《断罪まであと一年? 知ったことか! ワテクシの筋肉(ド根性)でコウタをゲットしてみせますわ!》と言うなの糞7号

《断罪まであと一年? 知ったことか! ワテクシの筋肉(ド根性)でコウタをゲットしてみせますわ!》

第一話:【お黙りなさい運命、ワテクシが鉄下駄で粉砕しますわ!】

 

 この世界が、前世で遊んでいた乙女ゲー『ルミナス・ファンタジー』だと気づいたのは一年前。

 そして、同時に理解しました。ワテクシ、レティシアの未来は「断罪」で確定しており、この一本道のクソゲーにおいて、運命の強制力は絶対なのだと。

 正直、ゲームの攻略対象たちには何の思い入れもありませんわ。どいつもこいつも、鼻持ちならない性格の最低男ばかり。

 ただ、この「現実」を生きる中で、唯一の誤算がありました。

「……あ、レティシア様。今日もトレーニングですか? お疲れ様です」

 そう言って、タオルを差し出してくれる少年、コウタ。

 彼は本編の中盤、武闘大会で新キャラの強さを見せつけるためだけに「惨殺される」一瞬のモブキャラ。

 けれど、ワテクシに備わった謎のチート機能「システム・アイ」は、彼の頭上に、攻略対象の誰よりも高い【好感度:999】を表示していました。

(……こんなに残酷なシステム、なくなればいいのに)

 ワテクシは彼を救いたい一心で、キャラクターTipsを解禁しました。そこに記されていたのは、あまりにも冷酷な仕様(プログラム)。

> 【Tips:コウタ】

> 本作は一本道シナリオであり、全イベントは強制修正される。

> コウタは武闘大会にて「敗北・死亡」することで、物語の進行フラグを管理する。

> この運命は、いかなる干渉も受け付けない。

>

「…………ふざけるんじゃありませんわッ!!」

 ワテクシは中庭の石畳を素足で踏み砕きました。

 死ぬのが仕様? 運命が固定? お黙りなさい。

 強制力で元に戻るというのなら、戻る暇もないほどの「超質量」で、その因果律ごと叩き潰して差し上げますわ!!

「セバス! 例のブツを持ってきなさいッ!!」

「……お嬢様、本気ですか。それは呪いの装備とも呼ばれる……」

「ええ、持ってきなさいな! 片足百キロの特注装備――【雷銀の鉄下駄】をッ!!」

 ドォォォォォン!! と。

 運ばれてきたのは、置くだけで床が沈むほどの威圧感を放つ鉄下駄でした。

 ゲーム上のデータでは、これのデバフは『素早さ-99』。けれど現実では、そんな数値以上に、足の骨が軋み、肺が潰れそうなほどの重圧がワテクシを襲います。

「くっ、……あ、はは! これですわ、この重みこそが『運命に抗う代償』!!」

 本来、このアイテムは「レベルアップ時のステータス上昇率を跳ね上げ、専用必殺技を解禁する」ための修行用装備。

 しかし、そのあまりの苦痛に、ゲーム中では誰一人として使いこなせなかった死にアイテム。

「見ていなさい、運命。ワテクシがこの鉄下駄を履きこなした時――コウタ様の死を司るシナリオを、ワテクシの脚で粉砕して差し上げますわ!」

 ワテクシは、鉄下駄の重みに耐え、一歩、また一歩と大地を割りながら歩き出しました。

 コウタ様は死なせない。

 たとえこの世界が一本道のゲームだとしても、ワテクシがその道を「きりもみ回転」でぶち抜いて、新しいルートを更地にして差し上げますわよ!

「覚悟しなさい。ワテクシの愛は、この鉄下駄よりも重いんですのよ!!」



 《断罪まであと一年? 知ったことか! ワテクシの筋肉(ド根性)でコウタをゲットしてみせますわ!》

​第二話:【運命への挑戦状! 原作主人公との超決闘ですわ!】

​ 

 学園の訓練場。

 ワテクシは、片足百キロの【雷銀の鉄下駄】を履きこなし、大地を軋ませるほどの重圧に耐えていました。吐き出す息は白く、全身から湯気が立ち上っています。

​「はぁ……はぁ……! これでこそ、運命に抗う資格が得られますわ!」

​ その隣で、コウタ様が心配そうに汗を拭ってくれます。

 システム・アイに表示されるコウタ様の【好感度:MAX】の文字が、ワテクシの心を奮い立たせるのです。

​ しかし、同時に【Tips:コウタ死亡まであと3ヶ月】という、無慈悲なカウントダウンが始まっていました。

 武闘大会までは、まだ時間がある。その前に、このゲームの「強制力」が、コウタ様を死に導くための『事件』を起こすはず。

 その一つが――「原作主人公との決闘」ですわ!

​ 

 翌日。案の定、原作主人公である王子、エドワードがワテクシの元へやってきました。

​「レティシア! お前がそのモブ(コウタ)と親しくしていると聞く! 俺の婚約者として、ふしだらな振る舞いは許さん!」

​ 傲慢な言葉。けれど、彼の頭上にも【好感度:0(イベント進行中)】の文字。

 そして、その背後には【システムログ:『レティシアとコウタの仲を引き裂く』イベント発生中】の通知。

 まさに、運命の強制力。このままでは、コウタ様が王子の怒りを買い、何らかの形で排除されかねませんわ!

​「お黙りなさい、王子。ワテクシの婚約者は、あなたではありませんわ。コウタ様ですわ!」

​「なっ……馬鹿なことを言うな! よかろう。ならば、そのモブとやらを連れて、私と決闘しろ! 勝てばお前の好きにしろ。だが、負ければ……そのモブは二度とお前に近づけなくなると思え!」

​ 決闘? 望むところですわ!

 そう。ここで王子に勝つことで、シナリオをねじ曲げ、コウタ様を『死の運命』から引き離す足がかりにするのです!

 

 

 決闘当日。学園のグラウンドには、生徒たちが詰めかけていました。

 王子は聖剣を抜き、コウタ様はワテクシの隣で震えています。

 本来なら、コウタ様が王子に挑み、惨敗するはずのイベント。しかし――

​「お黙りなさい王子。コウタ様は、ワテクシのパートナー。ですから、戦うのはワテクシですわ!」

​ ワテクシは一歩前に出ました。

 王子は侮蔑の目で鼻で笑います。

​「ふん、その鉄下駄か。そんな重いものを履いて、まともに動けるものか! かかってこい、レティシア!」

​「ええ、かかって差し上げますわ! ワテクシの愛と、この鉄下駄の重さを、その身に刻みなさいな!」

​ ワテクシは、鉄下駄を履いたまま、大地を割るような音を立てて加速。

 初動の加速だけで、王子を取り巻いていた魔法の障壁が砕け散ります。

​「なっ……! 速すぎる!?」

​ 王子が放つ聖剣の連撃を、ワテクシは鉄下駄の側面で受け流します。

 一撃ごとに、聖剣から「ギィン!」と嫌な音が鳴り響き、王子の顔が歪んでいく。

​「これですわ! ワテクシの足技(フットワーク)は、もはや光すら置き去りにしますわよ!」

​ そして、勝負を決める一撃。

 空中で超高速のきりもみ回転。鉄下駄が雷光を纏い、巨大なドリルと化す!

​「コウタ様への愛を邪魔する愚か者には容赦しませんわ! 『スーパーかみなりテツゲタ落とし』ッ!!」

​ ドォォォォォォォォォォォンッ!!

 

 グラウンドに巨大なクレーターが生まれ、王子は地面に深々と埋まりました。

 聖剣は粉々に砕け散り、王子の頭上には【好感度:-9999(恐怖)】と【状態異常:恐怖、失禁、トラウマ】のログが点滅しています。

 

「お、お前……怪物か……?」

 

 震える王子を尻目に、ワテクシはコウタ様の手を優しく握りました。

​「コウタ様。運命が何と言おうと、ワテクシがあなたをお守りしますわ。さあ、一緒にプロテインを飲みに行きましょう」

​ システムの強制力は、王子の敗北というイレギュラーな事態に、フリーズしたかのように沈黙していました。

 ワテクシは確信しました。この一本道のゲームのシナリオを、この鉄下駄が履き潰してくれると!

​《断罪まであと一年? 知ったことか! ワテクシの筋肉(ド根性)でコウタをゲットしてみせますわ!》

 

​第三話:【聖女の奇跡? お黙りなさい、真の救済は「物理」ですわ!】

​ 

 粉砕されたクレーターの中央で、白目を剥いてピクピクと痙攣するエドワード王子。そこへ、待ってましたと言わんばかりに原作ヒロインの男爵令嬢、ユリアが駆け寄りました。

​「なんて酷いことを……! エドワード様、今すぐお助けしますわ! 『聖なる癒やし(ホーリー・ヒール)』ッ!!」

​ 彼女が手をかざすと、柔らかな光が王子を包み込みます。バキバキに折れていたはずの骨が瞬時に接合し、王子が息を吹き返しました。観客席からは「おお……!」「あれほどの重傷を一瞬で!?」「これぞ伝説の聖女の力だ!」と、驚愕と称賛の嵐が巻き起こります。

​ ユリアは勝ち誇ったように、光の粒子を散らしながらワテクシを睨みつけました。

​「レティシア様、暴力で人は救えませんわ! この奇跡の光こそが、選ばれし者の力なのです!」

​ お黙りなさい。

 ワテクシの「システム・アイ」には丸見えですわ。その魔法、ただ表面を繕っているだけで、王子の体内にはまだワテクシの鉄下駄が残した『雷の衝撃(デバフ)』が残留していますのよ。このままだと彼は一生、雨の日に腰が疼くことになりますわ。

​「フン……。コウタ様、行きますわよ。真の『アフターケア』というものを見せて差し上げますわ」

​「えっ、あ、はい! レティシア様!」

​ ワテクシはコウタ様の手を引き、まだふらついている王子の元へ歩み寄りました。鉄下駄が「ドシン、ドシン」と地響きを立てるたび、周囲の聖女コールが恐怖の悲鳴に変わります。

​「な、何を……ひゃっ!?」

​ ユリアを片手で優雅に(物理的に)脇へ退け、ワテクシは王子の胸ぐらをつかみ上げました。

​「王子、聖女の甘っちょろい魔法では根治しませんわ。ワテクシの愛の振動(超高速マッサージ)で、細胞レベルから叩き直して差し上げますわよ!」

​「や、やめ……あばばばばばばばッ!!」

​ ワテクシは王子の背中を、鉄下駄の角でリズミカルに、かつ音速で叩き始めました。

​「ヴァロワ流・奥義! 『雷銀鉄下駄・点穴浸透波(テツゲタ・カイロプラクティック)』ッ!!」

​ ドガガガガガガガガガッ!!

 王子の口から魂と一緒に、体内に溜まっていたどす黒い淤血(おけつ)が噴き出します。

 数秒後。

 放り出された王子は、なぜか以前よりも肌にツヤが戻り、視力が回復し、ついでに性格の歪みまで矯正されたような、清々しい表情で天を仰いでいました。

​「……な、なんだ。体が……軽い。これが、本当の……『癒やし』……?」

​ 観客席は静まり返りました。聖女の光よりも、鉄下駄による打撃の方が明らかに治療効果が高い。もはや誰もユリアを聖女とは呼びません。

​「コウタ様、お待たせしましたわ。汚いもの(王子)を触ったので、手を洗ってきますわね」

​「レティシア様……すごすぎて、もう僕、一生ついていくしかないって確信しました……!」

​ コウタ様の好感度計が、ついに測定不能(エラー)を起こして爆発しました。

 原作ヒロインの面目を丸潰れにし、王子の心身を(物理で)浄化したワテクシは、鉄下駄を鳴らして悠然と去っていきました。

 

 運命の強制力? 聖女のフラグ?

 ワテクシが歩けば、そこが正解(ルート)になるのですわ!

 《断罪まであと一年? 知ったことか! ワテクシの筋肉(ド根性)でコウタをゲットしてみせますわ!》

​第四話:【無限回廊の試練! 愛は鉄の重みを超えるのですわ!】

​ 

 雲を突き抜け、星に届かんとする巨塔――【無限回廊】。

 ここを登り切れば、ステータス上昇率が限界を突破し、真の必殺技が解禁されるという伝説の修行場。

 ワテクシは今、その一万段目を超える階段の途中で、膝をついていました。

 

「はぁ……っ、はぁ……っ! お、おのれ運命……。この、雷銀の鉄下駄が……今日ばかりは、恨めしい……ですわ……」

 

 片足百キロ。両足で二百キロ。

 普段なら優雅にステップを踏める重さも、空気の薄い高層階、そして終わりの見えない螺旋階段では、ワテクシの強靭な太ももさえも鉛のように重く沈ませます。

 視界がチカチカと点滅し、意識が遠のきかけた、その時でした。

 

「レティシア様……大丈夫ですか?」

 

 横で同じように肩を上下させていたはずのコウタ様が、ワテクシの前に背中を向け、低く屈みました。

 

「さあ、僕の背中に。……少し、休みましょう」

 

「な……何を仰いますの!? ワテクシは二百キロの鉄下駄を履いているのですわよ!? コウタ様のような、か弱い……っ、きゃっ!?」

 

 抗う間もなく、コウタ様の手がワテクシの脚を支え、ひょいと背負い上げたのです。

 

 ドクン、と心臓が跳ねました。

 重いはず。絶対に重いはずですわ。ワテクシ自身の体重に加え、この呪いのような鉄の塊。モブキャラであるはずの彼の細い肩が、ミシミシと音を立てていてもおかしくない。

 

 それなのに。

 

「……ふふ、やっぱりレティシア様は、いい匂いがしますね」

 

「コ、コウタ様!? こんな時に何を……! 早く下ろしなさいな、死んでしまいますわよ!」

 

「死にませんよ。……僕、決めたんです。レティシア様が、僕を助けるためにこんなに頑張ってくれているなら……僕だって、レティシア様が動けない時は、僕が道を進もうって」

 

 コウタ様は、一歩。重い足音を立てて、階段を登り始めました。

 システム・アイが、信じられないログを弾き出します。

 

​【コウタ:リミッター解除(愛のバフ)】

【特性:レティシア限定・重量無視】

【好感度:測定不能(宇宙規模)】

 

 下から見上げる彼の横顔は、苦痛に歪むどころか、柔らかく、幸せそうに微笑んでいました。

 なぜ。なぜ笑えるのですの? 骨が砕けそうな重圧の中で。

 

(……ああ、そうか。これが、ワテクシの愛した……コウタ様なのですわね)

 

 彼は強い。筋肉でも魔法でもない、誰かを想う心の強さが、ゲームのステータスという枠組みを、今、物理的に破壊している。

 ワテクシの目から、熱いものが溢れ出しました。

 

「……コウタ様。あと百段登ったら、ワテクシがあなたを背負って一万段駆け登って差し上げますわ。……覚悟、なさって?」

 

「あはは、楽しみにしてますね、レティシア様」

 

 天空の塔に、二人の笑い声と、重厚な鉄の足音が響き渡ります。

 運命の一本道? そんなもの、二人の愛の重みで、もうとっくに粉々に砕け散っていますわ!

《断罪まであと一年? 知ったことか! ワテクシの筋肉(ド根性)でコウタをゲットしてみせますわ!》

第五話:【黄金の重圧! 届かぬ指先と死の予兆】

 

 無限回廊の頂上。雲海を割って降り注ぐ神々しい光の中で、ワテクシの脚元に劇的な変化が訪れました。

 雷銀が弾け飛び、顕現したのは太陽をも凌駕する輝きを放つ【黄金の超電磁テツゲタ】。

> 【装備進化:黄金の超電磁テツゲタ】

> 【ステータス:筋力・耐久・魔力が極大上昇】

> 【警告:因果律の反作用を検知。運命の修正力が最大出力で稼働中】

>

 溢れ出す万能感。ですが、ワテクシが喜びの声を上げようとしたその瞬間、システム・アイが真っ赤なノイズと共に、絶望的なログを吐き出しました。

> 【コウタ:生存確率 0.00%(確定)】

> 【Tips:因果律は『レティシアの強化』を『コウタ殺害の難易度上昇』と認識。殺害イベントの威力を再計算……1000倍に強化完了】

>

「なっ……ななな、なんですって……!? ワテクシが強くなればなるほど、コウタ様への『死の圧力』が強まるというのですか!?」

 ワテクシは慌ててコウタ様を見やりました。

 彼は黄金の光に包まれながら、力なく笑ってワテクシを見つめていました。その体は、まるで薄い霧のように、時折透けて見えています。

「……あはは、レティシア様。なんだか、僕……体がすごく軽くなったみたいだ」

「お黙りなさい! 軽くなってどうしますの! あなたはここに、ワテクシの隣に留まらなければなりませんわ!!」

 ワテクシは黄金の鉄下駄を鳴らし、彼の手を掴もうとしました。

 しかし、指先が触れる直前、目に見えない「世界の壁」が二人を引き離します。一本道のシナリオを外れようとするバグを排除しようとする、冷酷なプログラムの意志。

「レティシア様……いいんです。僕はモブキャラですから。あなたがそんなに強く、綺麗になれたなら……僕はもう、満足……」

「満足などさせませんわッ!! 誰が許可を出しましたの!? ワテクシが認めない限り、死神だろうが運営だろうが、あなたの髪の毛一本触れさせませんわよ!!」

 ワテクシは吠えました。黄金の鉄下駄から放たれる超電磁の火花が、周囲の因果律を焼き焦がし、無理やり「壁」をこじ開けます。

 だが、Tipsの【死亡確定】の文字は、無情にも消えることはありません。

 武闘大会まで、あとわずか。

 ワテクシが手に入れたこの黄金の力は、皮肉にもコウタ様をさらに追い詰める『刃』を研ぐ結果となってしまった。

「……上等ですわ。運命が1000倍の殺意で来るというなら、ワテクシは一億倍の愛(パワー)で、その全てをすり潰して差し上げますわ!!」

 黄金の光を纏い、ワテクシはコウタ様を抱きしめました。

 腕の中に感じる、消え入りそうな彼の体温。

 死のカウントダウンが、静かに、しかし確実に牙を剥こうとしていました。

「見ていなさい、クソゲー。ワテクシの『スーパーかみなりテツゲタ落とし』は、もはや概念(システム)すら砕くのですわよ!!」



《断罪まであと一年? 知ったことか! ワテクシの筋肉(ド根性)でコウタをゲットしてみせますわ!》

第六話:【無慈悲なシステム指令! 孤高の黄金ウサギ跳び】

 

 黄金の光に包まれ、運命を書き換えたと思ったのも束の間。空中に、これまでで最も禍々しい漆黒のウィンドウが割り込んできました。

「……な、なんですの、このふざけた文字列はッ!?」

> 【緊急突発クエスト:因果律の強制修正】

> 【内容:黄金の超電磁テツゲタを装着した状態で、ウサギ跳びにて無限回廊を下山せよ】

> 【制約:コウタとの一切の接触・協力を禁止する。接触した場合、即座にコウタの生存フラグを完全削除(デリート)する】

>

 耳を疑うような非情な宣告。

 ワテクシの隣で、今にも消え入りそうなコウタ様が「レティシア様……」と、その震える手を伸ばそうとします。

「お止まりなさい、コウタ様!!」

 ワテクシは悲鳴のような叫びを上げ、全力で後退しました。

 黄金の鉄下駄が床を砕き、雷光が激しく火花を散らす。システム・アイには、二人の距離が近づくたびに【警告:死亡フラグ発動まで0.5秒】というカウントダウンが走っています。

「触れてはいけませんわ! 今のワテクシに触れることは、あなたの死を意味しますのよ……!」

「そんな……僕、やっとレティシア様の力になれると思ったのに……」

 絶望に歪むコウタ様の顔。

 けれど、ワテクシは唇を噛み切り、黄金の鉄下駄の鼻緒を締め直しました。

 協力できない? いいですわ。

 ならば、ワテクシ一人の脚力で、この不条理なルールを文字通り「跳ね除けて」差し上げますわよ!

「……見ていなさいな、クソゲーの運営様。ワテクシの『ド根性哲学』に、協力などという甘っちょろい言葉は不要ですわ!」

 ワテクシは深く、深く腰を落としました。

 黄金の鉄下駄、片足五百キロ……いえ、重力子を操作する超電磁の影響で、実質的な総重量は十トンを超えています。

 それを装着しての、下り階段でのウサギ跳び。

 一歩間違えれば、ワテクシ自身の膝が爆散し、塔が振動で崩壊する自殺行為。

「ヴァロワ流・奥義……『超電磁・黄金兎跳(ゴールデン・バニーホップ)』ッ!!」

 ドォォォォォォォォォォォンッ!!

 

 最初の一跳び。

 黄金の閃光が塔を駆け抜け、あまりの衝撃波に階段の石材が分子レベルで粉砕されました。

 ワテクシは、ただ跳んでいるのではありません。

 

「はぁあああああッ!! ワテクシが跳ぶたびに、コウタ様の死の運命を大地へと逃がして差し上げますわ!!」

 

 一跳びごとに、ワテクシの筋肉から黄金の魔力が噴出し、コウタ様の周囲に物理的な『絶対防壁』を形成していく。

 協力が禁じられているなら、ワテクシが一方的に、彼を守るための余波(エネルギー)を叩きつけるまでですわ!

 

 塔を一段飛ばし、十段飛ばし、百段飛ばし。

 黄金の弾丸と化したワテクシは、もはやウサギ跳びの概念を超えた「重力崩壊の演舞」となって螺旋階段を垂直に落下していきます。

 

 背後で、コウタ様が呆然と、しかし熱い眼差しでワテクシの背中を追ってくるのが見えます。

 

「見てなさいコウタ様! ワテクシが地上に着く頃には、この国の地軸さえもワテクシの愛で書き換えて差し上げますわよ!!」

 

 黄金の雷鳴が無限回廊を揺らし、悪役令嬢は独り、愛する者のために孤独な最強へと突き進むのでした。


 《断罪まであと一年? 知ったことか! ワテクシの筋肉(ド根性)でコウタをゲットしてみせますわ!》

第七話:【限界突破の赤熱! 恋の温度は絶対零度をも溶かしますわ!】

 

 無限回廊の五万段目付近。

 ワテクシの黄金のウサギ跳びは、もはや物理法則の限界を突破していました。

 黄金のテツゲタが階段と擦れるたびに発生する摩擦熱は数万度に達し、鉄下駄自体がドロドロのマグマのように赤熱し始めています。

 

「……はぁ、はぁ……っ! あ、熱いですわ……! ですが、この程度、ワテクシがコウタ様を想う『恋の火傷』に比べれば、そよ風も同然ですわよ!!」

 

 空気は熱波で歪み、ワテクシが跳び上がった後の石材は瞬時に昇華して蒸気と化していきます。

 システム・アイが狂ったように警告を発し続けていました。

 

> 【警告:黄金の超電磁テツゲタの温度が限界を突破】

> 【警告:これ以上の超高速移動は、使用者の肉体を分子レベルで崩壊させる恐れあり】

> 【警告:コウタとの距離、一定以上をキープ中。生存確率:0.01%(微増)】

>

 

 肉体の崩壊? お黙りなさい!

 ワテクシの細胞一つ一つは、コウタ様へのド根性で構成されているのですわ。分子がバラバラになろうとも、気合と愛の引力で再結合して差し上げますわよ!

 

 一方、背後を必死に付いてくるコウタ様。

 ワテクシの跳躍が巻き起こす熱風に顔を焼きながら、彼は、ワテクシが踏み砕き、赤熱して散らばった黄金の鉄下駄の破片――『運命を削り取った結晶』を、必死に拾い集めていました。

 

「レティシア様……! そんなに……そんなに一人で背負わないで……っ!」

 

 コウタ様の叫びが、熱波を切り裂いて届きます。

 その声を聞くたびに、ワテクシの心拍数は上がり、超電磁の出力がさらに跳ね上がる!

 

「いいのですわ、コウタ様! ワテクシは今、最高に熱い女になっておりますの! 触れられないのなら、この熱気であなたを包んで差し上げますわ!!」

 

 ドォォォォォォォォォォォンッ!!

 

 ワテクシはさらに加速。

 もはやワテクシの姿は視認できず、塔の内部を黄金の流星がバウンドしながら落下していくような、異常な光景。

 

 摩擦でドレスは燃え尽き、残ったのは筋肉のラインを強調する特注のインナーのみ。

 赤熱した黄金の鉄下駄を打ち鳴らすたび、螺旋階段が「愛の衝撃」で歪み、塔全体が悲鳴を上げて軋みます。

 

「これこそが、ワテクシの哲学! 『一人で跳べぬ女に、二人で歩む資格なし』!!」

 

 頂上から地上までの数万段を、ワテクシはわずか数分で跳び切り――

 ついに、塔の出口が見えました。

 

「コウタ様、しっかり捕まって……はいけませんでしたわね! そのままワテクシの風圧の渦に乗っていらっしゃいな!!」

 

《断罪まであと一年? 知ったことか! ワテクシの筋肉(ド根性)でコウタをゲットしてみせますわ!》

第八話:【砕け散る理! 哲学の叫びがシステムを凌駕しますわ!】

 

 赤熱する螺旋階段。ワテクシを追うコウタ様の足取りが、絶望に震えて止まりました。

 

「……レティシア様。どうして、そんなに僕を拒絶するんですか……? 近づこうとすると、あんなに怖ろしい顔をして……。僕、レティシア様に嫌われてしまったんですか?」

 

 彼の悲痛な叫びに、ワテクシの心臓が握りつぶされるような痛みを覚えます。

 言いたい。今すぐこの「クソゲーの強制ルール」をぶちまけて、彼を抱きしめたい!

 

 だが、その瞬間。ワテクシの眼前に、血のように赤いウィンドウが狂暴に割り込んできました。

 

> 【警告:管理情報の漏洩を検知】

> 【ペナルティ:クエストの存在を口にした場合、即座にコウタの全データを抹消(デリート)する】

> 【警告:接触禁止距離を維持せよ。さもなくば――】

>

 

 卑怯。あまりにも卑怯ですわ。

 ワテクシ一人を苦しめるならまだしも、彼の存在そのものを盾に取るなんて……!

 

「……コウタ様!!」

 

 ワテクシは背中を向けたまま、黄金の鉄下駄が放つ熱波を背負って叫びました。

 

「あなたが嫌いとか、そんな理由なわけありませんわ! お黙りなさい、そんな弱気な言葉!」

 

 鉄下駄が放つ放電が、ワテクシの筋肉を焼き、視界を白く染めていきます。

 

「ワテクシは……ワテクシは、あなたに相応しい女になるために。一人の女として、あなたの隣に堂々と立ち続けるために。……だから、何も聞かずに、そこで待っていなさいな!!」

 

「レティシア様……! でも、僕は、レティシア様さえいてくれるなら、他には何もいらないんです! 力なんて、身分なんて……!」

 

 コウタ様が一歩、こちらへ踏み出します。

 システム・アイが断末魔のような警告音を鳴らし、コウタ様の体がノイズでバグり始めました。

 

「『好きだから、ずっと一緒にいよう』……なんて、今は言わないでくださいまし!!」

 

 ワテクシは、黄金の鉄下駄を全力で大地に叩きつけました。

 

「その言葉は、ワテクシが全ての運命(クソゲー)を粉砕して、真っ白な更地を作ったその時に……ワテクシから、あなたに叩きつけて差し上げますわ!!」

 

 その瞬間。

 ワテクシの『愛(ド根性)』という名の純粋な質量が、システムの演算能力を完全にオーバーフローさせました。

 

 パリン、と。

 

 空中に浮かんでいた、禍々しいクエスト画面に亀裂が走りました。

 

「……え?」

 

 コウタ様が目を見開きます。

 プログラムの束縛、協力禁止の制約、そして脅迫のログ。

 それら全てが、一人の令嬢の「理屈を超えた熱量」に耐えきれず、硝子細工のように粉々に砕け散ったのです。

 

 黄金の鉄下駄から放たれる輝きが、コウタ様を包んでいた「死のノイズ」を焼き払いました。

 

「お黙りなさい、運営! ワテクシの恋路に、外野が字幕(ログ)を出すんじゃありませんわッ!!」

 

 

 砕け散った画面の破片が光の粒となって消えていく中、ワテクシはゆっくりと振り返り、まだ震えているコウタ様の胸元へ、一直線に飛び込みました。

 

 鉄下駄はまだ熱い。ワテクシの体も、燃えるように熱い。


 

《断罪まであと一年? 知ったことか! ワテクシの筋肉(ド根性)でコウタをゲットしてみせますわ!》

第九話:【モブの意地、泥にまみれた不屈の刃】

 

 塔から帰還したあの日以来、ワテクシは知ってしまいました。コウタ様が、あの大空の下で一人、無謀な挑戦を続けていることを。

 

「はぁ……はぁ……っ! もう一回、もう一回だ!」

 

 学園の訓練場。そこには、騎士科の精鋭たちに挑みかかり、泥まみれになって地に伏せるコウタ様の姿がありました。

 彼の手にあるのは、拾い集めたテツゲタの欠片ではなく、ただの使い古された木刀。融合して手に入れた超常の力など、そこには一ミリもありません。

 

「ぎゃははは! おい見ろよ、あの『死に損ない』のモブを!」

「才能ゼロのくせに、レティシア様に色目を使った罰か? 身の程を知れよ!」

 

 周囲の生徒たちが冷笑を浴びせ、騎士たちが木刀でコウタ様の肩を乱暴に叩きます。

 ワテクシは影からその光景を眺め、黄金の鉄下駄が火花を吹くほどに拳を握り締めました。

 助けに行くのは簡単です。黄金の力で、あの無礼な輩どもを地平線の彼方まで蹴り飛ばして差し上げるのは、ワテクシにとって欠伸が出るほど容易いこと。

 

 ですが、ワテクシは動けませんでした。

 コウタ様の瞳に宿る、かつてないほどの「熱」を見てしまったからですわ。

 

「……笑いたければ、笑えばいい。僕は、レティシア様の隣に立ちたいんだ。……守られるだけの『バグ』で終わりたくないんだ!」

 

 コウタ様は折れそうな腕で地面を突き、何度も、何度も立ち上がります。

 彼にはステータスの上昇補正も、伝説の装備もありません。ただ、ワテクシがウサギ跳びで見せた「ド根性」を、彼なりの不器用なやり方でなぞろうとしている。

 

 システム・アイが、絶望的な数値を弾き出します。

 

> 【コウタ:肉体負荷 限界突破】

> 【ステータス:変化なし(才能の壁)】

> 【周囲の評価:最低(ゴミ、無謀、道化)】

>

 

 お黙りなさい、クソシステム。

 数値に現れぬ「魂の磨耗」が、どれほど彼を鋭く研ぎ澄ましているか、ワテクシには分かりますわ。

 

「……コウタ様、あなたはバカな人ですわ」

 

 ワテクシは影の中で、一筋の涙を拭いました。

 才能がない? 結構ですわ。才能などという薄っぺらな器に収まりきらぬほどの「執念」を、彼はその身に宿そうとしている。

 

 コウタ様が再び騎士の剣に弾き飛ばされ、ゴロゴロと土を噛んだ時。

 ワテクシは、もう我慢できませんでした。

 

「お待ちなさい、そこの有象無象(モブ騎士)どもッ!!」

 

 黄金の鉄下駄が轟音を立てて着地し、訓練場の地面を一瞬で更地へと変えました。

 

「ワテクシの愛した男の『努力』を笑う者は、このレティシア・ド・ヴァロワが全力で、物理的に、この世の理(ルール)から追放して差し上げますわよ!!」

 

 

 ワテクシはボロボロのコウタ様の前に立ち、背中で彼を庇いました。

 コウタ様は驚いた顔をしていましたが、その手はまだ、しっかりと木刀を握りしめたまま。

 

「……レティシア、様……」

 

「コウタ様、よく頑張りましたわ。……ここからは、ワテクシの『地獄のコーチング』の時間ですわよ。覚悟、できておりますわね?」

 

 運命の武闘大会まで、あとわずか。

 才能のない彼が、世界で一番強いワテクシに鍛え上げられ、システムの予想を遥かに超える「ただの人間」として覚醒する。

 

 クソゲーの強制力様、震えて眠りなさいな。

 ワテクシたちの愛は、今、泥の中から最強の牙を剥こうとしていますわよ!


《断罪まであと一年? 知ったことか! ワテクシの筋肉(ド根性)でコウタをゲットしてみせますわ!》

第十話:【地獄の二分三脚! 愛の連動(リンク)で限界を突破せよ!】

 

 学園の裏山。そこには、黄金の火花を散らしながら巨岩を担ぐワテクシと、その隣で死に物狂いで食らいつくコウタ様の姿がありました。

 

「はぁ……っ、はぁ……っ、レティシア様……! もう、一歩も、足が……」

 

「お黙りなさい! 足が動かないなら、魂で地面を蹴りなさいなッ!!」

 

 ワテクシはあえて、コウタ様にテツゲタを授けませんでした。

 今の彼にあの『黄金の重圧』は早すぎます。ですが、ただ見守るだけでは、三ヶ月後の死のフラグは折れません。

 そこでワテクシが考案したのが、この**【超電磁・二分三脚(リンク・トレーニング)】**ですわ!

 

 ワテクシの黄金の鉄下駄と、コウタ様の細い足を、一本の『魔力縄』で連結。

 ワテクシが黄金の脚力で一歩踏み出すたび、その十トン近い衝撃と加速が、縄を通じてコウタ様の肉体にダイレクトに叩き込まれるという、生存率を度外視した超特訓!

 

「いきますわよ、コウタ様! 運命(システム)があなたを『モブ』だと定義するなら、ワテクシの加速でその定義を物理的に引き千切って差し上げますわ!!」

 

「う、うおおおおおおおおっ!!」

 

 ドォォォォォォォォォォォンッ!!

 

 ワテクシが跳ぶ。

 連結されたコウタ様の体が、音速の衝撃波に耐えきれず悲鳴を上げます。

 しかし、彼は縄を解こうとはしませんでした。

 

「……っ、離さない……! レティシア様の隣に、僕の意志で、立ってみせるんだッ!!」

 

 システム・アイが狂ったように数値を更新し始めます。

 

> 【コウタ:肉体強度の強制再構成(リビルド)】

> 【ステータス:上昇率がレティシアの黄金テツゲタと一時的に同期】

> 【警告:才能の枠組みが、純粋な『愛の質量』によって物理的に拡張されています】


泥にまみれ、鼻血を流しながらも、コウタ様の眼光は鋭く研ぎ澄まされていきます。

ワテクシの黄金のオーラが、縄を通じてコウタ様に流れ込み、彼の細胞一つ一つを「悪役令嬢(最強)仕様」へと焼き直していく……!

「……いい顔ですわ、コウタ様。その顔、その眼差し! 今のあなたは、世界で一番……ワテクシに相応しい殿方ですわ!!」



 ワテクシはさらに出力を上げ、山一つを更地にするほどの勢いで爆走を開始しました。

背後に流れるのは、もはやモブの断末魔ではありません。

運命という壁をぶち破り、未来を掴み取ろうとする、一人の男の咆哮でした。




 《断罪まであと一年? 知ったことか! ワテクシの筋肉(ド根性)でコウタをゲットしてみせますわ!》

第十一話:【運命の武闘大会! 現れた「剣王」と死の確定演出】

 

 ついに、この日がやってきました。

 王立魔法学院・大闘技場。観客席を埋め尽くすのは、ワテクシを断罪の目で見つめる貴族たちと、コウタ様の無様な死を期待する有象無象の群衆。

 

 しかし、ワテクシと、その隣に立つコウタ様の瞳に迷いはありません。

 

「……レティシア様。僕、もう怖くありません」

 

 ボロボロの木刀を携え、泥にまみれた特訓を経て、彼の体つきは鋼のように引き締まっていました。

 システム・アイが、異常な警告を吐き出し続けます。

「……あら? 対戦相手の表示がバグりまくっていますわね」

> 【緊急警告:因果律の最終修正が発動】

> 【対戦相手:中ボス(予定)→ 剣王ゼノス(真の姿:運営の代行者)】

> 【Tips:設定のみ存在した伝説の剣王。強制的に召喚。その一撃は『死の概念』を直接叩き込む】

>

 対戦相手のゲートから現れたのは、本来の中ボスなどではありませんでした。

 身を隠すボロ布を脱ぎ捨て、現れたのは、その存在だけで空間を歪ませる白銀の鎧の男。手にする大剣は、ただそこに在るだけで因果律を切り刻んでいます。

「……ふん。バグったプログラムを消去しに来たが、まさか悪役令嬢とモブごときが、ここまで世界の整合性を乱すとはな」

 剣王の冷酷な声。

 その瞬間、闘技場全体が、コウタ様を殺すためだけの「確定死の結界」へと変貌しました。

「コウタ様、下がっていなさいな。あれはあなたが相手をしていい『データ』ではありませんわ……!」

 ワテクシは黄金の超電磁テツゲタを一歩踏み出し、コウタ様の前に立ちました。

 黄金の電光が闘技場を焼き、ワテクシの闘気が剣王の威圧を押し返します。

「いいや、レティシア様。……僕も戦います。二人で特訓したあの『愛の同期』、ここで見せなきゃ、何のために泥を啜ってきたか分かりませんから!」

 コウタ様が、ワテクシの黄金のオーラに自らの意志で『リンク』を開始しました。

 

「……お黙りなさい運命! 設定だけのキャラを引っ張り出すなど、そこまでワテクシたちが怖ろしいのですか!? よろしいですわ、その剣王ごと、このゲームの全データを粉砕して差し上げますわよ!!」

 剣王が、無造作に大剣を振り上げました。

 それは攻撃ではありません。世界の『終焉(エンディング)』を強制的に発動させる、絶対の一撃。

 

 運命が、牙を剥く。

 

「これぞワテクシたちの共同作業! 『真・スーパーかみなりテツゲタ落とし』ッ!! コウタ様、跳びますわよ!!」

 ワテクシはコウタ様の手を握り、黄金の火花を散らして、垂直に、天高く跳躍しました。

 目指すは、このクソゲーの天井ですわ!!

《断罪まであと一年? 知ったことか! ワテクシの筋肉(ド根性)でコウタをゲットしてみせますわ!》

第十二話:【凡人の一撃! 死の概念を叩き割る泥まみれの木刀】

 

 天を衝く白銀の閃光。剣王ゼノスが振り下ろした大剣は、もはや武器などではありません。それは「コウタはここで死ぬ」というゲームの決定事項そのものが実体化した、理不尽な裁きの雷でした。

 

 黄金の鉄下駄を履いたワテクシが前に出ようとした、その瞬間。

「――行かせて、レティシア様。これは、僕の戦いだ」

 コウタ様が、ワテクシの手を優しく、けれど鉄のように固い意志で振り払いました。

 彼はその手に、特訓でボロボロになり、ささくれ立った一本の木刀を握りしめています。

 

「狂ったか、モブ。その棒切れで、世界の決定(システム)を止められると思ったか!」

 

 剣王の嘲笑と共に、大剣がコウタ様の脳天を捉えます。

 回避不能。防御不能。当たれば存在そのものが消滅する、確定死の一撃。

 

 ガギィィィィィィィィィンッ!!

 

 闘技場が、耳を劈く金属音に包まれました。

 

「……な、に……?」

 

 絶句したのは、剣王でした。

 コウタ様の持つ、どこにでもある安い木材でできた木刀が――剣王の伝説の大剣を、正面から受け止めていたのです。

 

 木刀は、黄金に輝いていました。

 それは鉄下駄の魔力などではありません。ワテクシとコウタ様が、あの地獄の二人三脚で、泥を啜りながら同期(リンク)させた「生身の魂」の輝き。

 

「……重いよ、あんたの剣は」

 

 コウタ様が、血を吐きながらも不敵に笑いました。

 

「レティシア様の……あの、鉄下駄の重さに比べたら……あんたの運命(きまりごと)なんて、羽毛よりも軽いんだッ!!」

 

 ドォォォォォォォォォォン!!

 

 コウタ様が木刀を一閃。

 ただの素振り。あの日、馬鹿にされ、泥にまみれ、何万回と繰り返しただけの、不器用な一撃。

 それが、剣王の「死の概念」を、物理的な質量となって粉砕しました。

 

 伝説の大剣に亀裂が走り、白銀の鎧が砕け散ります。

 システム・アイが、絶叫するかのようなエラーログを吐き出しました。

 

> 【警告:致命的なエラー。モブによる神域への干渉】

> 【判定:死の確定演出……失敗。コウタ生存確率:測定不能】

> 【事象:ただの木刀が、因果律を物理的に切断しました】


 「……よく、やりましたわ。コウタ様!」

ワテクシは、黄金の鉄下駄から放たれる全魔力をコウタ様の背中へと叩き込みました。


 「さあ、仕上げですわよ! 運命なんてゴミ箱へ、ワテクシたちが蹴り飛ばして差し上げますわ!!」


《断罪まであと一年? 知ったことか! ワテクシの筋肉(ド根性)でコウタをゲットしてみせますわ!》

第十三話:【ゲームオーバーの向こう側! 世界の殻をブチ破りなさいな!】

 

 コウタ様の放った一撃により、剣王という名の『運営の端末』が粒子となって霧散しました。

 しかし、システムが敗北を認めることはありませんでした。闘技場全体が、まるで断末魔のような警報音に包まれ、空間そのものがどろどろと溶け始めました。

「……あ、あれは……!?」

 コウタ様が指差す先、闘技場の中央に、巨大な虚無の穴――『バグの深淵』が口を開きました。

 この世界が一本道のゲームである以上、想定外のシナリオ進行を許すくらいなら、世界ごと心中して初期化(リセット)しようという、あまりにも身勝手な運営の意志ですわ。

> 【緊急事態:全シナリオデータの物理削除(デリート)を開始】

> 【判定:この領域に存在する全キャラクターは、強制的に無へ還される】

> 【Game Over】

>

「ふふ……ふふふ。Game Over? お黙りなさい、そんな寝ぼけた字幕!!」

 ワテクシは、膝をつくコウタ様を黄金の腕で抱き寄せ、高らかに笑い飛ばしました。

 黄金の超電磁テツゲタが、過負荷により銀河の如き閃光を放ち始めます。

「コウタ様、しっかり掴まっていてくださいまし。このクソゲーという名の箱、今日限りで『更地』にして差し上げますわ!!」

「レティシア様……! どこへ行こうと、僕は、あなたから離れません!」

 ワテクシはコウタ様を背負い、全筋力を脚部へ集中させました。

 狙うはバグの穴の最奥――この世界を縛る『演算核』そのもの!

「ヴァロワ流……最終秘奥義! 『愛とド根性のスーパーかみなりテツゲタ落とし・改・極(きわみ)』ッ!!」

 ドォォォォォォォォォォォォォォンッ!!

 空中で超高速のきりもみ回転を開始。

 二人の魂が同期し、巨大な黄金のドリルと化したワテクシたちは、迫りくる消去プログラムを物理的に粉砕しながら、世界の殻をブチ破りました。

「いっけぇええええええええええッ!!」

 コウタ様の叫びと、ワテクシの衝撃波が一つになり、バグの穴を突き抜けて「運営の領域」へ。

 パリン、パリンと、空を覆っていた『一本道の理』が割れて、その向こう側に、どこまでも続く真っ白な、自由なキャンバスが広がっていきます。

 システム・アイが最後に、力なく一言だけログを流しました。

> 【……計測不能。この愛は、仕様(プログラム)を超越しました……】

>

 

 真っ白な世界へ飛び出した瞬間、ワテクシたちの耳に届いたのは、システムの警報音ではなく、ただの心地よい風の音でした。


 《断罪まであと一年? 知ったことか! ワテクシの筋肉(ド根性)でコウタをゲットしてみせますわ!》

第十四話:【愛の等価交換! 砕け散った黄金と真実の姿】

 

 世界の殻をブチ抜いた衝撃が収まった時、そこには眩いほどの静寂が広がっていました。

 空を覆っていた赤い警告も、耳障りなシステム音も消え去り、ただ真っ白な「無」の地平が続いています。

 

 パキィィィィィィィン……。

 

 冷たい空気の中に、何かが砕ける高い音が響きました。

 ワテクシの足元で、数々の死線を共に越えてきた【黄金の超電磁テツゲタ】が、その輝きを失い、細かな砂となって崩れ去っていったのです。

 

「……っ、あ……」

 

 同時に、ワテクシの肉体から凄まじい「重み」が抜けていきました。

 岩をも砕いた鋼の筋肉が、鉄をも曲げた超常の筋力が、コウタ様の死の運命を相殺するための代償として、一滴残らず世界へと還っていく。

「レティシア様! レティシア様!!」

 

 コウタ様が慌ててワテクシを抱きとめました。

 その腕に力はありません。彼を支えていた黄金の同期(リンク)もまた、使命を終えて霧散したのです。

 

 ふと、自分の手を見つめました。

 豆だらけだった掌は白く滑らかになり、盛り上がっていた二の腕は、華奢で柔らかな本来の令嬢のラインに戻っていました。

 鏡を見ずとも分かりますわ。今のワテクシは、筋肉(ド根性)に魂を売る前の、ただの美しく、か弱い悪役令嬢……。

 

「……レティシア様、筋肉が……! あんなに誇り高く、猛っていたあなたの筋肉が、消えて……!」

 

 コウタ様が、まるで自分の宝物を失ったかのように絶望の表情で叫びます。

 

「……ふふ。お黙りなさい、コウタ様」

 

 ワテクシは、力が入らなくなった腕で、そっと彼の頬を撫でました。

 

「……ううん、これでいいのです。もう、いいのですわ……。ワテクシの筋肉(すべて)を使い果たして、あなたを救うことができたのですから」

 

「でも……! あんなに頑張って、あんなに鍛えてきたのに……!」

 

「……バカな人。ワテクシの筋肉は、あなたを守るための『盾』であり『矛』でしたのよ。守るべき対象(あなた)がこうして無事にワテクシを抱きしめているのなら、もう武装など必要ありませんわ」

 

 システム・アイが消えた真っ白な世界。

 好感度の数値も見えません。死亡確率の%も表示されません。

 

 けれど、ワテクシの胸に伝わる、彼の早鐘のような鼓動。

 筋肉を失ったことで、皮肉にも、前よりもずっと強く、彼の「命」の温もりを感じることができました。

 

「……コウタ様。ワテクシ、少し……重いですわ。支えて、くださる?」

 

「……はい。一生、一生支え続けます。レティシア様……!」

 

 黄金の鉄下駄が消えた更地で、ただの令嬢と、ただの少年が、初めて本当の意味で重なり合いました。

 運命を履き潰した代償に失ったものは大きく。

 けれど、手に入れたものは、この広い世界の何よりも重く、温かな「自由」でした。


 《断罪まであと一年? 知ったことか! ワテクシの筋肉(ド根性)でコウタをゲットしてみせますわ!》

第十五話:【更地の再構築! 愛が紡ぐ新しい理】

 

 筋肉も、黄金のテツゲタも、システムという名の呪いもすべて消え去った、純白の虚無。

 ワテクシは、力こそ失いましたが、その魂に刻まれた「ド根性の記憶」までは消えていませんでした。

「コウタ様……。ここは、まだ何もありませんわ。ですが、それはつまり……何でも創り出せるということですのよ」

 ワテクシは、コウタ様の腕に支えられながら、震える指先で真っ白な地平線をなぞりました。

 すると、指先から淡い光が零れ落ち、そこから一本の青々とした草が芽吹きました。それはシステムが管理する「背景オブジェクト」ではなく、ワテクシたちの意志が直接、形を成した本物の命。

「……すごい。レティシア様、世界が……息を吹き返していく」

「ええ。もう一本道なんて言わせませんわ。ワテクシたちの歩く場所が、そのまま道になるのですから」

 ワテクシが願えば、そこには懐かしくも新しい学園の庭園が広がり、コウタ様が願えば、そこには二人で特訓した思い出の裏山が、もっと優しく、美しい姿で現れました。

 

 かつての攻略対象たちや、運命を強いた運営の影はどこにもありません。

 そこにあるのは、ただ静かに風が吹き、鳥が歌い、筋肉痛の心配をせずにただ愛し合える、穏やかな世界。

 

 しかし、ふとコウタ様が、寂しそうに自分の掌を見つめました。

「……でも、レティシア様。僕、やっぱり……少し寂しいです」

「……何がですの?」

「あなたが僕を救うために振るっていた、あの猛々しい力……。あの地響きが聞こえない世界は、少しだけ、静かすぎる気がして」

 ワテクシは思わず、くすりと笑い声を上げました。

 

「……困った人ですわね。せっかく可憐な令嬢に戻って差し上げましたのに。……よろしいですわ。ならば、この新しい世界の理(ルール)に、一つだけ『特注の約束』を書き加えておきましょう」

 ワテクシが空に指を走らせると、新しい空に黄金の文字が刻まれました。

 

> 【世界の理:愛が深まるたび、筋肉は再び宿るものとする】

>

「……あ、あはは! さすがレティシア様だ。……じゃあ、僕も頑張らないと」

 コウタ様が、初めて出会った時のモブのような顔ではなく、一人の男としての、自信に満ちた笑顔でワテクシを抱き寄せました。


  

《断罪まであと一年? 知ったことか! ワテクシの筋肉(ド根性)でコウタをゲットしてみせますわ!》

最終話:【黄金の輝きは永遠に! 数値なき愛の証明】

 

 再構築された新しい世界。

 そこにはもう、断罪を叫ぶ王子も、偽りの光を振りまく聖女もいません。

 ただ、どこまでも続く青い空と、二人が丹精込めて耕した肥沃な大地、そして小さな、けれど温かな木造の家があるだけです。

「……ふぅ。いい汗をかきましたわ」

 ワテクシは、木漏れ日の差し込むテラスで、額の汗を拭いました。

 かつての黄金の筋肉は失われましたが、毎日の農作業と、少しずつの自重トレーニングのおかげで、今の肉体には、健康的な、しなやかな躍動感が戻りつつあります。

 

 ふと、視界の端を見つめます。

 かつてそこにあった、コウタ様の【好感度:999】や、無慈悲な【死亡確率:0%】といったシステムログは、どこを探しても見当たりません。

 

 目の前にいる彼が、今何を思い、どれほどワテクシを愛してくれているのか。

 それを証明する「数字」は、この世界にはもう存在しないのです。

「レティシア様! ちょうど、準備ができましたよ」

 キッチンから現れたコウタ様は、かつてのひ弱なモブではありません。彼もまた、土にまみれ、愛する人を支えるために鍛えられた、逞しい腕をしていました。

 彼が持ってきたのは、二つのグラス。

 中には、かつて鉄下駄修行の後に二人で分け合った、特級のプロテインが満たされています。

「……コウタ様。システムの見えないこの世界で、あなたは今、幸せですかしら? ワテクシ、たまに不安になりますの。数値という保証が、もうどこにもありませんから」

 ワテクシの弱音に、コウタ様は少しだけ驚いた顔をしましたが、すぐに柔らかく、迷いのない瞳で微笑みました。

「……レティシア様。僕は、好感度のメーターが動くからあなたと一緒にいるわけじゃありません。僕の胸の鼓動が、あなたを見るたびに速くなる。……それだけで、十分じゃないですか」

「……っ。……ふふ、お黙りなさいな。相変わらず、そんな殺し文句を。……ですが、ワテクシも同意見ですわ」

 二人は、黄金色に輝く夕日を背景に、グラスを高く掲げました。

 

 ガチン、と。

 それはかつて、黄金の鉄下駄が大地を鳴らした音にも似た、力強い響き。

「数字など、もはや不要! ワテクシの魂に刻まれたこの『鼓動』こそが、真実のハッピーエンドですわ!!」

 二人はプロテインを一気に飲み干し、幸せそうに顔を見合わせました。

 

 この物語に、もう『Game Over』の文字が割り込む余地はありません。

 一歩踏み出すたびに、大地が少しだけ喜びで震える。

 

 数値なき、けれど「重み」のある、二人だけの不器用な恋物語は、これからも永遠に続いていくのですから。

 

 

【完:悪役令嬢、筋肉(アイ)で運命を粉砕いたしましたわ!】




  


隠しエンド:【星に願いを、大地に鉄下駄を】

 

 世界が再構築され、穏やかな時が流れ始めた頃。

 かつて無限回廊の頂上で、そしてバグの深淵で粉々に砕け散った「黄金のテツゲタ」の欠片たちは、実は消え去ったわけではありませんでした。

 それらは光の粒子となり、新しい世界の夜空へと昇り、数多の「星」となったのです。

 

 ある場所では、不当に虐げられ、自らの運命を呪う名もなきモブの少年が。

 またある場所では、シナリオ通りに絶望することを強要された悪役の少女が。

 ふと夜空を見上げた時、その中の一番眩しい星――「鉄下駄座」が、バチバチと黄金の火花を散らして瞬くのです。

> 【システムログ:隠しパッチ適用完了】

> 【事象:『ド根性』の概念が世界全土に配布されました】

> 【Tips:理不尽な壁にぶつかった時、空を見上げなさい。黄金の衝撃があなたの背中を押すでしょう】

>

 

 かつてレティシア様が大地を蹴り、運命を履き潰したその記憶は、世界の「希望」という名のOSへと書き換えられました。

 

 今でも、この世界のどこかで誰かが絶望に立ち止まろうとすると、どこからともなく、微かな、けれど力強い「ドォォォォン……」という地響きが聞こえるといいます。

 それは、失われたはずの黄金の鉄下駄が、時空を超えて迷える者たちに送る、熱いエール。

「お黙りなさい、運命! 立てないのなら、筋肉(気合)で浮き上がりなさいな!!」

 そんな幻聴と共に、見知らぬ誰かの瞳に不屈の炎が宿る時。

 

 レティシア様とコウタ様が耕す畑の隅で、土に埋まった小さな黄金の欠片が、一瞬だけ誇らしげに輝きました。

 

 


 




 《断罪まであと一年? 知ったことか! ワテクシの筋肉(ド根性)でコウタをゲットしてみせますわ!》

最終真エンド:【一万年のド根性を、その薬指に】

 

 再構築された世界の、穏やかな黄昏時。

 二人の小さな家の庭に、コウタ様がワテクシを呼び出しました。

「レティシア様。……実は、ずっと探していたものがあるんです」

 そう言って彼が取り出したのは、小さな、けれどずっしりと重みを感じさせる木箱でした。

 蓋が開けられた瞬間、ワテクシは思わず息を呑みました。

「……これ、は……!」

 そこに収められていたのは、一本の指輪。

 それは洗練された宝石細工ではありません。不器用なほどに無骨で、けれど太陽のような眩い輝きを放つ――かつて世界を救い、砕け散ったはずの【黄金の超電磁テツゲタ】の欠片を、一つずつ繋ぎ合わせて作られた「約束の環」でした。

「あの日、レティシア様が僕を助けるためにウサギ跳びで下山した時……僕、あなたが削り取った運命の欠片を、全部拾い集めていたんです。筋肉がなくなっても、この輝きだけは、僕が持っていなきゃいけない気がして」

 コウタ様は、泥まみれの特訓で鍛え上げられたその手で、ワテクシの細くなった手を取ります。

 

「ステータスも、称号も、もう何もいらない。……ただ、これからは一人の男として、あなたの隣を歩かせてください。……結婚してくれますか、レティシア」

 指輪が薬指にはめられた瞬間。

 失われたはずの黄金の火花が、バチバチと二人の間に走りました。

 

 重い。

 指輪一つなのに、まるでかつての鉄下駄を履いているかのような、魂が震えるほどの重量感。

 けれど、それは少しも不快ではありませんでした。これこそが、ワテクシたちが共に歩んできた「愛の質量」そのものなのですから。

「……ふふ。お黙りなさい、コウタ様。そんな重たい約束を、このワテクシが断るとでも思いましたの?」

 ワテクシは、こぼれ落ちる涙を拭おうともせず、彼を力一杯抱きしめました。

 

「……よろしくてよ。あなたの命が尽きるまで、いえ、筋肉が輪廻して再び黄金に輝くその時まで。ワテクシの隣、一歩も離れることは許可いたしませんわ!!」

「コウタ様、覚悟なさいな! この指輪(ド根性)に誓って、ワテクシたちは世界一騒がしくて幸せな夫婦になりますわよ!!」

 二人の薬指で、黄金の鉄下駄の欠片が、未来を照らすように強く、強く輝きました。

 

 

【真・完結:鉄下駄令嬢は、最愛の伴侶と共に永遠の地響き(ハッピー)へ】


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

なんとなく作った糞ラノベシリーズ 暗黒の儀式 @nk1255531

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画