第23話 迷宮の影


中層第三区画。

広間を抜けると、壁際に微かな凹凸が見えた。


《空間把握(狭)》が、普段は感じない違和感を拾う。


(……ん? この壁、妙だ)


近づくと、表面は一見ただの石壁。

だが、光の角度で微妙に凹んだ部分が浮かぶ。

クロウは短剣で軽く触れる。


カチリ。


小さな音が、迷宮内に響いた。

壁がわずかに沈み、隠し扉が現れる。


#### 隠し階層への扉


《遅延感知》で扉の向こうの気配を確認。

魔獣や罠の兆候は微弱。

前回の経験を生かし、慎重に一歩ずつ踏み込む。


《微調整》で体重を分散し、床や壁の圧力を測る。

《蓄積変換》は、未知の空間の情報を蓄積。

前回の小型ボス戦の経験が、ここで役立つ。


(……これは、誰も通らないルートだ)


薄暗い通路は、通常の探索ルートよりも細く、曲がりくねっている。

だが、クロウのスキル連携により、安全に進むことが可能だ。


#### 通路の奥


数十歩進むと、広間が現れる。

中央には小型ボスのような守護者は存在せず、

代わりに古びた台座と小箱が置かれている。


《空間把握(狭)》が、微細な罠や隠し床の存在を示す。

《微調整》で回避しつつ、箱を確認。


開けると、中層では見たことのない魔力強化素材や、

珍しい魔法陣の断片が入っていた。


(……これは、普通の冒険者なら気づかないな)


小さな成功。

だが、クロウにとっては価値ある情報と素材だ。


#### 心中の確信


通路を戻る途中、クロウは思う。


(……迷宮は、まだ全て見えていない)

(だが、隠された情報やルートを見つければ、力で劣る自分でも、勝ち筋を作れる)


前回の小型ボス制覇、ゼインとの駆け引き、観察による小さな勝利。

全てが、隠し階層攻略への布石になったのだ。


クロウは短剣を握り直し、次の階層への挑戦を決意する。

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