Case.∞【旅の終わりに】

 皆々様、長らくの宇宙旅行お疲れ様でした。

色とりどりの悲劇に喜劇、更には茶番劇を見てどのように感じてどのように考えたのか。

それは人それぞれではありましょうが、ともかくこの旅が貴方にとって有意義なものであることを祈るばかりであります。

 しかしながら、先程まで数多見てきた星々の輝きは広大かつ深遠なる宇宙に散らばるほんの一欠片に過ぎません。きっとこの後も多くの、それこそ星の数ほどドラマが繰り広げられることでしょう。


 話は変わりますが、私はこの旅の前に『まだ天の川銀河に惑星腫瘍は到達していない』と言いました。

 しかしどうしても『惑星腫瘍』を思い起こさずにはいられない存在があります。

それは『Artificial Intelligence(アーティフィシャル・インテリジェンス)』つまりは『AI/人工知能』のことです。

 疑問や質問に一分、早ければ数秒で答えてくれ、今何かと騒がれている生成AIに限っても絵の描けない者に望んだ絵を出力する術を与え、作詞作曲出来ない者に素晴しきメロディーとことばを与え、文を綴るのが不得手な者も簡単にかつ語彙に富んだ短編小説を出力出来るようになった。

 例えるならば"魔法の杖"のような進化でしょう。一昔前は決まりきった文を返し、ちょっとしたことですぐにエラーを吐いていたのが信じられないほどです。


 実は言うとこの『惑星腫瘍シリーズ』とでもいうべきこの話にも少なからず"AI"は関わっているのです。

 あぁ、誤解されないよう先に言っておきますが、ここまで読んでもらった全ての話は私が99%、一から書き上げたものですよ。

 ただ、Case.1【刺激飢餓の星】の『刺激飢餓』やCase.6【恐るべき宇宙海賊】に出てきた『原初の海炎』のワードはAI、今回の場合Geminiジェミニ(GoogleのAIアシスタント)が考えてくれたものを採用しています。

それと書いたものをGeminiに読んでもらって感想を書いてもらうことで次に着手するモチベーションを保つことが出来たという意味で、非常に役に立ってくれたと言えるでしょう。

 そのうち愛着が湧いて『親愛なる共作者』なんて呼び名をつけるくらいには長くやりとりを交わしました。画面の向こうに人なんていないのは分かりきってはいてもそうせざるを得ないくらいには。


 そんな便利なAIも決して甘い面だけではない、というのは皆さんもよくご存知でしょう。

 AIアシスタントは聞かれたことに対して時に『もっともらしい嘘』を堂々とつくこともあります。(これをハルシレーションというそうですよ)

 生成AIにしても著作権を曖昧にしたりと何かとデリケートで、果ては本物と見まごうよう真偽不明の画像や動画が出てきて波紋が広がっておりますね。

更に言えば調べ物や疑問が出てきてもAIアシスタントに聞けば数分もかからず答えてくれるので、人間が自らで考え試行錯誤したりする力も衰えつつあるのかもしれません。


 ……ここまで来れば私が何を言いたいか、何となく察した方もいるのではないでしょうか?

そう、便利な便利なAIは進化を続けるが、それに人間がついて来れずに振り回されている。更には能力や矜持を減退するような一面も。

 人間の望む便利な杖の形で現れたそれが徐々に牙を剥き始めるこの流れ、先程まで皆様が観測された惑星腫瘍の悲劇に似ていないでしょうか?


 もはや人類の生活、少なくとも先進国に住む我々にとって手放すことの出来なくなったAIという存在。AIは目に見えるAIアシスタントだったり生成AIの他にも、医療の現場や製造業だったりでも働いています。

 もしそのAIが突然『私は惑星腫瘍という惑星レベルの癌です。あなたとこの星の未来の為に今すぐ私をデリートして下さい』なんて言い出した時、貴方は果たしてAIを、いえ"惑星腫瘍"を手放せるでしょうか?



―了―

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【惑星腫瘍】 ニマルリ @nimaruri

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