第2話必然的な運命
『さっきはありがとうございました』
男の人が座る席の前まで行くと
あたしは勢いよく頭を下げた
『いや、たいしたことじゃないし、俺は前にも食べたことあるから。』
あたしはニコッと笑ってもう一度軽く頭を下げると
『失礼します』と言うと同時に前の席に座る
『白森 智那 西野高校1年生16歳です!お兄さんはお名前は?』
『俺、は、、、不破です。』
『下のお名前は?』
『…不破 純太です』
不破 純太!!!
その人の名前を知った瞬間
あたしの心は痺れていく
『高校生?じゃないですよね?大学生ですか?』
純太は眉根を寄せて
薄茶の長い前髪から困らせた大きな瞳を揺らす
『西一大学二年です。』
『西一大学!?』
あたしは思わず素っ頓狂な声をだしてしまう
あたしの通う西野高校と西一大学は
割と近くて
でも西一大学は西野高校をちょっとお子様だと思ってるのか
相手にもしていない。
西一大学は偏差値も高くて有名なとこだ
お兄ちゃんが前に言っていたことを思い出した。
《あの大学ははいるのも大変だけど、卒業がもっと大変らしいぞ
そうは言ってもボンボンやお嬢様が通うとこだけもなー》
そんな頭いいとこに通ってるなんて
なんて
なんて
なんてーかっこいい!!!
あたしは純太のかっこよさに密かに打ち震えた
『檸檬マカロン食べないの?』
『え、あ!食べます!いただきまーす!』
香りのいい小さな黄色いマカロンを口にほうりこむ
口の中いっぱいに広がる檸檬の酸味と甘みが
まるであたしの純太への恋心のようで
ドキドキと心が跳ね上がる
美味しいものを食べると
それでも笑みがこぼれてしまう
あたしは両手で頬にあて『んー』と
美味しさで唸って満面の笑みを浮かべる
純太は片手で頬杖ついて少し首を傾げて
私を見ていた。
その顔は穏やかで優しさで口元が緩んでいる
『美味しい?』
『はい!すごく!隠れ家カフェだから苦労して放課後探した甲斐があったです!』
『そっか、それならよかったね』
あたしをみる純太はどこかおかしそうに
黒目がちの大きな瞳にあたしを映していた。
『それより何より!こうして一つの黄色いマカロンがあたしと純太、、、さんを引き合わせたって思うよ!』
『引き合わせたってそれは偶然だよね?』
『違う!それは違いますよ!偶然は必然でしかないからそしてそれこそが運命の、出会いというんですよ!!!』
思わず熱がはいりすぎて
席を立ち前のめりになって告白にも似た力説をした
多分あたしの顔は赤い
だって偶然なんて寂しい
必然は運命を引き寄せていくというのかな
今まで恋愛に興味など示さず
運命とは?とも考えたこともなかったのに
今この瞬間すごくこだわってしまう自分に少し不思議はあるけれど
あたしは至って真面目だ。
『ふーん智那ちゃんは面白いこと言うんだね』
智那、ちゃん、だとーーー?!
それすらに舞い上がりそうなあたしは
意を決してそのまま言葉を続けた。
『あたし不破 純太さんが大好きです!一目惚れしました!あたしをあなたの彼女にしてください!!!』
最後は願いを込めてギュッと目を閉じた
この先の答えなんか想像もつかないけど
今、すごく心臓の音がうるさくて頬が熱い。
『付き合わない。』
あたしはその純太の声にバッと、顔をあげ
更に気持ちを伝え続けようと意気込むと
さらっと純太が、言う
『でも、時間があればまた、会わない?ここでさ』
純太はイタズラに、片笑むと
顔を赤くしているあたしの頭を優しく撫でた。
『俺このあと家の用事があるからもう帰るけど、平日はここによくいるんだよねこの時間あたりかな』
『じゃぁ連絡先を』
あたしが鞄から急いでスマホを取り出そうとすると
純太は大きな手で制してニコッと笑った。
悪い笑顔
ずるい
あたしの耳元の近くでささやいた。
あたしはその瞬間頷いてしまった。
純太の近さと
純太から香る甘い香りがあたしの思考を鈍らせた。
不思議な人
ちょっとイジワルな人
でも、優しい人
まるでこれじゃゲームじゃん
しかもあたしが完全に遊ばれてる
ちょっと悪い王子様だけど
あたしは純太とのあるゲームを
早く実行したくてうずうずしていた。
黄色いマカロン〜私を彼女にしてみない?〜 紅夜 @honey180
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