第12話|これは、恋だろうか第12話|これは、恋だろうか
最近、自分がおかしい。
そう思う瞬間が、日に日に増えていた。
レオンくんが隣にいないと、落ち着かない。
姿が見えないと、理由もなく不安になる。
声を聞けば安心して、
触れられれば、息が楽になる。
——それは、守られているから?
それとも。
「ルナ、聞いてるか?」
不意に名前を呼ばれ、我に返る。
「……すみません。少し、考え事を」
生徒会室。
書類整理の最中だった。
「無理するな」
レオンくんは、いつものように隣に立つ。
距離が近い。
それだけで、胸が静かにざわつく。
この感覚は、
いつからだろう。
——最初に庇ってもらった日。
それとも、月明かりの夜。
考えれば考えるほど、
答えから逃げたくなる。
休憩時間。
僕は一人、テラスに出た。
空は高く、
昼間でも、うっすらと月が見える。
月魔法使いとして生まれた意味。
特待生としてここにいる理由。
それとは別に。
レオンくんの存在が、
僕の中で、あまりにも大きくなっている。
「……依存、ですよね」
小さく呟く。
誰かに必要とされることでしか、
自分の価値を感じられない。
それは、昔からだ。
でも。
——彼が他の誰かを見るのは、嫌だ。
その考えが浮かんだ瞬間、
胸が、きゅっと締めつけられた。
「……あ」
これは。
独占したい。
選ばれたい。
離れたくない。
——恋だ。
たぶん。
そう認めた瞬間、
怖さと同時に、妙な安心感が広がった。
「……ルナ」
背後から声がする。
振り向くと、
レオンくんが立っていた。
「ここにいると思った」
それだけで、
胸が少し軽くなる自分がいる。
「……レオンくん」
一歩、近づく。
「僕」
言葉にしようとして、
喉が詰まる。
——言ってしまったら、
もう戻れない。
「……どうした」
彼は、待つ。
逃げない。
「僕……」
深く息を吸って。
「レオンくんがいないと、
落ち着かなくなりました」
一瞬、沈黙。
でも、否定はない。
「それは……」
レオンくんは、少しだけ目を伏せる。
「俺もだ」
短く、はっきりと。
胸が、強く鳴った。
「……それって」
「恋だろ」
言葉を、先に奪われる。
迷いのない声。
「少なくとも、俺にとっては」
その瞳が、真っ直ぐこちらを射抜く。
「君が、俺の隣にいないのは考えられない」
それは告白であり、
同時に、逃げ道を塞ぐ言葉でもあった。
でも。
僕は、その言葉を。
——欲しいと思ってしまった。
「……僕も、です」
小さく、でも確かに答える。
「レオンくんの隣が……
いちばん、安心します」
彼は、何も言わず、
ただ、そっと僕を抱き寄せた。
強くない。
でも、離れない。
「……じゃあ、いい」
低い声。
「これで、同じだ」
月の下。
恋だと気づいてしまった感情は、
もう、後戻りを許さなかった。
それが健全かどうかなんて、
考える余裕もないほどに。
——ただ、
彼を失う未来だけが、怖かった。
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