2頁 案山子

 ススキが秋風に揺れています。

田んぼの隅に『捨て場』の看板が立っていました。

そこにはたくさんの案山子(カカシ)が捨てられて居ます。

案山子はみな同じ顔が描(カ)いてあります。

 「へのへのもへじ」。

案山子が着ている服はみな違います。

子供のセーター、おばさんの着物、オヤジの背広、母の割烹着、あ爺さんのドテラ。

麦藁帽子を被ったマネキン人形まで捨ててあります。

ホッペタには捨てられた日にちが書いてあります。

 軽トラが停まりました。

農夫が三躰の案山子を荷台から下ろし、捨て場に担いで行きました。

捨て場の隅に、『お地蔵様』が立って居ます。

農夫はお地蔵様に線香を挙げ、手を合わせてて行きました。

農夫の捨てた案山子の顔には、貴子、権蔵、春樹と書いて有ります。

雉(キジ)が、


 「ケン、ケン、ケン」


と三回泣いていました。

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