金と黒に纏われた美しすぎる巨人を目撃した。
星野が俺の耳で静かにこう呟いた。
「秋山さん...あれが<カグヤ>....いや、国際連合基準に合わせてこう呼びましょう...あれがカマルマンです...」
「カマル...マン....」
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