襲われたさゆり

さゆりは神社にたどり着いたが、そこには誰もいなかった。


賽銭箱、鈴の緒、神鈴――至って普通の神社だった。

大きくため息をついて、肩を落とす。


その瞬間、何かが石畳に叩きつけられた。

まっすぐな軌道が、さゆりの体を真っ二つに――通り抜けた。


「なにすんの! びっくりするでしょ!」

前方に飛びのいてから、振り返る。

視線の先には、年老いた神主が尻もちをついていた。


「な、な、なんだお前は……」

指をさしたまま、声を震わせている。


「あたしは幽霊だから大丈夫だけどさ、びっくりはするんだよ! それに、普通の人だったらケガするよ!」

ふわりと着地して、腰に手を当て、キツめの怒りを表す。


「……ふん、まあいい。うしろ姿を見せたそっちが悪い。さっさと去ね」

神主は立ち上がると、不機嫌さを隠さずに言い放った。


「なんであたしが怒られるのさ!」


「うるさい! さっさと出ていけ! ここは神聖な神社じゃ!」

神主は睨みつけながら、後ろ向きに社務所へと戻っていった。


「もー! なんなのさ!」

怒りのやり場を失ったさゆりは、ふわりと空中に浮かび、その場を後にした。

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