第二回:所有権は誰の手に? 深夜の密室会議(という名の乱闘)
「ひ、ひぃぃぃ! 助けてくれー!」
プランターを粉砕し、地面に尻もちをついた俺の前に、三人の女神(悪魔)が降臨した。 普通なら「警察呼ぶわよ!」とか「変態!」と叫ばれるはずだが、彼女たちの反応は違った。
「ふふ……。自分から罠にかかりに来るなんて、悠真くんは本当に可愛いわね」 桜が生徒会長とは思えない手つきで、どこから取り出したのか特注の首輪をチャキチャキと弄んでいる。
「神のお導きです。さあ、悠真さん。私の部屋で朝まで『不浄な覗きの罪』を清めましょう? 服を脱いで正座してください」 美雪が、なぜか業務用サイズのローションと数珠を抱えて一歩踏み出す。
「ダメだよ! 先輩は私のモデルなんだから! 今すぐ私の部屋で、動かないように石膏(せっこう)で固めちゃうんだから!」 白鳥が、手にした美工刀(カッター)を「チキチキチキ!」と高速で出し入れしながら迫ってくる。
「待て! 話せばわかる! これは事故だ、ただの社会科見学なんだ!」 俺の必死の言い訳を、三人は一秒でスルーした。
「うるさいわね。……いい? 悠真くんを最初にお仕置きするのは、生徒会長である私よ」 桜が冷たく言い放つと、美雪が般若のような笑顔で割り込む。 「権力で愛は買えませんよ、桜さん。彼は神職である私と『密着修行』をするべきです」 「あはは! 二人とも古いんだよ! 先輩を一番面白く改造できるのは、私なんだから!」
次の瞬間、三人の間で「悠真争奪バトル」が勃発した。
「離しなさい! 悠真くんの右腕は私のものよ!」 「いいえ、この清潔そうな耳は私が甘噛みして清めます!」 「じゃあ私はこの太ももにサイン書いちゃうもんねー!」
三人がかりで俺の腕や足を引っ張り合い、俺の体はまるで正月の餅のように引き伸ばされる。
「痛い痛い! ちぎれる! 俺の四肢が物理的に四散するー!」
その時、寮の廊下の奥から「何事かしら?」と他の女子生徒の足音が聞こえてきた。 見つかれば、俺の社会的な死が確定する。
「やばい、誰か来る! 隠して、俺をどこかに隠してくれ!」
慌てた三人は、あろうことか「全員で悠真を抱え上げ」、一番近かった白鳥の部屋へと、ラグビーのトライのような勢いで俺を投げ込んだ。
ドゴォォォン!!
「ぶはっ!」 俺が着地したのは、白鳥が「悠真の匂いを再現するために作った」という、俺の古着が山盛りになった謎のクッションの上だった。
「ふふ……。これで、誰にも邪魔されないわね」 「密室……。つまり、何をしても神様は見ていないということですね?」 「あはは! 先輩、観念してね! 今夜は寝かさないから!」
部屋に鍵がかけられ、三人がじりじりと俺を囲い込む。 手に持っているのは、首輪、お札、そして……デッサン用の固定ロープ。
「助けて……。誰か、警察より先に精神科の先生を呼んでくれ!!」
女子寮の夜は、まだ始まったばかりである。
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