最終話 魔王城は今日も満室御礼です。


 勇者アレックスが入居して数ヶ月。

 魔王城は今や『入居待ち』が出るほどの超優良物件となっていた。


「背中の流し加減はいかがで?」

「最高だよオーク君。あんなブラックな勇者業、辞めて正解だった」


 ラウンジでは、すっかり馴染んだ勇者が風呂上がりの牛乳片手にくつろいでいる。


「桑田ー! また申し込みじゃ! 今度はドラゴンの親子!」


 契約書を抱えて走ってくるラピス。

 その顔は幸せそうだ。


「『ブレス可能なバルコニー希望』で、予算は青天井らしいぞ!」


「なら最上階のペントハウスだ。耐火構造も完璧だからな」


「さすがギリー! 天才じゃな! わらわ、ギリーが好きじゃぞ!」


「天才じゃない、職人だ。……それと最後のは余計だ」


 現場では、黄色いヘルメットを被ったスライム『プル』親方が「プルップル!(安全第一!)」と指揮を執っている。


 そんな中、ラピスが唐突に言った。


「よし、決めたぞ! わらわ、今日で魔王を辞める!」


「は?」


「だって実権はお主にあるし、魔物も懐いておる。

 それに……わらわは、夢だった『かわいい奥様』になるからの!」


 頬を赤らめ、突きつけられた婚姻届には【新氏名:クワタ・ラピス】の文字。


「カ、タ、ギ、リだっつの」


「うるさい! もう『桑田』で定着した責任を取れ!

 いちごパンツを見た責任も取れ!

 今日からわらわは桑田ラピスじゃ! そんで、魔王の座はお主にやる!」


「はぁ!? てか、見てねぇよ!」


「「「 第37代魔王、桑田・ギリー様万歳! 」」」


「ふざけんな! 俺は人間だ!」


 周囲の歓声と共に、俺の頭にはヘルメットの代わりにラピスが脱いだ『魔王の角』が装着された。


 それ、被り物だったのかよ。


 ――こうして。


 ラピスは桑田(片桐)ラピスになって。


 なぜか俺は――第37代魔王になりました。


 おしまい。

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転生リフォーム業者、魔王城をホワイト化する ~勇者が来る前に職場環境を改善したら、世界を救うどころか「家賃収入」までゲットしました~ のら @George_L_Field

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