街に向かって

歩き始めて5時間が経とうとしていた。




イリムはというと、身体の疲労感はなく、どちらかというと永遠と同じような光景に精神的に疲弊していた。




「ずうーーーと草原から出れないんですけどーー」




そういえば僕って竜人族っていうやつなんだけど、空とか飛べないのかな?


そういう疑問が頭をよぎった。


もし飛行できるなら移動時間の大幅な短縮になるだけではなく上からだったら、地上よりも広い範囲を見渡せるはず。




そう思ったけどどうやって羽を出したらいいんだろう?


背中を触ってみたけどそれらしき物はなかった。竜人と言っているから普段は羽が身体に刻まれた魔法的要素で隠れている。または格納されていると思う…




だが確証はない。それでも永遠と続く景色を変えるにはこれを試すのが一番だと思ったからだ。




早速羽が出てこないか確かめてみる。まずは背中に感覚を集める。そうすると背中に微かな違和感を感じた。それを羽を広げる感じに伸ばす。




そうすると空気を押し除けるようなバッという音と共に1対の羽が生えてきた。


形はアニメでよくみるドラゴンの羽を小さくしたような形で、腕より30センチほど長かったが、色はよくみる色ではなく、白と薄い青色が調和している綺麗な羽だった。




思ってたのとは違ったけど、今の肌や髪ではこっちの方が合ってるかな?


今鏡で細かいところをちゃんと見れないから正確にはわからないけど多分似合ってると思う。




羽で空を飛ぶという体験は初めてなので羽を出した後、どうするかわからなくなるのでは?と不安があったんだけど、今ではどうすればいいか手に取るようにわかる。




本能的なものかな?自分の種族についてちゃんと調べてみたいな。街に着いたらまず図書館とかで聞き込みとかしないと。


そう思いながら、イリムは空へ飛び立った。






飛び方はわかるけど、思った以上に上昇するなー。軽めに羽を動かしただけなんだけど、一秒足らずで数百メートル上昇するとは思わなかった…




小声で「ちょっとびっくりした」と呟いたのち、自分が思っているより身体能力が高いことを理解しつつ、ちょうどいいくらいに飛べないかと、でも早く町に着く方法を思案したら、いいアイデアを思いついた。




そうだ!思考加速で頭の回転を上げると同時にさっきの速さで飛べばいいじゃん僕って天才♪




そう自画自賛をしつつ、早速試してみようと思う。


思考加速は試しでしたことがあるから別に問題じゃない。だけどこの感じだと音速を超えた際に衝撃波が起きて地上に影響を及ぼしかねない。




だからちょうどいい速さで、っと考えながら太陽の方向に飛ぶ準備をする。太陽に向かって飛べば日の落ちる速度が少しだけ下がるからだ。




最初はゆっくりで徐々に上げる。それじゃあ321で行こうかな。3 2 1


その時、地上から見たら一瞬で消えたように見えただろう。なんせゆっくりとは言ってもすでに時速500キロを超えて600キロになろうとしていたからだ。




停止していた物体が急に高速移動したら、消えたように見えるのは当然だった。


移動し始め30分程度で遠くに町の明かりが見えてきた。その移動距離、実に300キロ。もし歩きで移動していたら何日もかかっただろう。




飛べるかもって思いついてよかった〜。だけど羽を出したまま街に入ったら十中八九追い返される。遠くからでも認識できるほどの高い壁が築いてある。


それが意味するのはどこかと戦争をしている、または脅威なり得る存在がいるということだ。




もしそんな中羽を出したまま街に入れば討伐対象になるかもしれない。


それだけは避けたい。


そう思ったため、町から数キロ先に着地して、そこから街に向かった。




街に着く頃には日はすでに傾いていた。


近くで見ると、壁は思ったよりも高く分厚く、


頑丈そうに見えるが、


そうしなければならない存在がいるということなので、


それに相対しなくてよかったと思った。




壁に町への入り口を見つけると、


そこに立っていた衛兵が近づいているのが見えた。


これで一安心と思っていると急に目の前が暗くなり、


視界の中心がぐるぐるしてきて…




——気づいたらベットの上にいた。


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