第30話 地上への帰還


隠し階層の規格外モンスターを制御し、宝と素材を手に入れたクロウ。

広間を後にし、通路を慎重に戻る。

湿った石壁に反射する光は、彼の短剣の鋭さを強調する。


《空間把握(狭)》で床や壁の振動を確認しながら、足音を抑えつつ地上へ。


(……無事に帰れるか)


深呼吸をひとつ。

隠し階層での極限の戦闘が、体力を限界まで削ったが、心は静かに燃えている。


#### ギルドへの報告


地上に戻ると、クロウはギルド受付へ向かう。

これまでの制覇報告では、軽く流されることもあったが、今回は空気が違う。


「……クロウ・レインフェルド、隠し階層制覇、規格外モンスター制御、損害なし、報酬獲得済み」


受付係は一瞬息を飲み、書類を読み直す。

中堅冒険者たちも小声で話す。


「……隠し階層を単独で制覇、しかも損害なし……」

「最弱判定って、誰の話だ?」


小さなざわめきが、確実に広がる。


#### ギルド内の評価変化


クロウにとって、周囲の視線はまだ冷ややかではある。

しかし、以前とは違う。


・ 冒険者たちの興味が、軽い侮蔑から注目と警戒に変わる

・ 中堅冒険者からの軽い称賛が聞こえる

・ ゼインを含む強豪冒険者が、僅かに意識する気配


クロウは表情を変えず、淡々と手続きを進める。

だが胸中には、確かな手応えがある。


(……小さな変化だが、着実だ)


#### 心中の整理


宿に戻り、クロウは短剣を膝に置き、月明かりを受ける。


(……俺は、まだ最弱じゃない。

 でも、力では勝てなくても、生き残り、勝ち筋を作れる)


隠し階層制覇。

規格外モンスターの制御。

そして、周囲の評価が少しずつ変わり始めた。


クロウの視線は、静かに次の迷宮へ向けられている。


(……次は、もっと高く、遠くまで行く)


最弱判定の冒険者は、

生き延びる戦術と観察力で、確実に世界に存在感を示すことを学んだのだった。

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