第八回:偽りの登校日、めくられたスカートの秘密
「いい、悠真くん。……いえ、悠美さん。教室では常に膝を閉じ、声は二オクターブ高く。そして、私以外を見ないこと」
翌朝。生徒会長・桜の私室で、俺は徹底的な「淑女教育」を受けていた。 鏡の中に映るのは、フリルたっぷりのブラウスに、桜が特注したという「丈が短すぎる」チェックスカートを履いた、可憐な美少女(俺)だ。
「……桜さん、このスカート、スースーして落ち着かないんだけど」
「あら、あなたの『正体』がバレないように、通気性を良くしてあげたのよ? 感謝しなさい」 桜は俺の首元に、細いリボンタイ……に見せかけた、GPS発信機入りのチョーカーをパチンと嵌めた。
「さあ、登校の時間よ」
教室は戦場、視線はナイフ
教室に入った瞬間、俺……「悠美」に学園中の女子の視線が突き刺さった。
「見て、あの子が噂の編入生?」 「可愛い……。なんだか、守ってあげたくなる儚さがあるわね」
(やめろ! 儚いんじゃなくて、バレそうで震えてるだけだ!)
俺は一番後ろの席に座り、ひたすら気配を消そうとした。だが、そう上手くはいかない。
「悠美ちゃん、おはよー! 今日も美味しそうだね!」 白鳥が休み時間になるやいなや、俺の机にダイブしてきた。彼女の手には、なぜかデッサン用の木炭が握られている。
「ねえ、制服の上からでもわかるよ。ゆーちゃんのその『膨らみ』、すごく不自然でエロいよね。ちょっと触らせて?」
「バカ! やめろ白鳥! 公衆の面前だぞ!」
「あはは! じゃあ、放課後に誰もいない準備室で『解剖』してあげる!」
第四の脅威、現る
騒ぎを聞きつけて、クラスのリーダー格の女子、**凛(りん)**が近づいてきた。彼女は剣道部の主将で、鋭い勘を持っていることで有名だ。
「……一条悠美。あんた、なんだか妙な匂いがするわね」 凛が俺の顔を覗き込む。その距離、わずか5センチ。
「な、なんのことでしょうか……?」 必死に裏声で答えるが、凛の目は誤魔化せない。
「香水の匂いじゃない。これは……男が使うような、安っぽい洗顔料の匂いよ。それに、その歩き方。あんた、本当に女?」
(ギクッ!! バレたか!?)
凛の手が、俺のスカートの裾に伸びる。 「ちょっと確認させてもらうわよ。あんたの『中身』がどうなってるか――」
「そこまでよ、凛さん」
冷徹な声と共に、桜が割って入った。その手には、なぜか**「校則違反を取り締まるためのスタンガン(特注)」**が握られ、バチバチと火花を散らしている。
「彼女は私の親戚です。執拗なハラスメントは、生徒会として見過ごせませんわ。……それとも、今すぐ退学届を書きたいのかしら?」
「……ちっ、会長のお気に入りってわけ。失礼したわね」 凛は忌々しそうに去っていった。
助かった……。だが、俺の肩を抱く桜の力が、異常に強い。
「悠真くん、危なかったわね。……ふふ。やっぱり、他の女の目に触れる場所に置いておくのは危険だわ。……ねえ、もう学校なんて行かずに、ずっと私の部屋の**『クローゼットの中』**で暮らさない?」
桜の瞳から光が消え、底なしの暗い愛が俺を飲み込もうとしていた。
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