モブの僕が、君の隣で主人公になるまで

Yuu

神様、僕に勇気をください

神様、僕に勇気をください。

後ろからしか見られなかった君の背中に、今日こそ話しかけよう——そう思うたび、足が止まる。


入学式。桜の下に立つ君を見た瞬間、心臓が跳ねた。人生で初めての“一目惚れ”だったと思う。

教室で同じ学年だと知り、名前も分かった。宮村花蓮さん。


宮村さんは僕の想像どおり、いや想像以上に眩しかった。成績は優秀、人当たりもよくて、学校が始まって一週間でクラスの人気者になった。

それに比べて僕は、教室の端で一人。中学から変わらない日常だ。高校になれば少しは変われるかも、と期待したのに——環境が変わっても、自分が変わらなければ何も変わらない。


「南城!!」


声をかけてきたのは松村だ。中学から一緒で、僕と同じ“端っこ”にいるタイプ。休み時間はよくアニメや漫画の話をする。


「お前のクラス、何度来てもレベル高いよな」


「レベル?」


「女子の。特に宮村さん。俺のクラスでも話題だぞ」


「……確かに、目立ってる」


「ずるいな。お前のクラス」


「僕らみたいなのには関係ないよ」


「うっ……。でも夢くらい見たいだろ」


そうこうしているうちにチャイムが鳴った。


昼休みはいつも松村と弁当を食べる。ぼっち同士の、静かなランチだ。

それでも宮村さんの名前は、遠くのクラスまで届いている。才色兼備。そう言われても納得してしまう。


「……話してみたいな」


窓の外を見ながら、つい小さく呟いた、その時だった。


「落としてるよ」


「南城くん、消しゴム落としてるよ」


「えっ、僕?」


振り返ると宮村さんが立っていた。


「さっきから言ってるじゃん」


「あっ……ありがとう」


声が震えたのが自分でも分かった。


「緊張しすぎだよ」


笑った君の顔を見た瞬間、胸が破裂しそうになって呼吸の仕方を忘れた気がした。


「ご、ごめん」


「私こそ、急に話しかけてごめんね」


「いや……拾ってくれて、ありがとう」


その言葉をやっと絞り出すと、宮村さんは少しだけ目を細めた。


「どういたしまして」


その瞬間、はっきりした。

僕は、宮村花蓮が好きなんだ。

この鼓動が恋じゃなかったら、何と呼べばいいんだろう。

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2026年1月15日 21:00
2026年1月16日 08:00
2026年1月16日 21:00

モブの僕が、君の隣で主人公になるまで Yuu @sucww

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