第十二回:ステージ崩壊! 舞い散るパッドと愛の爆発

「ひゃうぅぅっ! ちょ、先生、その振動は……っ!」


ステージ上。黒井先生が押し当てた「超強力電気あんま器」の猛烈なバイブレーションが、女装した俺、悠真(悠美)の全身を駆け抜ける。 あまりの衝撃に、ウィッグがズレ、ドレスの裾が激しく波打つ。そして最悪なことに、股間に仕込んでいた「乙女の秘密(シリコンパッド)」が、ドレスの中でメトロノームのように激しく暴れ始めた。


「あら? 悠美ちゃん、ドレスの下で何かが凄まじい勢いで動いているわね。……まるで、元気な『生き物』が隠れているみたい」 黒井先生がドSな笑みを浮かべ、さらに出力を上げる。


(やばい! このままじゃパッドが発射される!)


「……悠美くんに、何て恥ずかしい真似を!」 観客席の最前列で、桜がキレた。 「生徒会親衛隊、突撃! 先生から悠美を引き離しなさい!」


「神聖なるステージで何という破廉恥な……! 浄化の時です!」 美雪が懐から取り出したのは、掃除機……ではなく、「霊力を込めた(という名の)消火器」。


「あはは! 予定より早いけど、ドカンといっちゃえー!」 白鳥がリモコンのスイッチを連打する。


チュドォォォォン!!!


白鳥が仕掛けた爆竹(というか、ほぼダイナマイト級の火薬)がステージ裏で爆発! その衝撃でステージが大きく傾き、俺は黒井先生の方へ倒れ込んだ。


「あ、危ない……っ!」 先生が俺を抱き止めた瞬間、ついに限界を迎えたシリコンパッドが、ドレスの裾から「スポーン!」という軽快な音と共に、観客席へ向かってフリスビーのように飛んでいった。


「……え?」 会場全体が静まり返る。 宙を舞う肉色の物体。それは、最前列で口を開けていた悪友・ケンジの頭にペタリと吸着した。


「……これ、悠美ちゃんの……肉?」 ケンジが呆然と呟く。


「……あ、あははは。……そ、それは……最新の、デトックス・シートですぅ……」 俺は涙目で裏声を絞り出すが、もはや言い訳として成立していない。


「悠美ちゃん……。あなた、ちょっと私の部屋に来なさい。……今すぐ、徹底的に『検品』してあげるわ」 黒井先生の目が、獲物を完全にロックオンした。


だが、それを許さない三人の影がステージに飛び乗る。


「離しなさい、黒井先生! 悠美(悠真)くんは、これから生徒会室で『再教育』の時間よ!」 「いいえ、私の部屋で『お清め』が先です!」 「どっちもダメ! 私がこれから悠美ちゃんを『金ぴか』にペイントするんだから!」


三人のヤンデレたちが俺の腕と脚を掴み、東西南北に引っ張り合う。


「痛い痛い! ステージが壊れる前に俺の体が千切れるー!」


観客席からは「え、何これ、演出?」「超アバンギャルドな劇?」と困惑の拍手が沸き起こる。 カオス極まる学園祭。俺のミスコン優勝の行方よりも、この後の「三つ巴の監禁権争奪戦」が恐ろしすぎて、俺は意識を失いそうになった。

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