金の竜の背でノって

アインソフィ

序章 こんにちわ、金卵

いつもおばあちゃんは口癖のように言っていた。

「すべてのモノには竜が宿っている」と

その言葉の意味が分からなかったので聞き返すと

「時がくれば見えるようになるよ、きっと」

ごつごつしていて暖かい手で、頭を撫でてくれながら言ってくれた。

その言葉の意味を、おばあちゃんのお葬式の時に、はじめて知った。

実際に見ることになった。竜を。

お葬式のとき、棺の中で穏やかな顔で寝ているおばあちゃん。

その体の回りを覆うように、金色の湯気のようなものが出ていた。

驚いて隣のお母さんに伝えようとしたら、盛大に泣きじゃくっていた。

幼い自分が恥ずかしくなるぐらいに、ぼろぼろに泣いていた。

タイミングを見失い、ずっとおばあちゃんの方を見ていた。

みんなでお別れを言ったあと、おばあちゃんは燃やされた。

おばあちゃんが寝ていた金属の台の上に、骨と、金色の大きな卵が載っていた。

はじめて人が燃やされるのを見たので、

漠然と「人が燃やされると骨と、金の卵が残るんだ」と思った。

だけどそこからはさらに不思議なことが起こった。

誰一人として卵には触らず、骨をお箸で拾って壺に入れていった。

まるでそこには何もないかのように。

そのとき気づいた。「卵は自分にしかみえていない」ことに。

驚いている自分をさらに驚かせるように、金の卵にひび割れが走った。

その日から不思議な物語ははじまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る