第一話 タバコは成竜になってから

「生まれてすぐ吸うタバコは美味いのう。かっかっかっ」

金の卵から生まれた竜は、縁側に腰かけて煙草をふかしながら笑った。



おばあちゃんの葬儀で発見した金の卵は、その場ですぐに割れて金色の竜が現れた。

不思議なことにその竜のことが見えるのは、自分以外にはいないようだった。

ずっと見つめていると、その竜と目が合った。

「坊主、ひとまず煙草あるか?」と小さな竜はウインクしながら言った。

気味が悪いので目を逸らして無視を続けていたが、一旦目が合ったのが失敗だった。

その竜は当たり前のように自分のあとをついてきて、

悪びれる様子もなく一緒に車に乗り込んできた。図々しいにもほどがある。

おばあちゃんの家についた竜は車を降りたあと翼を使って飛ぼうとしたが、

うまく使えないことに気づき二足歩行で家に上がり込んだ。

家の中を物色して煙草を発見したあと、「ふっ」と小さな火の息を吐いて煙草に火をつけた。

うまそうに吸いながら、あぐらをかいて縁側に座ったままの竜は、

その様子をじっと見つめる僕の方を見て言った。

「タバコは未成年のうちは辞めておきな」

「いや、吸いたいから見てるとかじゃないから」

無視しようかと思ったが、さすがに無理だった。

「君は何者なの?」と尋ねると

「ゴールデンレトリーバー」と返事があった。

続けて「卵から生まれて、毛がなくて、鱗があって、翼があって、少し火を吹けるだけの、ただのゴールデンレトリーバーさ」

「どの特徴も僕が知っているゴールデンレトリーバーとは違うよ」

「この世の中にはおまえさんが知らないことがまだまだたくさんあるんだよ、坊主」

煙草を一本吸い終わったあと、金竜はこちらに向かって笑いながら

「まぁ、これからよろしくな、坊主」と告げた。

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