第十五回:眠れる森のヤンデレ! 添い寝の順番はくじ引きで

「さあ、悠真くん。もう誰も邪魔は入らないわ……」


黒井先生の指先が俺の胸元に触れようとした、その時。 背後の湯船から、**「ゴボゴボゴボッ!」**という凄まじい泡の音が響いた。


「……ま、待ちなさい……先生……。悠真くんの、左側は……私の……特等席よ……」 アロマで眠らされたはずの桜が、白目を剥きながらゾンビのように立ち上がった。


「清め……まだ、終わって……ま、せん……。私の数珠が……唸って……」 美雪も、まるでホラー映画の貞子のような動きで浴槽の縁を這い上がってくる。


「あはは……先輩を、一人占め……なんて……ダメだよぉ……」 白鳥に至っては、寝言を言いながらも正確に俺の足首を掴んで離さない。


「あら、意外としぶといわね。愛というより、もはや呪いかしら?」 黒井先生は呆れたように肩をすくめたが、その目は笑っていない。


深夜のベッド争奪戦

アロマの影響で全員がフラフラのまま、戦いの舞台はバスルームから、スイートルーム中央のキングサイズベッドへと移された。


「……いいわ。これだけ人数がいるなら、平和的に解決しましょう。**『添い寝の順番くじ引き』**よ。一時間交代で、悠真くんの隣を確保する権利を決めましょう」


黒井先生が提案した。もはや「寮監」としての尊厳はどこかへ捨ててきたらしい。


「一時間なんて短すぎます……せめて、一生交代なしで……」 美雪がブツブツと呪詛を吐きながら、割り箸で作ったクジを引く。


結果――。


第一時間:白鳥(「やったー! 先輩を抱き枕にしちゃうもんね!」)


第二時間:美雪(「耳元でずっと般若心経を唱えてあげます」)


第三時間:黒井先生(「大人のテクニックを教えてあげるわ」)


第四時間:桜(「最後は、私がそのまま彼を永久に連れ去るわ」)


(俺の睡眠時間は!? 俺の明日の人権は!?)


睡魔と執念の密室

一時間目。白鳥が俺の背中にピッタリと張り付き、なぜか俺の背中に**マジックペンで「白鳥専用」**とデカデカと書き込む。


二時間目。美雪に交代した途端、彼女は俺の腕の中に自分の枕を無理やりねじ込み、**「これで私たちは一心同体です」**と俺の指に赤い糸をぐるぐる巻きにし始めた。


三時間目。黒井先生の番。 「悠真くん、起きてる?……ふふ、寝たフリをしても無駄よ。あなたの心拍数、さっきから女子寮の非常ベルより速いわよ?」 先生が耳元で甘く囁きながら、俺のパジャマ(女装用)のボタンを一つずつ外していく。


(死ぬ、死ぬ! 心臓が止まる!!)


四時間目。ついに桜の番。 だが、その頃には全員の意識が混濁し、もはや誰が誰の隣にいるのかわからない**「人間団子(カオス)」**状態に。


「悠真くん……愛してるわ……」 「先輩……動かないで……」 「悠真さん……成仏して……」 「いい声で鳴きなさい……」


四方向から絡みつく手足、髪の毛、そして重すぎる愛。 俺は一睡もできないまま、窓の外が白んでいくのを見た。


「……誰か、警察じゃなくて、俺を無人島に送ってくれ……」

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新説:真夜中の女子寮 ~潜入! 男子禁制の聖域~ Juyou @gtoair2446890

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