第2話

 新卒で入った老人ホーム。事務職。

 私だけ劣悪な環境と気づかず。

 私以外の新卒が早々に退職していく姿を尻目に、淡々と作業をして、慣れた頃。

 

 いつものように先輩から教わりながら仕事をしていた。

 気が緩んだのか、突然椅子に座れなくなり過呼吸。椅子に座ろうものなら吐き気がする。やむなく床に座り込んで自分の不甲斐なさに涙を流した。

 流石に危険だと感じた先輩が帰るよう言い渡し、家にいた祖母が迎えに来てくれそのまま病院。

 ストレスによるものだろうと。

 一日休んですぐ仕事に戻った。

 

 月日は経ち、風邪が流行る頃。咳ばかり出るようになった。

 熱はない。鼻水もない。原因不明の咳。老人ばかりいる職場のため、早く治せと言われる。電話対応もあるがロクに出られず数日休む。

 それでも治らず、病院に行ってもまた「ストレス」と言う言葉を聞く。

 

 あれ、もしかしてストレス耐性ないのか? とここで気づき始めるが無視。

 だが、体の不調が頻出してきたので退職を申し出る。

 よく聞く「1年で退職した事務なんてどこも雇ってくれないよ」と事務長に言われる。

 他にも何か言われたが、すぐに辞めさせてもらえなかったことで涙。


 数ヶ月後に無事退職し、次の会社へ。

 メール対応中心のカスタマーサポートだった。


 金銭に関わるものということもあり、客の怒りが多く届く。

 改善しようと提案をするが、エンジニアは「できません」の一点張り。

 謝るしかないストレスと、できないと投げるエンジニアに対しての不満。


 新規が入っても体調不良で長期休み、または部署異動。

 古参しかいない世界で一人もたつき、日に日に課題だと押し付けられた難しいクレーム対応ばかりさせられストレス過多。


 ついには私も「神経衰弱」とメンタルクリニック(以下メンクリ)にて病名をつけられ長期休み。

 神経衰弱ってなんだよ、トランプゲームかよとその時の私に笑う余地はない。

 だが、家族には笑って「同じな病名をつけられた」と話す。

 

 心の中ではそんな病名があるのかと、どこか他人事のように思いつつ、優しい声で宥められて涙腺崩壊。涙でぐしゃぐしゃになった顔のまま帰宅。

 毎月産業医に体調を確認されるストレス。メンクリに通うストレスが日々を埋める。

 

 休める期間を休みきって、退職か復帰か選べと言われ、転職をしたくなかった私はメンクリの先生に「仕事できるって書いてください」と自身の気持ちは無視して診断書を書かせ復帰。

 だが、ものの一ヶ月で体調を崩し始めやむなく自主退社。

 

 元々嫌だった寄り添いや干渉がさらに無理になり、メンクリも通うのをやめた。

 

 一度壊れてしまったものは治らないと言うし、どうしようもないんだ。それなら病院行く必要はないだろうと。

 通院すればいろいろ恩恵があっただろうに……と今は思ってしまったりもするのだが、すべて後悔なので、行動するわけもなく、今も生きている。

 

 カスタマーサポートの時、上司には「あなたはお客様に感情移入しすぎて苦しくなっている。でも、そのかいあってアンケートはいいものばかり」と言われて納得した。

 自慢にはなるが、先輩たちを差し置いてぶっちぎりで良い評価をもらっていたことがある。

 まあ、上司としては「それで壊れたら元も子もないよね」とも言いたかっただろう。直接言われなかったけど。

 私もそう思うが、「もっと軽く捉えて。帰ったら仕事のことは考えないで」と言われても負の感情は特に消せない性分のため、多分今後も人よりも少し多く変に引きずるだろう。


 「俗に言う、繊細さんなんだね」

 なんて分類されて少しだけ、名前がつくとチープな気がしてしまった。

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自分はメンタルが強いと思っていた。 勿夏七 @727x727

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