第6話 👄【語り部・美月】中学校と動画研究部
これから話すのは私達の身に起きた、本当の出来事。
話をする前に、まずは私達のことを紹介しておくね。
私、美月には4人の幼なじみがいたの。
同級生の女の子、葵ちゃんに、同じく同級生の男子、悠真くん。
そして1つ年上の翔くんと、2つ年上でみんなのリーダーだった怜くん。
私達は親同士が同じ中学の同級生で、それが切っ掛けで小さい頃からよく一緒に遊んでたの。
周りからは、仲がよくて羨ましいって言われてたなあ。
実際私はみんなのことが大好きで、自慢の幼なじみだったよ。
だから全員同じ中学校に入った時は、ワクワクしたなあ。
怜くんと翔くんは学年が違っていて、5人で過ごせる時間は1年しかなかったけど、それでもみんな揃ったことが嬉しくて。
しかもその中学校は、私達のお母さん達の卒業校でもあったの。
元々お母さん達が同じ中学だったのが私達の仲良くなった切っ掛けだったし、なんだか運命的なものを感じたよ。
だから入学式の日はウキウキしながら、葵ちゃんと一緒に校門を潜ったの……。
「ふふふ~ん、ふふふ~ん♪」
「美月、今日はやけにご機嫌ねえ」
「だって葵ちゃん、中学生になったんだよ。この制服、前から憧れてたんだー」
くるっと回転すると、真新しい制服のスカートがなびく。
青いブレザーに赤いリボン。ずっと着たかったんだよね。
周りには私達と同じ新入生がたくさんいて、中にはこっちを見てクスクス笑ってる子もいたけど、そんなの気にしない。
これから始まる中学校生活を想像しながら胸をときめかせていると、校門の方から見慣れた顔が小走りで近づいてくるのが見えた。
あれは……。
「おーい、美月ー、葵ー!」
「あ、悠真くーん!」
やって来たのは、悠真くん。
私達と同じで、今日から中学生になる男の子。
私や葵ちゃんとは違ってリボンじゃなく、赤いネクタイをつけている。
何度も一緒に遊んできた幼なじみだけど、中学校の制服を着てると、なんだか印象が違う。
けど人懐っこい笑顔は変わらないや。
「おはよう、今日から同級生だな」
「うん。小学校のころは、悠真くんだけ学区が違ってたからねえ。けど、一緒に通えて嬉しい!」
「私は微妙かな。もし宿題教えてって言っても、見せてあげないから」
ジトーっとした目の葵ちゃん。
小学校は違ったけど、悠真くんの終わってない夏休みの宿題を手伝ってあげたこと、何度かあったからねえ。
だけどそんなこと言いながらも、葵ちゃんだって本当は嬉しいに決まってる。
親友だもん、それくらいわかってるよ。
3人で話していると、さらにもう2つ、私達に近づいてくる人影が。
「よう、3人ともそろってるな」
「みんな、入学おめでとう」
やって来たのは、2人の男子生徒。
だけど赤いネクタイの悠真くんとは違って、紺色と緑色。
私や葵ちゃんのつけてるリボンもそうだけど、この学校では紺色は3年生、緑色は2年生の証。
2人とも上級生なんだけど、私達は2人のことをよーく知っている。
「怜くん翔くん、おはよう! 今日から同じ学校だね!」
萎縮することなく、明るい声で挨拶をする。
これが他の上級生なら、こんな風に挨拶なんてできなかっただろうけど、怜くんと翔くんは違う。
だって2人とも、気心知れた幼なじみなんだもの。
「お前らが来てくれて嬉しいよ。ところで、例の件考えたくれたか?」
怜くんが言ってる例の件っていうのは、部活動の話。
実は私達みんな、怜くん達から同じ部活に入らないかって誘われてたの。
2人が入っているのは、動画研究部。というかこの部、なんと怜くんが立ち上げたんだって。
去年動画投稿に興味を持った怜くんが、幼なじみの翔くんに声をかけて結成。
『歌ってみた』や『踊ってみた』系の動画をいくつも撮影して、ネットに投稿してるの。
2人の撮った動画は私も観て、自分でこんな動画を作れると思うとワクワクした。
だから答えは、すぐに決まったよ。
「私はいいよ。と言うか、入りたい!」
「私もいいわ。それにどうせ断っても、しつこく勧誘するつもりなんでしょ」
「ははっ、バレたか」
怜くんは笑ってるけど、もしも葵ちゃんが本当に嫌がってたらそんなことはしない。
それに葵ちゃんだって、本当に気が進まなかったら入ったりしないよね。
そうなると後は……。
「悠真くんはどうするの?」
「う~ん。俺は中学でも、バスケ続けたいけど……」
返事につまってる。
悠真くんは小学校の頃からバスケをやっていて、チームではレギュラーだった。
当然、中学でもバスケ部に入ろうって考えてたみたいだけど……。
「だったら掛け持ちでどう? 僕もパソコン部と掛け持ちしてるんだ」
翔くんが言う。
たしか翔くんは編集の腕を買われて、動画研究部に勧誘されたんだよね。
「そういうことなら、構わねーぜ。というか、俺だけハブられるのも嫌だしな」
「じゃあ決まりだな。よっしゃ、これで5人揃った。楽しくなりそーだ!」
嬉しそうな怜くんを見て、私も胸を踊らせた。
まだ入学したばかりだけど、この5人ならこれからの学校生活は絶対に楽しいものにできるって確信したの。
でもね……。
この時私は……ううん、私達は気づいていなかったの。
楽しい学校生活どころか最低最悪の運命が、すぐそこまで迫っていることに……。
【続く】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます