【第7章: 城への潜入と対決の始まり】
現実世界の夜、悠真は阿佐ヶ谷の自宅アパートに戻っていた。りえの墓参りを終え、手に残る花の香りと墓石の冷たさが、まだ心に染みついている。リエルの共有で蘇った妹の記憶——給食の味、ブランコの風、カレーライスの甘辛さ——それらが現実のりえの人生と完全に重なった瞬間、悠真は涙をこらえきれなかった。大学で拓也に「最近、家族のこと考えてさ」とだけ話したら、拓也は静かに肩を叩いてくれた。「いつでも話聞くよ」。エコリアの旅が、現実の人間関係まで深くしている。
ベッドに横たわり、目を閉じる。「リエル……りえ。お前が俺の妹だって、もっと確かめたい。ヴォルドを倒して、全部終わらせよう」。渦潮を呼び、転移。
──エコリア、古城到着の夜。満月が空に浮かぶ。
三人は古城の外壁を見上げていた。黒い石で築かれた巨大な城、尖塔が月光を浴びて不気味に光る。周囲は霧に包まれ、記憶の渦潮が乱れているのが肌でわかる。門は固く閉ざされ、衛兵の記憶獣が巡回している。
セラが小声で言った。「着いたぜ。満月の夜……儀式は今夜だ。ヴォルドは地下の祭壇でやってるはず。俺の昔の記憶で、城の構造はぼんやりだけど、裏口から潜入できる。」
リエルは悠真の袖を引いた。「……お兄ちゃん。共有で、りえの記憶がまだ胸に残ってる。地球の俺——りえの気持ちが、怖いけど嬉しい。儀式を止めれば、もっと記憶が繋がるかも。」彼女の声は震え、青い瞳に涙が浮かぶ。
悠真はリエルの手を強く握った。「リエル、りえ……そうだよ。お前は俺の妹の投影。でも、今のリエルはリエルだ。俺の大事な人。絶対守る。セラも一緒に、潜入しよう。」
セラがにやりと笑った。「へへ、家族ドラマか。俺の地球記憶も刺激されてるぜ。浩太の残業後の疲れみたいに、緊張してるけど……行くぞ。」
三人は霧を利用して裏口へ。セラの勘で隠し扉を見つけ、静かに開ける。城内は薄暗く、壁に記憶の瓶が並び、青い光を放っている。衛兵の足音が近づく。
最初の戦闘。記憶獣の衛兵二匹が襲いかかる。悠真は共有剣術で一匹を斬り、リエルがナイフで援護。セラは短剣で隙を突く。
廊下を進む。ヴォルドの声が遠くから響く。「転移者の記憶……新鮮な地球の香りがする……来い、来い……」
リエルが初恋の記憶を燃やし、拒絶の結界を張った。「あの痛み、失ったけど……お兄ちゃんを守るため!」結界が衛兵の攻撃を弾く。
悠真はリエルに共有で伝えた。「リエル、ありがとう。現実の俺の初恋の記憶、見えたろ? 中学の時、振られて泣いたやつ。似てる痛みだよ。でも、今は君がいる。」
セラが笑った。「おいおい、ロマンスは後だ。階段だ、ここから地下へ。」
地下祭壇へ。巨大な部屋、中央に渦潮のような魔法陣。ヴォルドが立っている。黒いローブの貴族、顔は影に隠れ、声だけが響く。
「ようこそ、転移者。悠真……そして、俺の合成娘リエル。セラもか。地球の記憶たちを、すべて統合しよう。」
ヴォルドが手を振る。他人の記憶を強制燃焼し、炎の波が襲う。街一つ消滅させる威力。
悠真は母親の子守唄の記憶を燃やし、リエルを治癒の光で守った。「お母さんの声……なくなった。でも、君のために。現実で母親の写真見ても、感情薄くなるかもだけど……いいよ。」
リエルが叫んだ。「ごめん、悠真……お兄ちゃん! 俺はヴォルドの合成記憶だ。でも、共有で本心が変わった。りえの記憶が、俺に希望くれた。助けるよ!」
リエルがヴォルドに反旗。合成の鎖を共有で断ち切る。
セラが援護。「悠真、耐えろ! 現実の大学みたいに、ここでも変えろ! 俺の地球記憶も、燃料にするぜ!」
ヴォルドが嘲笑。「愚かな。リエルは俺が悠真のトラウマから作った器。妹の記憶を基に、地球の日常を混ぜて……すべて俺のものになる!」
戦闘が激化。悠真はリエルとセラと連携。共有で互いの記憶を借り、剣術とスピードを強化。
ヴォルドの攻撃が悠真をかすめ、傷を負う。だが、リエルの治癒で立ち上がる。
悠真は叫んだ。「ヴォルド、お前の孤独、共有でわかる。俺の大学での孤独と同じ。でも、変われるよ。リエルはもうお前のものじゃない!」
対決は続く。満月の光が祭壇を照らす。
現実パート: 悠真の体調が悪化。病院で検査。「ストレスですね。夢がリアルすぎるって?」。大学で友達に心配されるが、「大丈夫。もう少しで終わるよ」と微笑む。
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