第6話 交換殺人

 前述における、完全犯罪というものを考えた時。

「動機を持った人間」

 というものと、

「実行犯」

 というものが、表にその関係が出てくることがなければ、警察の捜査で、事件を解決はできないということから、

「迷宮入りになる」

 ということで、

「完全犯罪となる」

 ということであったが、それは、あくまでも、探偵小説という、架空の話ということであれば、できなくはないといえる。

 これが、実際にやろうとすると、無理があるというのは、

「史実の世界」

 において考えられるということである。

 というのは、

「犯罪計画というものを、理論上だけで考えれば、できなくはない」

 ということになり、

「精神的なことが絡んでくると、精神的な部分においても、物理的に不可能だ」

 といえることになるという、

「一つの大きな例えだ」

 といえるのではないだろうか?

 というのは、

「考えかたとしてできるとすれば、交換殺人」

 という考えかたということになる。

「交換殺人」

 というのは、

「実際に殺意を持った人間がいて、その人は、当然捕まりたくはない」

 と思っていたとする。

 そうなると、前述のように、

「実行犯を別に設けて。その人物は、被害者とは、まったく接点のない人物」

 つまりは、

「捜査線上に浮かんでこない」

 という人物であること。そして、

「本人は、動機がある」

 ということで、当然のことながら、

「重要参考人」

 という立場にいるわけなのだが、実際には犯行を犯していないのだから、自分に、

「完璧なアリバイ」

 というものが存在すれば、それこそ、

「完全犯罪だ」

 ということになる。

 実行犯がたとえ捕まっても、自分が捕まらなければそれでいいという考えでもある。

 かつての、探偵小説のトリックとして、一つ考えられたこととして、

「顔のない死体のトリック」

 ということで、

「死体損壊トリック」

 というものがある。

 これは、

「身元がまったく判明できない死体」

 というものを示すことで、

「犯人と被害者が入れ替わる」

 という考えであった。

 この場合のメリットとしては、

「犯人は、死んだことになっているので、絶対に警察に捕まることはない」

 ということである。

 当時は、時効があったので、その時効が完成するまで、果たして隠し通せるか?

 ということが一番の問題である。

 しかし、いくら、昭和の時代とはいえ、

「死んだことになっている」

 という人間が、ずっと生き続けられるということは、ほぼほぼ無理だといってもいいだろう。

「住民票もない。健康保険証もない」

 ということで、

「就職することはもちろん、住居を持つことも、病気になっても、医者に罹れない」

 ということになるので、まず時効が完成するまで生きていくことは難しいといえるだろう。

 だからこそ、

「小説の中であれば」

 ということもいえるのだ。

 実際には、少しの間隠れとおすことはできても、結局、生きていくことができないということで、

「自首した方がましだ」

 と考えるだろう。

 要するに、

「自分が死んだことになっているので、表に出ることができない」

 ということが、

「死体損壊トリック」

 では問題となるのだ。

 では、

「交換殺人」

 というものであれば、どうであろう?

 交換殺人というのは、

「2人の男がいて、共通しているのは、誰かを殺したいという殺意というものを持っている」

 ということである。

 その動機や、度合いは様々であろうが、

「復讐」

 であったり、

「殺さないと、自分が生きていけない」

 というような切羽詰まった状況であれば、

「機会があれば、殺人を実行したい」

 と思っていたとしよう。

 殺人を実行しないのは、

「殺人というものが犯罪で、してはいけないこと」

 というような、道徳やモラルに反するという考えではなく、単純に、

「捕まりたくない」

 ということであるならば、

「少しでも完全犯罪に近い」

 ということであれば、今の自分の立場と照らし合わせれば、殺害の実行というのも、否めないということになるので、実行に対しての可能性も膨らんでくるというものだ。

 そのためには、

「犯罪計画」

 というのが問題になる。

 一人で考えていて、なかなか完全犯罪というのは難しい。

 つまりは、

「犯罪を行うには、そのための、きっかけとタイミングというものが必要だ」

 といえるのではないだろうか。

 そこで、考えられることとして、

「まったく同じ立場の人間がいれば、お互いに、相手の殺人動機を持った人間に対して、自分が実行犯となる」

 ということである。

 いわゆる。

「交換殺人」

 というものであるが、これは、

「死体損壊トリック」

 というもののように、

「実行犯が、まったく捜査されることはない」

 ということでの、

「完全犯罪」

 ということになるという考えだ。

 ただ、

「時効になるまで、精神的にもつものか?」

 というのが、死体損壊トリックというものと同じことであり、ただ、今回は、

「自分が死んだことになる」

 というわけではないので、死体損壊トリックのように、

「ずっと隠れている」

 という必要もなければ、

「日常生活というものに危険が及ぶ」

 ということはないといってもいいだろう。

 ただ、そのかわり、

「死体損壊トリックにはないしがらみ」

 というものがあり、それが、

「探偵小説では、時々あることであるが、リアルな犯罪としては、ありえない」

 といわれるゆえんであろう。

 探偵小説においても、

「死体損壊トリック」

 というのは、結構目立った時代があったが、

「交換殺人」

 というのは少なかった。

 それだけ、

「大きな結界」

 というものがあるということになるのではないだろうか。」

 交換殺人というのは、

「誰かを殺したい」

 という人が偶然知り合うというところから、物語は始まるということである。

 大まかな計画としては、

「殺したい相手をもう一人の人間に殺してもらう」

 ということで、

「動機のある人間が、実行犯ではない」

 ということで、

「殺したい相手を自分で子留守のではなく、実行犯を別の人にする」

 ということで、その人物は、

「被害者とは、まったく接点がない」

 ということが前提となる。

 つまり、実行犯には、絶対にアリバイはないので、実行犯が、犯人だと思われてしまうと、おしまいということである。

 警察の捜査としては、まず被害者の人間関係を洗い出して、そこからアリバイを調べたりして、犯人を絞り込むということになる。

 しかし、

「殺意を持った人間に、全員アリバイがある」

 ということであると、

「犯人はいない」

 ということになり、考えられることとしては、

「動機なき殺人」

 つまりは、

「衝動的な犯行」

 ということで、それこそ、捜査は難航することになるだろう。

 逆にいえば、

「もし、本当の完全犯罪というものを考えるとすれば、自分以外の動機を持った人間が、警察に捕まってくれることが一番ありがたい」

 ということである。

 そうなれば、別に、

「交換殺人」

 などということを行わなくともいいわけだからである。

 交換殺人で、

「完全犯罪」

 といわれるのは、

「犯人は動機のある人間の中にはいない」

 ということで、捜査は小康状態となり、時間だけがすぎていくことで、事件が迷宮入りということになるのが、目的ということである。

 ただ。そのためには、いろいろなしがらみというのがある。

 それが、

「心理的なもの」

 というところに、犯行計画が合致しない場合が出てくるということからであろう。

 一つには。

「犯人であるそれぞれが、まったく知らない同士の人間だ」

 ということにしておかなければいけないということだ。

 一つの事件において。いくら実行犯が、

「被害者とはまったく無関係だ」

 といっても、

「容疑者の人間関係の中に、実行犯が入っている」

 ということになれば、その人物も今度は、

「共犯」

 ということで捜査される。

 当然実行犯なので、

「アリバイがあるわけではない」

 ということで、今度は、

「二人の立場関係」

 などが、捜査されるだろう。

「弱みを握られていることでの犯行」

 という具合にである。

 しかし、実際に、それが分かってしまうと、いくら、完璧な計画を立てていたとしても、今度は、

「うかつに動けない」

 ということで、

「もう一つの犯罪」

 というものに、着手する前に、犯罪が瓦解するということになるだろう。

 それが、一つの問題ということになる。

 もう一つの問題ということで。こちらも、

「心理的に大きな問題」

 ということになるのだが、

 それは、

「犯罪の順番」

 ということでの、

「犯罪者の優先順位」

 といってもいいかも知れない。

 交換殺人というのは、

「殺したい人がいて、自分が犯行を犯せば、動機があるだけに、警察に逮捕される可能性が高い」

 ということで、そのために、

「実行犯を別の人間に仕立てる」

 ということから、二人が知り合いだということであってはまずいということから、

「因果関係はない」

 ということで、普通であれば、

「共犯に仕立てるということは不可能だ」

 ということになる。

 そのために、

「お互いの立場を同じ」

 ということにして、

「お互いに、お互いの殺したい相手を殺してもらう」

 ということにすれば、別に二人に因果関係がなくても、成立する犯罪だということになるであろう。

 しかし、よく考えれば、

「この犯行は、かなり難しい」

 ということになり、二つが考えられる。


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