第22話 見え始めた視線


ギルドの広間。

冒険者たちの喧騒が響く中、クロウは報告書を提出した。


「中層第三区画、制覇完了。損害なし」


受付係は書類に目を通す。

以前なら軽く流されていた言葉だが、今回は違った。


「……なるほど。単独でか」


小さく感嘆の声。

続けて、数名の中堅冒険者たちも視線を送る。


(……前より、見られてる)


クロウは、いつものように表情を変えず、淡々と手続きを進める。

だが胸中には、微かな手応えがある。


#### ギルド内の評価


昼下がり、仲間や他の冒険者たちが小声で話している。


「クロウ、あの中層を……?

 一体どうやって……」


「ダメスキルばかりなのに、制覇って……?」


噂は小さいが確実に広がる。

力ではなく、戦術と観察で結果を出した事実が評価され始めた。


クロウは耳を傾けず、ただ次の行動を考える。


(……名前で判断される時代は、もう少しで終わる)


#### ライバル・ゼインの視線


その日の夜。

ゼインは同じ中層迷宮内で情報収集をしていた。


仲間から報告を受ける。


「クロウ・レインフェルドが中層第三区画制覇、単独行動で損害なし」


ゼインは短く息を吐く。

眉に微かな動き。

興味や苛立ちではなく、認識の変化だ。


(……あいつ、成長してる)


以前の最弱判定の少年は、

今や「単独で中層制覇する可能性」を秘めている。

圧倒的な力を持つゼインにとっても、油断できない存在になりつつある。


#### クロウの心境


宿に戻り、短剣を置くクロウ。

月明かりが机の上の図解を照らす。


(……少しずつ、確実に前に進んでいる)


周囲の視線は変わりつつある。

ゼインも、僅かに意識するようになった。


だが、クロウにとって重要なのは、

他人の評価ではなく、自分自身の戦術と成長の確実さだ。


最弱判定の冒険者は、

着実に、しかし静かに、

“伝説への道”を歩み始めていた

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