第3話 (デスゲームで)覇を唱えろ
女神の説明はこうだ。
この世界には今、3つの大勢力がある。
ひとつはエルフの魔法国家連合。
魔導ゴーレムの労働力と兵器運用によって繁栄を手にした、長命種族の大連合だ。
ふたつ目は魔族とドワーフの竜騎大帝国。
飛竜を乗りこなす魔族ドラゴンライダーの軍事力、そしてドワーフの機械工作技術によって勢力を拡大した、気鋭の大帝国だ。
そして3つ目・・・神魔合衆王国。
大連合にも大帝国にも属さない、あぶれもののエルフと魔族とドワーフが、領地を占拠して建国した、種族のサラダボウル国家だ。
これら3つの大勢力が、日夜、大陸の覇権を争い権謀術数を巡らし、血を血で洗う戦争を繰り返している・・・らしい。
ツッコミどころが満載だけど、
ひとまず順番に問題を整理しよう。
「ねえ、人間がいないけど?」
「そうなんです! この世界には人間がひとりもいません! オリジナリティにあふれているでしょう? 私の渾身のアイデアなんです!」
「僕は人間だけど? 僕が王国の村人Aなら、エルフか魔族かドワーフだよね? いきなり設定破綻してない?」
「は、ハーフエルフという話にしてくれませんか? 混血で短命になった・・・という設定を採用したいです」
「魔族との混血ならダークエルフだよね? ドワーフの場合は・・・エルフとドワーフって仲悪くなかったっけ?」
女神があわあわと口ごもった。
純粋な人間がいないファンタジー世界は、一周まわって奇抜なアイデアかもしれないけど、設定面の課題は多そうだな・・・
「わかったよ。僕はエルフとドワーフの間に生まれたハーフエルフだ。それでいいよ」
「ありがとう、ありがとう!」
「で、もうひとつ聞きたいのだけど」
これが本題。僕にとっての死活問題。
つまりゲームのジャンル設定について・・・
「この世界、デスゲームではないよね?」
「え? デスゲームですよ! たくさんの人が戦争で死にます! 死が日常的な世界です!」
いや、そうでなく・・・
「デスゲームって、口喧嘩とか人狼ゲームみたいな引っ掛けトンチ問答のジャンルだよ?
このゲーム世界観って、ハイファンタジーを題材にした戦略シミュレーションではないの?
そうとしか思えないのだけど・・・」
「と、とにかくデスゲームなんです!
不都合があれば、ゲームマスター権限で修正しますから! なにとぞ、なにとぞ、心を広く持って許して!? 私もがんばりますから!?」
・・・ある意味、デスゲームではある。
3つの大勢力が覇を唱える現状で、僕の立場は村人A、戦火に焼かれる被害者ポジションだ。
ここまでバッドエンドが確定している役回りだと、なにをやっても許される気がする。
しかしクワを振るって畑を耕す仕事は現代っ子の僕には楽しく思えるけど、クワを振るって兵士と戦えと言われたら、それは無理だ。
剣を振るって、槍を振るって、戦えと言われても・・・僕にはそういう教養がないからね。
体を動かすスポーツでも、僕は武道よりも、サッカーの方が好きだなー。
「レイジくんならできますよ」
「なにを根拠に?」
「だって私を助けてくれたんですから!
寄せくる敵を、ばったばったと薙ぎ倒し、
返り血にまみれて不敵に笑う!
主人公ムーブを見せてください!
私、応援します!」
推し活かな?
ごちそうさまです! ・・・とでも言いたげな女神の無茶振りを聞いて、頭を痛める。
「というかゲーム世界なら、
村人Aの僕ではなくて、
本物の主人公がいるのでは?」
「そ、それは気にしないでください!
今の私は、レイジくんの味方です!」
女神の加護です!
と言って、授けられたのは、
メーカー不詳の・・・
赤いハンドガンだった。
あまりに酷いご都合主義で、僕は笑う。
「ハイファンタジーはどこに消えたの?」
「だ、弾数は無制限。
当たれば悪魔も竜も一撃ですから!
お願いします。戦ってください!
できるだけカッコよく!
できれば私が笑顔になれる感じで!」
リロードが必要ない銃って無敵だよね?
まあ、弾数無限のロケットランチャーを渡されても、自爆が怖くて使えないから、護身用なら拳銃サイズが適切だと思うけど・・・
「ほら! 敵が来た!
野盗が村を襲ってきたのです!
彼らは王国と帝国の国境付近を根城にするならず者です! さあ、どうしますか?」
どうしますか? プレイヤー? って。
女神さまがゲーム進行してくれた。
彼女がゲームマスターなら、生き死にの判定でサイコロを振ってくれるのかな?
「どうもこうも」
誰だって、2度も3度も死にたくないよ。
逃げてもいいけど・・・
でもせっかくだし、
真っ赤なハンドガンが手に馴染むから。
「試し撃ち、してみるよ」
だってデスゲームなら、
人が死んでもよいのだろう?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます