第六回:初めての女子風呂、地獄のサウナ我慢大会

黒井先生の疑いの目を(美脚へのセクハラまがいのチェックと共に)なんとか潜り抜けた俺、こと「悠美」。 だが、次に待ち受けていたのは、寮生活の鉄則、共同浴場への強制連行だった。


「さあ、悠美ちゃん。移動の疲れを、みんなで一緒に流しましょう?」 桜が、見たこともないほど楽しそうな、それでいて「逃がさないわよ」という圧を感じる笑顔で俺の背中を押す。


「悠美さん、お背中をお流ししますね。……隅々まで、徹底的に」 美雪はなぜか、お風呂セットの中に業務用のタワシを忍ばせている。


(死ぬ……バレて死ぬか、洗われすぎて皮が剥けるかの二択だ!)


潜入、白亜館・大浴場

湯気で視界が真っ白な大浴場。 そこには、学園中の女子生徒たちが、無防備な姿でくつろいでいた。 男子なら鼻血を吹いて即死するような光景だが、今の俺にあるのは**「バレたら即・犯罪者」**という極限の恐怖だけだ。


「悠美ちゃん、何を恥ずかしがっているの? 早く脱ぎなさい」 桜が、俺の「地雷系制服」のリボンに手をかける。


「ま、待ってください! 私、実は……ものすごい恥ずかしがり屋で、その、**『全身に謎のタトゥー』**があるんです! だから、バスタオルを巻いたままじゃないと……!」


必死の嘘を繰り出す俺。だが、白鳥が横からニヤニヤと笑いながら、俺のバスタオルを引っ張った。


「あはは! 大丈夫だよゆーちゃん! 私が描いてあげた『悠真先輩大好き』っていうボディーペイントのことでしょ?」


「余計なことを言うなバカ!!」 思わず地声が出そうになるのを、美雪が俺の口に濡れた石鹸を突っ込んで封じた。


「お静かに。……怪しまれないように、あそこのサウナへ逃げ込みましょう。あそこなら人も少ないはずです」


極限のサウナ我慢大会

三人に引きずられるようにして入ったサウナ室。 そこには先客として、寮監の黒井先生が、眼鏡を曇らせながらどっしりと座っていた。


「あら、あなたたちも来たのね……。ちょうどいいわ、新人歓迎会として、誰が一番長くここにいられるか競いましょうか」


(最悪だ! なんで先生がいるんだよ!)


設定温度は90度。 俺は女装用のウィッグが熱で溶けないか、そして「詰め物」がズレないか、極限の緊張状態で汗を流す。


「……悠美ちゃん、顔が真っ赤よ? もっと近くに来なさい」 黒井先生が、俺の隣に座り、あろうことか俺の太ももに自分の足を絡めてきた。


「ひゃうっ!?」 「いい声ね……。なんだか、あなたを見ていると、昔逃げられた飼い犬を思い出すわ……。もっといじめてあげたくなってくる」


黒井先生のドSな視線が、女装した俺をじりじりと追い詰める。 その時、隣にいた桜が、先生の視線を遮るように俺の肩を抱き寄せた。


「先生、悠美は私の『妹分』ですから。あまり怖がらせないでいただけますか?」


桜と黒井先生の間で、火花が散る。 サウナの熱気以上に、女たちの独占欲による「熱」が室内を支配する。


(もうダメだ……暑い、怖い、バレる……!)


意識が朦朧としてきたその時、俺の股間の「詰め物」が、大量の汗でツルリと滑り落ちた――。


「……あら? 悠美ちゃん、足元に何か落ちたわよ?」 黒井先生が、床に落ちた「それ」を拾おうと手を伸ばす。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る