第21話 再び交わる視線


中層第三区画。

光の射す広間で、クロウは足を止めた。

前回の制覇で得た小さな手応えが、今の自信の源だ。


しかし、背後から微かな気配。

《遅延感知》がわずかに震え、体が反応する。


振り返ると――

そこには、ゼイン・ヴォルグがいた。


「……また会ったな」


声には挑発も笑みもない。

だが、視線がクロウを正確に捉えている。

まるで、戦場を読む観測者のようだ。


クロウも短剣を構える。

《微調整》が反応し、重心を瞬時に安定させる。


#### 駆け引きの深化


ゼインが一歩前に出る。

魔力を纏った剣が光り、空気を切り裂く。


クロウは直接反撃をせず、観察と誘導に徹する。


・ 攻撃の速度、方向、魔力消費

・ 足の動きや体の傾き

・ 攻撃後の硬直や間合い


《遅延感知》《蓄積変換》で情報を蓄積し、次の動きに反映。

魔獣や障害物と同じく、ゼインの動きも盤面の一部として扱う。


ゼインは派手な攻撃でクロウを崩そうとするが、

クロウは微調整での回避+誘導により、攻撃を力で受け流さず、消耗最小で制御する。


#### 互角に迫る


一撃を誘い、ゼインの剣の軌道を読み、距離を操作する。

ゼインも、クロウの動きを見逃さず、攻撃間隔を変化させて対応。


二人の駆け引きは、一瞬の読み合いと反応の連鎖となる。

互角ではない。

だが、クロウの成長により、前回より明確に差が縮まった。


「……悪くないな」


ゼインの短い言葉に、僅かな感情の動きが乗る。

興味ではなく、認識。

クロウを「ただの最弱」とは思わなくなった証拠だ。


#### 戦闘後


交錯を重ねた後、ゼインは一歩下がり、短く言う。


「……次は、楽しみにしておく」


仲間と共に、階段へと消えていく。

クロウは息を整え、微かに拳を握った。


(……前より、確実に差は縮まった)


力ではまだ及ばない。

だが、情報と戦術の積み重ねで、互角の手前まで来られた。


中層迷宮。

ゼインとの再戦。

そして、最弱判定の冒険者は、

差を埋める戦い方を確実に手に入れたのだ。

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