3.持久走サボりたい!

 持久走大会当日。いつもより早く目が覚めた。カーテンを開くと、そこには

「……え。」

 雲一つない青空が広がっていた。

「確かに条件は満たしたはずだ!チェックマークだって付いてる!」

 学校へいく道すがら、カナトが『ふるふる大事典』を見せた。

「もし、俺達がおまじないのやり方を間違えていたなら、マークがついてないはずなんだ。つまり、やり方は合ってるんだよ!」

「じゃあ、この本自体がインチキ……」

「ないない!ジュンにも見せたろ?それに、俺も何回か試したんだ。その時はちゃんと降ったんだよ!」

 ほとんど悲鳴に近い声でそう叫ぶジュン。しかし、実際雨は降らなかった。そして、

「おー!おはようお前達!今日は持久走日和だな!」

 校門前で笑っている石塚先生が、現実を突きつけて来る。

「じゃあ、教室に荷物置いたら、水筒だけ持ってグラウンド集合!」

 15分後、絶望と悲壮感たっぷりの顔で、僕とカナトは学校の周囲1.5キロの持久走に出発した。


「死ぬかと思った……。」

「俺は死んだ……。」

 ゴール地点の校門で、僕もカナトも腹を押さえて倒れ込んだ。順位は言うまでもないけど、ドベとブービー。

「お疲れ様!お前達、去年よりタイム上がってるぞ、良かったな!」

 石塚先生が僕らにストップウォッチを見せながらガハハと笑う。僕とカナトはヒィヒィと答えるしかなかった。

「先生はコースに置いたコーンを片付けて来る。お前達はまだ休んでていいからな。」

 そう言って先生は校門から出て行った。その後ろ姿を見送りながら、僕はふと、校門脇に置かれた荷物に気付いた。大きめの水筒とジャージの上着、そして、「2年1組」と書かれたファイル。石塚先生の荷物だ。そして、ジャージの下に埋もれている、赤い布地の分厚い本がちらっと見えた。金色の装飾が施されている。

「……なあ、カナト。」

「何……?」

 まだ呼吸の整っていないカナトがこちらを見る。僕は石塚先生の荷物を指さした。

「ちょっと考えたんだけどさ、雨を降らせる事典があるなら、晴れさせる事典もあるんじゃないか?例えば……『ばっちり!てるてる大事典』みたいな。」

 

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ばっちり!ふるふる大事典 根古谷四郎人 @neko4610

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