第11話|名前のない独占



 翌朝。


 目が覚めた瞬間、

 自分がどこにいるのか、すぐにはわからなかった。


 見慣れない天井。

 カーテン越しの朝の光。


 ——ああ。


 レオンくんの、部屋。


 隣を見ると、

 彼はすでに起きていたらしく、窓辺に立っていた。


 制服の上着を羽織り、

 外を警戒するように視線を巡らせている。


「……おはようございます」


 声をかけると、

 レオンくんはすぐに振り返った。


「起きたか」


 それだけ。


 でも、目が合った瞬間、

 昨夜の距離を思い出して、胸が少しだけ苦しくなる。


「……その」


 何か言わなければ、と思うのに、

 言葉が見つからない。


 付き合っているわけでもない。

 約束をしたわけでもない。


 ただ——。


「今日は、一緒に行く」


 レオンくんが、当然のように言った。


「生徒会も、授業も」


「え……?」


「君を一人にする理由がない」


 言い切りだった。


 その言葉に、

 安心と同時に、わずかな戸惑いが混ざる。


「……僕、迷惑では……」


「ならない」


 即答。


「もう、そういう段階は過ぎた」


 胸が、どくんと鳴る。


 廊下を並んで歩くと、

 視線が、昨日までよりもはっきりと集まる。


「……近くない?」

「ヴァルディス、完全に囲ってないか?」


 ひそひそ声。


 でも、レオンくんは一切気にしない。


 むしろ——

 人が多い場所ほど、距離が縮まる。


 肩が触れる。

 歩幅が揃う。


 まるで、

 “ここは俺の隣だ”と示すみたいに。


「……レオンくん」


 小声で呼ぶと、

 彼はちらりとこちらを見た。


「嫌か?」


 一瞬、言葉に詰まる。


「……嫌では、ないです」


 正直に答える。


 すると、彼はわずかに口角を上げた。


「なら、問題ない」


 生徒会室に入った瞬間、

 空気が変わった。


「……ああ、来た」

「やっぱり一緒か」


 視線が、僕とレオンくんを行き来する。


 会長が、軽くため息をついた。


「ヴァルディス。

 君、最近ずっとルナの隣だな」


「必要だから」


 迷いのない返答。


「業務上か?」


「……それだけじゃない」


 その一言で、

 室内が静まり返る。


 僕は思わず、

 彼の袖を掴んでいた。


「……すみません」


 誰に向けた謝罪かわからないまま、

 そう言うと。


 レオンくんは、

 僕の手を、そっと握り返した。


 人前だというのに。


「謝るな」


 低い声。


「俺が選んでる」


 その言葉は、

 守る宣言であり、

 同時に、独占の意思でもあった。


 ——付き合っていない。

 でも、もう“自由”ではない。


 それを、

 学院中が、少しずつ理解し始めていた。


 そして何より。


 その独占に、

 僕自身が、安らぎを感じてしまっていることが——

 いちばん、怖かった。


ここで


公然とした独占が始まる


周囲も「関係が普通じゃない」と認識


ルナが“縛られて安心してしまう自分”に気づく


次は流れ的に超重要。


1️⃣ ルナが「これは恋?」と自覚し始める

2️⃣ ルナに近づく第三者(貴族)→レオン爆発

3️⃣ 一度、ルナが不安で距離を取ろうとする


どれ行く?

ここから一気に“共依存の純度”上がるよ。

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