イケメンくんの頭の中

すずめ屋文庫

イケメンくんの頭の中

あー悲しい。


なんでオレ振られたんだろう。


アキちゃん…。結婚まで考えてたんだけどなー。まだ大学生だけど…。


今はさ、遊園地のバイトをがんばってさ、プレゼントあげてさ、「わ〜!ゆうくん、ありがとう!なんで?え?記念日とかじゃないよね?」なんて驚かせてさー。ワクワクして仕事がんばって、笑顔作って、やってたのにさーーーーーー。


「ごめんね。ゆうくんは悪くないんだ。これは、私の問題で…。別れてほしいの…。」


うぅ。思い出すだけで、この二重に涙の膜が張る。辛い。つらすぎる。

アキちゃんの問題って、なんだよ。わかんねぇよ。


「そっか…。」


これを振り絞るだけで精一杯だったオレ。もうアキちゃんの顔は見れなかった。情けねーよー。


「なんか今日…、勇気、変じゃない?」


同じバイト仲間の里ちゃんが声をかけてきた。里ちゃんって、同じバイト仲間で、かれこれ半年の付き合い。で、妙に鋭い所があるんだよなぁ。


「…そう?オレ、変?」


「うん、変だよ〜。何か時々、上向いたり下向いたり…。あー、さては彼女とケンカでもしたな〜!」


「ぅぐっっっ…。」

早速バレてる。てか、本当はケンカどころじゃない。けど、そんな事口にだしたら、折角蒸発させてる涙がこぼれちゃう…。


「え!?まじで??ちょっと、話聞こうか?今日飲み行く?」


「…いや、行かない。やめとく。」

ムリに決まってんだろ。バイト後は家に直行して恋愛ドラマ見て、一人傷を癒やすんだ。


「あー…。こりゃ重症だわ…。」


そう言い残して、里ちゃんは、平日ポツポツと訪れるお客さんへの対応をしに行った。


顔を上げると目の前はカラフル&キラキラな観覧車。


辛い…。



;;;;;;;;;;;;



お昼になってようやく観覧車コーナーが混みだした。みんな最初は、ジェットコースターとか、ちょっと激しめの所に向かうんだよな。で、ひとしきりはしゃいだら、軽いファーストフードやスイーツとか食べてさ、休憩がてら観覧車。そんな流れ。


そう言えば、オレ、アキちゃんとこの遊園地、まだ来たことなかったな。バイトでお金貯めてプレゼント渡すことばっかり考えてたから、アキちゃんとの思い出がここにはない。まぁ、なくて良かったのかな。思い出があったら、悲しすぎてバイトにすら来れねーし。


「すみませ〜ん。」


声をかけられ、ハッとして顔を上げる。笑顔もつけて。


「はい!何名様ですか?」


目の前には、仲の良さそうな4人家族が立っていた。眼鏡をかけた似た雰囲気の夫婦と小学生くらいの女の子とその子に隠れる小さな女の子。


「…よにんです…。」

恥ずかしそうに、はにかみながら小さい子供が小さく返事をした。


「わぁ〜!!上手に言えたね!!」

しゃがみ込んで、嬉しそうにその子を褒めるお母さんとお姉ちゃん。「ほら、観覧車きたよ!」と先を促すお父さん。やばい。また涙の膜が…。オレもこんな家族を…アキちゃんと…。堪えろ。堪えるんだー!!目にぐっと力を入れる。


「っどうぞ、いってらっしゃいませ〜!!」

とびきりの笑顔を顔に貼りつけてオレは声を振り絞った。観覧車の窓の中から、お姉ちゃんとその妹が手を振ってくる。オレはにこやかに、無駄に大きくそれに応えた。



;;;;;;;;;;;;



「お疲れ様〜!!1人づつ休憩入っていいわよ。」


この観覧車コーナーの上司がやってきて、俺達バイトに声をかけた。里ちゃんは、「勇気、先に行ってきなよ。」と、珍しくオレを先に休憩に向かわせた。いつもは真っ先に「私いちば〜ん!お腹すいた〜!」って行くのに。あー多分見抜いてんだろなー。しんどいの。格好わりー…。気持ち入れ替えなきゃな。


「あぁ、ありがと、里ちゃん。」


オレがそう言うと、


「缶ジュース1本。」


って返事が返ってきた。ジュースぐらい何本でも奢ってやるよ。それくらいオレは傷ついてるんだ。


グッドサインを手でやって、オレは里ちゃんから離れた。スタッフ用のジャケットを脱いで、入園客に紛れ込む。いつもは休憩室を使うけど、今日は歩きたい気分だ。あまり人の通らないベンチがあるからそこへ行こう。


途中、自販機があったから、自分用の飲み物を買った。気分はコーンスープ。冷え切った心を少しでも癒やしたい。帰りはここで里ちゃん用に甘めのカフェオレを買おうと思った。あ、ジュースって言ってたから、炭酸もつけようかな。


「もう!ゆうくんってばっ!」


いきなり自分の名前を呼ばれて振り返った。すると、その「ゆうくん」は、オレではなく、後ろを通ったカップルだった。


「ねぇっ、私の話、聞いてたぁ??」


「ん?あぁ、ごめんごめん、地図見てた。で、何?なんだって?」


「もぅ〜!!」


そんな他愛のない会話を聞いて、思わず近くのベンチに座り込む。手の中のコーンスープが温かい。だけど、開ける気になれなかった。


オレ、そう言えば、アキちゃんに「もぅ〜!」とか「聞いてた〜!?」なんて言われたこと、なかったな。だって、アキちゃんは、いつだってオレの話に笑ってて、楽しそうで、全然、そんな不満そうな顔なんて…。


知らず知らずのうちに、頭の中に過去の思い出がポロポロと零れだす。


…本当に?


…ほんとは楽しくなかった?つまんなかった?

友達カップルと一緒に遊んだ時も?二人で出かけた時も?手も繋いだし、それ以上だって…。

楽しかったのはオレだけ?


いや、そんなはずはないだろ。

確かにアキちゃんは笑ってたぞ。ニコニコって。あははって。


じゃあ、なんでこんなことになるの?なんで、オレと付き合うのがムリって決断になるの?


あーわかんね。冷えたコーンスープを横にやり、両手で顔を覆って上を向いた。


指の隙間から空を見る。

何か見落としてた?何か、アキちゃんのサイン。思い出せ。思い出せ。オレ。




ピピ ピピ ピピ ピピ




スマホで設定していた休憩時間終了のアラームがなる。オレは立ち上がってさっきの自販機のところへ行き、溜め息をつき、コインを入れた。



;;;;;;;;;;;;



「お疲れ〜!!って、え?何?2本もくれるの?ラッキー☆ありがと!!」


里ちゃんは何事もなかった様に元気よくオレからのお礼を受け取って、休憩に入っていった。よーし、バイト終了まであと3時間。笑顔を作れ!!ここは夢の遊び場。遊園地だぞ!!


パンッと両手で顔を叩き、オレは観覧車受付の仕事場まで戻っていった。


続々と列をなすお客さん達。夕方が近いから、今からは、最後に観覧車に乗って帰ろう、って人が増えてくる。サクサクとリズムよく人をさばいていく。


「こんにちは〜。何名様ですか?」


「2名です。」

あれ?と思うと同時に気づいた。休憩の時に後ろを通ったカップルだった。


今、彼女はさっきみたいにふてくされてはおらず、彼氏の腕に自分の腕を絡ませて嬉しそうにしている。てか、さっきのは2人にとってケンカのうちに入らなかったんだろうな。


仲良く2人で1つの観覧車に入って、記念写真でも撮るのかな。スマホを取り出してなにやら話し合っている。


じゃあ、オレとアキちゃんは?

再び思考がアキちゃんとの関係に引っ張られる。

でも、なんか、今度は…。


アキちゃんとオレって、どんな関係だった?対等だった?本当に?オレばっかり楽しんでなかった?アキちゃんが「もぅ〜!!」ってオレに不満を言える様な関係だったかな?そもそも、最後にアキちゃんが、「これは私の問題で…」って言ってたのに、オレ、動揺しちゃって、いや、そんなの言い訳だけど、そのアキちゃんの問題が一体何なのか、ちゃんと聞いてなかったじゃん。怖がってさ、何も言えなくて、尻尾を巻いて逃げてさ。今、オレがしなきゃいけないのって、もしかして、アキちゃんの気持ちを聞く事なんじゃないか?


胸の奥がズクンズクンと波を打った。多分、上手く言えないけど、オレの中の勘がそうだと言ってる気がする。多分、そうだ。オレ、ちゃんとアキちゃんと話さなきゃ。アキちゃんが思ってた事、今まで感じてた事、ちゃんと受け止めるんだ。たとえそれが、完璧な別れ話になったとしても。逃げちゃいけない。足、震えるかもだけど、聞かなきゃ。


そう思ったら、いてもたってもいられなくなった。バイトが終わるまであと1時間。えぇと、今日は水曜日だから、確か、アキちゃん夕方から和菓子屋さんのバイトが入ってたはず。ここからアキちゃんの所までは、自転車で40分くらいかな。余裕で間に合う。アキちゃんがバイト終わるまで外で待って、そして、そして…。


心臓がバクバクしてきた。だけど、今回は逃げるなんて選択肢は1ミリもない。ちゃんと会って、話したい。そ、そして、こっぴどく振られるかもしれないけど…。だけど。じゃなきゃ、オレだって進めない。てか、進む道なんて、アキちゃんなしに考えられないけどっ!!!ぐわ〜っと頭を掻きむしりたい衝動に駆られる。けど、今、オレは職場。ぐっと堪えて笑顔を続ける。


悶々と考えをめぐらしながら、お客さんの案内を続ける。斜め前に、先程乗ったカップルのワゴンが降りてくるのが見えた。だいぶ下まで来てるのにまだ写真を撮っている。


眩しいものを見るような気持ちで、2人が下まで降りてくるのを見守る。


「楽しかったね〜!!この後、夜ご飯どこ行く〜?」


「焼肉は?」


と彼氏が答える。


「え〜!めっちゃ匂いつくじゃん!おしゃれしてきた服なのに!ん〜。でもまぁ、沢山遊んだし、お腹すいたし、いっか!!」


「だろ?オレ、めっちゃ肉食いたい。あとビール。」


「私は梅酒ロック!!」


「太るぞ(笑)」


彼女がバンッと彼氏の背中を強めに叩く。


超楽しそうだ。この2人はこんな言い合いが出来るまでどんな道を辿ったんだろう。自分と比較して情けなくなる。だけど、オレは、これから…。



頭から閉園の音楽が流れてきた。これから締めの作業に入って、それからアキちゃんの所に向かう。多分、アキちゃんのバイトが終わるまで1時間ほど外で待つことになるけど、関係ない。変に時間が合わなくてすれ違っちゃうほうが嫌だ。それに、多分、うん、今日じゃなきゃダメな気がする。


バンッと肩を叩かれ、

「勇気〜!!お疲れ!!まじで今日飲みに行かなくていいの〜?」


里ちゃんが再び誘ってきた。心配してくれるのはありがたいけど、オレは決めたんだ。今日は1人恋愛ドラマみるでもなく、落ち込むでもなく、ちゃんとアキちゃんに向き合うって。


「心配してくれてありがと。でも、もう大丈夫だから。」


今度は自然に言えた。


「…そ?ならいいけど。」


そう言い残して里ちゃんは帰っていった。


「お疲れ様でーす。お先失礼しまーす。」


「はーい。今日もありがとね。また明日よろしく〜!」


上司に帰りの挨拶をして、自転車にまたがった。気持ちがはやり、自然とペダルを漕ぐ足に力が入る。だけど、普通のスピードで行ったって、アキちゃんがお店から出てくるまで1時間あるんだ。焦ることはない。もう、頭で考えてドキドキしてるのか、自転車を漕いでドキドキしてるのかわからなくなってきた。


夕暮れから夜に変わっていく空の下、ただひたすらペダルを漕ぐ。車のライトも増えてきた。夕焼けがオレンジ色から紫やピンクの混ざった色合いになってきた。もう何分漕いだだろうか。


;;;;;;;;;;;;


アキちゃんのバイト先の近くの駐輪場に自転車を停め、歩いて和菓子屋さんに向かう。外はもう暗くて、だから、店内の様子だけこちらから伺う事ができる。アキちゃんは和菓子屋さんらしく、夕焼けのオレンジ色に赤を足したような、和風な仕事着を着て、受付で接客をしていた。普段はおろしているけど、仕事中は髪の毛を1つに後ろにシンプルに結んでいる。長くて重めの前髪だけが彼女の顔にかかっている。笑顔でお客さんに商品を渡すアキちゃん。一瞬目が合った気がして「バクン」と心臓が跳ね上がった。でも、そんなはずはない。こちらは夜だから、明るい店内からはこっちは見えないはず。一瞬、ストーカーをしているような気分になったけれど、ブンブンと頭を振って、夜に引っ張られそうな考えを追い出した。


腕時計を見ると、アキちゃんの仕事が終わるまであと30分を切っていた。


近くにあったガードレールに腰掛ける。


「はぁ〜〜〜。」


意識せずにため息がでた。いや、深呼吸かもしれない。もうどちらか判断すら出来ない状態だった。


;;;;;;;;;;;;



「え?ゆうくん?…なんで?」


お店から出てきたアキちゃんがオレの姿を見つけ声をかけてきた。まぁ、店の目の前にいたのだから、驚くよな。出来るだけ怖がらせない様にと思って、用件を先に伝える。


「あ、のさ、アキちゃんが言ってた、『私の問題』ってのが、今日1日考えてたんだけど、どうしてもわからなくて。ちょっと、話せないかな…。」


「……。」


戸惑うアキちゃん。目線に迷いが現れる。そんな中でも、アキちゃんの真っすぐで長いまつ毛に、つい見とれてしまう。


そりゃそうだよな。バイトで疲れて外出たら、昨日振ったばかりの元カレがいるなんて。微妙だよな。でも、これでまた逃げたらなんにも変わらない。勇気を出すんだ、オレ!!


「どうしても話したいんだ。オレ達の事。なんでこうなったのか、とか。アキちゃんはオレと付き合ってた時、どんな気持ちだったのかな、とか。考えても、全然わかんなくて。オレ、アキちゃんの事、何も考えてなかったんじゃないかって。だから…。最後にちゃんと話したいんだ。」


アキちゃんの口が、街灯の下で少し震えてるのが見える。


ふと、思い出した事があってポッケに手を入れる。そして、温めておいたホッカイロをアキちゃんに手渡した。


「夜だし、寒いと思って…。」


「…あ、ありがとう。」


良かった。声を出してくれた。素直にアキちゃんはそれを受け取ってくれた。ホッカイロも断られたら、完全に嫌われてるもんな。まだアキちゃんの中でオレはそこまでじゃないのかな…。


「…それでさ…、だめかな。理由聞いちゃ…。」


出来るだけ優しく、怖がらせないように、静かに言った。


アキちゃんと目が合う。アキちゃんはまばたきを何度もして、言おうか言うまいか迷ってる様だった。オレの心臓は爆発寸前だった。ドクドクドクドク。


「アキちゃん…教えてくれないかな?オレ、どこがダメだった?」


「まだ、アキちゃんの事諦めきれないんだよ…。」


くぅ〜振られたのにも尚、すがりつくオレ。情けない。そしてアキちゃんの返事がこわい。けどちゃんと聞かなきゃ。前にも後ろにも進めない。


「ゆうくん…。」


「うん。」

あー心臓バクバクする。オレ今から振られるのか?そうなのか?まじで?そうなの?


「…。そうだよね。ちゃんと理由言わなきゃだめだよね。こんな私と誠実に付き合ってくれて…。」


「や。えと。そんな。そもそも、オレがアキちゃんがいいって…。」


(告白したんだし…。)


「うん、だからね。あのね。」


「うん。」

もうだめだ。心臓が持たない。踏ん張れオレ。頑張れオレ。耐えるんだ。この時間を。アキちゃんの答えを聞くまでは!!!!!


「……っつ!!ゆうくんがかっこよすぎて辛いの!!!!!」




「…は?」




予想外の答えに完全に脳がフリーズする。え?何?どゆこと?オレがかっこいい?

それ別にどうでもよくない?それでどうしてアキちゃんが辛くなるの?


ポケーとしてるオレの顔を見て、オレが何もピンときていないと思ったんだろう。アキちゃんは続けた。


「っだからっっっ!!!ゆうくんといると、私が惨めになるの。私、本当に、なんにもなくて。全然ゆうくんの事楽しませてあげれないし。面白くないし。そ、それに…普通の顔…だし…。私なんかじゃ…釣り合ってないっていうか…。」


「そんな…こと?」

そんな理由で別れようってなる?意味わかんな…。あーでも最後までアキちゃんの話聞かなきゃ。


「そんなことじゃない!!!」

珍しくアキちゃんが大きな声を出す。てか、こんな声、初めて聞いた。


「わっ…、私にとっては、大きな事なの!い、一緒に並んで歩いても、いつもどこか惨めな気持ちになって、周りの人の視線が気になって…っ。っつ。」


あーあーあーあー。アキちゃん泣き出しちゃった。抱きしめたいけど、今はダメだよな。だってまだ振られてるし。あー、でも。どうしよう。むりむりむりむり。ほっとけない!!!


堪らず腕の中にそっと閉じ込める。


「ごめん。嫌だったら言って。すぐ離れるから。そんな、アキちゃんが、ずっとしんどかったなんて、オレ、全然気づかなくて。ごめん。あの…。」


ポロポロと腕の中で泣いているアキちゃんを見てると、思わずもっと力を入れてギュッと抱きしめたくなる。けど、その衝動を腕に力を入れてひたすら耐える。こんなしんどい筋トレ方法ってあったっけ?


「だ、だから、ゆうくんと付き合えないのは、わ、私の問題で…。」


えーえーえー!?この状況でまだ別れる流れ!?てか、振られてるけど、これ、何か違くね?振られてないよね、オレ?えーと、だから、どうすればいいんだ。この場合。なんか、なんか、考えろ!!アキちゃんを繋ぎ止める方法っ!!!


「そ、それってさ、えーと、じゃあ、オレがイケメンじゃなくなったら、解決する?」


おーい!オレ何口走ってんだ!意味わからん!


「イケ…メン…じゃなくなったら?」


アキちゃんが少しキョトンとした顔を上げる。


ぬおぁ〜、自分でイケメンとか言い出しちゃって、オレ恥ずかしー!!せっかくアキちゃんがオレを見てくれたのに、逆にオレがアキちゃんの顔を見れねー。


「えぇと、だから、あの、そう!!例えば、すごく地味な格好をするとか!全然オシャレとかじゃない、ただのTシャツとズボンとか!」


「そんなのっっ!よりゆうくんの顔の良さがより引き立って目立っちゃう!!!」


やっぱりオレがイケメンなのが問題って事!?まじで!?


「えぇー(汗)じっ、じゃあ、何か変な形のメガネをかけるとか?めっちゃまん丸のメガネとか…それか星の形とか…。」


「かっこよくて面白かったら、最強になっちゃうじゃん!!!」


うそだろ。そんな返しする??


「そんな…。じゃあ、、、い、家から一歩も出ないのはどう!?」


「陰のある男の人に惹かれる女の人なんて、沢山いるんだからっっっ!!!」


ヒョー。これ何?え?結構甘い感じの流れ??あれ?なんか、遊園地でみたカップルみたいな事やってる?今。オレ達。もしかして、アキちゃん、全力でオレの事好きって言ってる?言ってるよね!?ねぇ!?


深呼吸を一つする。


あー、涙目で困ったような怒ったような顔でオレを見上げてくるアキちゃん、まじ可愛い。ほっぺたも鼻もほんのり赤くて、天使みたい。


腕の中で見つめ合って考える。つまり、なんだ。アキちゃんは、自信がないってことか。自分に。オレといると自信がなくなっちゃうって、だから辛くなって別れたいって?オレはこんなに君のこと好きなのに?どうする。どうしたらいい?


「…っと。…じゃあさ、これから、オレの着る服、アキちゃんが選ぶってのはどう?」


「え…?私が?ゆうくんの服を?」


目に涙をいっぱい溜めてアキちゃんが小さい声で答える。くぅ〜可愛い。


「うん。でさ、もしさ、オレが今後、誰かから容姿を褒められたら、こう言うよ。彼女に選んでもらったんだーって。これ、どう?」


「………!!!」


アキちゃんの目が丸く大きくなる。口もきゅっと力が入ったみたい。お、これは、中々いい提案だったんじゃないか!?もう一押し、いける!?いっちゃう?いっちゃえ!!!


「オレ、アキちゃんのこと、ほんと好きだよ。ずっと一緒にいたい。だからさ、オレと一緒にいてさ、もしアキちゃんがしんどくなったら、一緒に考えようよ。オレ、一緒に悩むから。どうしたらいいかな〜って。」


アキちゃんの目からポロポロと大粒の涙がこぼれる。けど、これはきっとオーケーの涙だ。さっきの涙とは違う。だって…。


アキちゃんがぎゅってオレにしがみついてきた。かすかに柔らかいアキちゃんのシャンプーの香りがする。


オレは筋トレを止め、アキちゃんの身体を抱き寄せた。腕の片方は身体、もう片方は頭に。


震えるアキちゃんが落ち着くまで。

ずっと。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

イケメンくんの頭の中 すずめ屋文庫 @Suzumeya_Bunko

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

参加中のコンテスト・自主企画