第七回:サウナの落とし物、それは乙女の秘密
「……あら? 悠美ちゃん、足元に何か落ちたわよ?」
黒井先生の指先が、俺の股間から滑り落ちた「股間の詰め物(シリコンパッド)」に伸びる。 サウナの熱気で脳が溶けかかっていた俺だが、この瞬間だけは心臓が氷点下まで冷え切った。
(終わった。俺の人生、ここで強制終了だ……!)
だが、その指が届くより一瞬早く、白鳥が猛獣のようなスピードで床にダイブした。
「あはははは! 先生ダメだよ! これは私の新しいアート作品なんだから!」
白鳥は床に落ちたシリコンパッドをひっ掴むと、あろうことか自分の頬にペタリと貼り付けた。
「これね、『擬似的な肉体の欠片』っていうシュールレアリスムな作品なの! ほら見て、ぷにぷにだよ先生!」
(白鳥、お前……! 気持ち悪いけど、ナイスだ!!)
黒井先生は、頬に得体の知れない肉色の塊をくっつけて笑う白鳥を、心底気味悪そうに眺めた。 「……白鳥さん、あなた本当に病院に行ったほうがいいわよ。芸術もほどほどにしなさい」
「先生、それより悠美がのぼせてしまったようですわ。……さあ、行きましょう」 桜が手際よく俺の体にバスタオルを巻き付け、半ば引きずるようにして俺をサウナ室から連れ出した。
脱衣所での修羅場
脱衣所に逃げ込んだ俺たちは、壁際に俺を追い詰め、一斉に尋問を開始した。
「悠真くん、脇が甘いわよ! あんなものがバレたら、あなたは即刻『去勢』の刑だったわ!」 桜が俺の胸ぐらをつかみ、怒りと興奮が入り混じった目で睨みつけてくる。
「そうです。あんな不浄なものを先生に触れさせるなんて……。いっそ、私が今のうちに切り落としておきましょうか? そうすれば隠す必要もなくなります」 美雪が、どこから取り出したのか裁縫用の巨大なハサミをチャキチャキと鳴らす。
「待て待て待て! 怖いって! 恩を仇で返すな!」
「あはは! でもさ、ゆーちゃん。今の先生の顔、見た? 超ウケるよね! ねぇ、次は先生の寝室に忍び込んで、枕元にこれ置いておこうよ!」 白鳥はシリコンパッドをキャッチボールのように放り投げて遊んでいる。
その時、脱衣所の入り口から、また別の女子生徒たちの話し声が聞こえてきた。
「ねえ、新しく入った悠美ちゃんって子、すっごく可愛いらしいよ」 「本当? どこにいるのかな、挨拶しに行こうよ!」
(まずい、ファンクラブ結成の予感!?)
「悠真くん、今のあなたは学園中の女子の『標的』よ。……いい? あなたを守れるのは、私たち三人だけ」 桜が俺の耳元で甘く、冷たく囁いた。
「もし他の女に正体がバレそうになったら……その時は、私たちがあなたの口を『物理的に』塞いであげるから。……覚悟しておきなさいね」
俺は、女装して女子寮のアイドル(?)になりつつ、三人のヤンデレに命と尊厳を狙われるという、逃げ場のない「美少女地獄」のど真ん中に立たされていた。
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