第28話 影との交錯


隠し階層の奥深く。

湿気の匂いが鼻を突く広間に、微かな振動が伝わる。


クロウは短剣を握り、呼吸を整える。

《空間把握(狭)》が、前方に規格外の魔力波動を捉えた。


(……来たか)


足元の段差や壁の振動を確認し、クロウは静かに広間の中央へ進む。


#### 規格外モンスターの姿


影がゆらりと動き、姿を現す。

全身は黒紫の鱗に覆われ、前回の規格外モンスターを凌ぐ威圧感。

目は深紅で、光を反射し、全方向を見通すかのようだ。


《遅延感知》が強く反応する。

魔力の波動は、広間全体を震わせ、踏み込めば即死級の攻撃が予想される。


クロウは短く息をつく。


(……力では絶対に勝てない。

 だが、戦術でなら、なんとかなる)


#### 知略戦の開始


クロウは一歩踏み込み、敵を誘導する。


・ 床の段差や壁を活用し、攻撃の軌道を制限

・ 《微調整》で攻撃を受け流す角度を最適化

・ 《蓄積変換》で敵の行動パターンをリアルタイムで分析

・ 攻撃はせず、情報と制御を優先


魔獣は前肢を振り、強力な衝撃波を放つ。

だが、クロウは一歩ずつ斜めに回避。

直接攻撃を受けず、動きを誘導し、制御を試みる。


#### 緊迫の駆け引き


咆哮とともに広間の天井が振動する。

破片が落下し、足元の床も不安定になる。


クロウは《空間把握(狭)》で床の安全範囲を確認し、

《微調整》で重心を微細に修正しながら動く。


敵の攻撃パターンを蓄積し、次の行動に反映する。

直接勝つのではなく、敵の行動をコントロールする戦術が生きる。


#### 心中の決意


息を整え、クロウは短く呟く。


(……倒せなくても、制御はできる。

 情報と環境を使えば、未知の敵でも生き延びられる)


規格外モンスターとの戦いは、

クロウのダメスキ連携と観察力が試される、真の知略戦の幕開けだった。


広間に緊張が張り詰め、

クロウと影――二つの意思が、静かに交錯する。

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